風穴とワイドパンツ
少し盛り上がりから遅れましたが、オリンピックで「無課金おじさん」なるトルコのおじさまが話題になっていました。
シンプル白Tシャツ、ゴーグルなし、耳栓のみ、射撃の体勢も無駄がなく、片手をポケットに入れる様子を「え?そんなんでいいの?」と思う方もいたと思います。
これ、いいんです。
私は左手の親指をポケットに引っかけるよう指導されました。どういう理屈かは忘れましたが、何も持っていない腕って思っている以上に安定しないのです。
が、私は右手の握力が25しかないので、そもそも片手で撃てません。引き金硬いし、撃った反動にも耐えられないので、いつも両手撃ちでした。
ちなみに両手撃ちは片手よりも当然安定するのですが、5発撃って的に4つしか穴が空いておらず、なぜか隣の人の的に6つ穴が空いてて
教官「……(絶句)」
私「……」
(すみませんって言うのも怖くて言えないし、もちろん笑って誤魔化せるような空気ではない)
というほっこりエピソードを持っています。
飲み会で話すとウケる鉄板ネタなのですが、夫には信じられないモノを見る目で見られました。
おい、笑えよ。
そんなまともに風穴を空けられない私の長年の相棒だったスキニージーンズが破れました。
よりによってケツの部分が裂けたので、誤魔化すことはできません。
ロンTを着れば多分分かりませんが、多分分からないという程度で尻が垣間見えそうなスキニーを履く勇気はさすがにないです。
滅多にない、ジーンズの買い替えです。
しかしながら思い返せばこのスキニー、いつ買ったっけ?
久しぶりに新しいのを買うなぁと思うと同時に、一体いつからこいつと付き合ってきたのかと記憶をたぐり寄せます。
えーと、あのときにはすでに履いてた。
このときも。あそこに行ったときも。
んん、待てよ、このときも!?
はい、14年履いてました。
うそだろ……
いやいや、でもジーパンって耐久力高いしそんなもんですよね?
他人の一般的なジーパンの平均寿命を聞いてみたい。
14年も頑張ってくれたんだし、次も同じくらい頑張ってもらうつもりでちょっといいジーパン買うか、と専門店に行ってみました。
値段が一桁違ったので即諦めました。
次の約15年を頑張ってくれるジーパンをどこで買えばいいのか…と困り果てていたのですが、ファッションにそんなに興味ないけど最低限の身なりと清潔感を保ちたい族の強い味方、ユニクロの存在を思い出しました。
いやぁ、ユニクロってすごいですね。
ジーパンの種類多すぎ。
もう訳がわかりません。
いつの間にか世間はスキニー流行ってないんですね。
世はまさにワイドパンツの時代。
そういや道ゆく人、老いも若きもみんなワイドパンツをはいてることに初めて気づきました。
じゃ、ワイドパンツ買う?
と思ったのですが、私はこの手のボリューム大きめのボトムには抵抗があるんです。
背が低い、短足には危険球だから。
あぶないやつ。手を出してはいけないやつ。
でも店頭にはスキニーは1種類しかなくて、しかもストレッチ?素材で脚の形がめちゃくちゃわかってしまう。短足には(略
他の店を巡ってもやっぱり時代はワイドパンツ。他のお客さんもみんなワイドパンツはいてる。
くそ!どいつもこいつも下半身に重心置きたがりやがって!
私はできるだけ下半身細めに誤魔化してロンTでだらしない尻を隠したいのに!
色々見て回った末、無料ですぐに補正がしてもらえるという点で渋々ユニクロに舞い戻って、渋々ワイドパンツを手に取り、裾をカットしてもらうため渋々試着室に入りました。
なんでわざわざ下半身が大きくなるような服が流行るんだろう。
やだなぁ。背が低いからすごいバランス悪くなりそう。
あ、でもスキニーよりはダボっとしてるからはきやすいなぁ。
へー、いつのまにかハイウエストが流行ってるんだー…しゃがんでも下着見える心配なくていいな。
あれ?着てみるとそんなに大きく見えない。
ていうかむしろ上半身が小さく見えるし、尻なんて全然わからな……
めっちゃいいやん。
えー!すごー!なにこれすごー!
なんか下半身いい感じにストーンてシルエットになってるすごー!
いいやんワイドパンツー!
ありがとうユニクロー!!!
ドリル並みに手の平を返して、色違いで2本買いました。
家に帰って無課金おじさんよろしく、シンプルなTシャツを着て、ポケットに親指引っかけて夫に指ピストルを向けてみました。
新しいジーパン買ったよーって。
鼻で笑われました。おい、笑うなや。
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