prayer room #13 ゴミ収集ネットとボロボロのカゴ

先日、県内の某所にて、ある光景を教えて頂いた。

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ゴミ収集用のネットと、ボロボロになったカゴである。

曰く、ここは近隣の方が共同で利用しているゴミの収集場所で ある時どなたかがネットを仕舞う為にカゴを置いた。しかしカゴはその後管理されずに風雨にさらされ、経年劣化でもはや影も形もない状態になってしまったのだそうだ。

今まで何度かその道を通りながら見向きもしなかったくせに、事情を知ったあとに見てみると、少し物悲しさを覚えるのだから何とも勝手なものだと思う。
そして、関わる人たちの間に同じ事情が共有されているのなら、カゴが捨てられずに残っているのも納得できる。

まったく成り行きを知らない人にとっても、捨てられそうなのに捨てられていない物はゴミに見えても恐らく在り方が異なる。そしてきっと何か理由があるのだろうと推理してしまう時点でもはや簡単には捨てられまいと思う。


もしかしたらそこまで確固とした理由はなくて、ただ何となく現状維持が続いているだけかも知れない。けれどゴミを捨てに行けば必ず目に入るカゴの存在に何も感じないでいる事が出来るだろうか。

プラスチックのカゴは軽いから、いつか台風で吹き飛ばされてどこかへ行ってしまうかもしれない。もしくは今までの躊躇いを飛び越えて処分する人が現れるかもしれない。そうでなくても全ての形あるものは必ず崩れると言う。


ある日カゴの消えた風景を見て何を思うだろうか。わだかまり続けたものは綺麗さっぱりなくなるのだろうか。



遠く離れていてもボロボロのカゴがある風景について考えてしまうが、カゴそのものに対する興味よりもむしろ 自分で想像し作り出した、カゴを取り巻く思念を、かき集めてそこに留める事に腐心している気がする。







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