prayer room#5 壁にあいた穴
擁壁(#3)には必ず穴があいている。
これは壁の向こうにある地面の中の水分を排出するための水抜き穴なのだそう。
思い返せば雨が降った日に、コンクリートの壁に付いたパイプの穴から水が流れているのを見たことがある。
擁壁とは滑り出してしまう土壌を抑えて高低差を維持してくれている。土地の横圧に耐えられるように作られているとは言っても、そこに雨などの水分による圧力が断続的に加われば、いずれ限界がくるのではないか。
もしこの小さな穴が無ければ、擁壁の性能は非常に不安定になり、安心して建物を建てたりなど出来ないだろう。存在の主張はさり気ないところがあるが、かなり重要な役割を担っているのだ。
役割の重大さと、表に現れる存在の強さは必ずしも比例するものではないという事に改めて気づかされる。たぶん私が知らないだけで、見えてる風景はそれ以上の深さを持っているのだろう。
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