prayer room #4 卵の殻つきの鉢植え

たまに、卵の殻が入った鉢植えを見つける。

それも砕かずに、料理に使って割ったままそこに置いたかのような様子である。ただ土の上に置いてあるだけに見える卵の殻にどんな意味があるのだろうか。

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【この写真では卵の殻じゃなく貝殻が置かれている】

土の上に置くというのは、肥料の関係だろうかと調べてみるとやはり卵の殻をもとにした肥料があった。

作物を育てる時に、土壌の酸性度は重要な要素になる。育てたい植物によって適した酸性度は異なるので必要に応じてpH値を調整しなければいけないだろう。そんな時、卵の殻や牡蠣の貝がらはアルカリ分を足すのに役立つらしい。

卵の殻に、植物を育てる上できちんと意味があるのは分かった。けれど市販されているものは、土に混ぜるために細かく砕かれている状態がほとんどだ。


果たしてふたつに割っただけの殻やそのままの貝がらを土に乗せることに効果があるかどうか、その問題も大切なのは確かだが、勝手な事を言うと、鉢の中に転がっている卵の殻のまるみも可愛らしいと思ってしまうのだ。  

私が最初に鉢植えの土の上に乗った卵の殻を発見したのはいつだったか。幼い頃に見た気がするのに、今では探してもめっきり出会わない。

又聞きした情報が伝言ゲームのごとく精度を下げていき、いつの間にか極端に省略されたローカル豆知識的なものになってしまったのだろうか。

この知識は厳密には正しいと言えないかもしれない。けれど間違いだからと排斥するのもなんとなく気が進まない。積極的に解き明かす必要も、正す必要も無い謎はツチノコに似て、野に放すに限るのだろう。

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「卵のカラが入った鉢」    380×455  (2020.4.)


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