prayer room #10 色々な鉢

ひとくちに植木鉢と言っても沢山の種類がある。
ホームセンターへ行っても豊富な品揃えを見ることが出来るだろう。

鉢は、材質や植物の生育段階によって様々に使い分けられていると言う。苗が育つにつれて根の張りかたや植物の好む環境に合わせて植え替えをするのだ。


例えば 陶製の鉢は通気性、保水、排水のバランスが良く、直射日光や水分に強くて丈夫であるという利点がある。多くの植物が好む環境を作れる上に、見た目も植物をよく引き立てるので需要が高いのも納得である。

プラスチックで出来た鉢は軽くて安価で扱いやすいのが特徴だろうか。けれどこちらは通気性や耐久性などで陶器製の鉢に劣るところがある。

それぞれに一長一短があり植物や環境の必要により使い分けがされているから、多種多様な鉢が存在しているのだろう。


そして時に、本来は鉢ではないものが鉢の役割を担っていることもある。

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魚を入れるような発泡スチロールの箱を植木鉢の代わりに使っていることもあれば、ヨーグルトの空き容器をポリポットのように並べて苗を植えていたり、カップ麺のプラ容器を柵に吊るしているのを見かけたことがある。


もともと園芸は、農業の一種であったのが都市の発展とともに庭園に取り込まれていった歴史があるそうだ。次第に園芸種が増え 植物自体へ興味が集まるようになり、植木鉢の登場で園芸は庭から離れ、独自の文化を持つようになった。

園芸がこれほど身近になったのには植木鉢の存在無くしては考えられないだろう。
そして技術の進歩により、今度は植木鉢が従来の形や素材にとらわれない自由さを持つようになった。 空のヨーグルトのカップを植木鉢と呼ぶには抵抗があるが、苗の植わっている土壌を支える様子は鉢の代替と言ってよかった。

もしかしたら最初の植木鉢がただ必要を満たす物を発見した事から始まっていたとして、植木鉢の普及に伴い用途によって形態が大まかに定まっていき、いま再び必要を満たす物を探しだして植木鉢に当てはめる作業が繰り返されているのではないだろうか。
そしてまた新たに見出された"植木鉢"が誕生する…

植木鉢に限らず同じ様な現象はそこかしこで起きていて、らせん階段やバネのようにぐるぐると廻りながら少しずつずれて行き、そのズレが発展や成長 進歩と呼ばれるものになるのかも知れない。


ちょっとありそうかもと思うが、壮大過ぎて私には確かめる術がないのでおとなしく近所の鉢植えたちを観察して、想像を膨らませておくのが良いだろう。

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