prayer room #3 坂の途中にある家
コンクリートで固められた斜面や壁面というのは町中でよく見かける景色だと思う。
このコンクリートの建造物は『擁壁』と言うのだそうだ。土壌が滑りだしてしまう限界の角度(安息角)を超えて土地に高低差を付けたい時に施されるものらしいのだが、その高低差が大きいほど、当然壁はそびえて何とも言えない迫力を感じる。擁壁とは崩れようとする土地の圧力に耐えられる強度を与えられた人工物である。
改めて考えたら、傾斜のある地面の上に水平な場所をつくるというのはなんと大掛かりな仕事だろう。一見静かな見慣れた風景の裏には莫大なエネルギーが押しとどめられていたと知ってしまった。
私は散歩の途中でなんと言うものの前に立っていたのだろう。
最初に誰が何を思ってやったのか分からないけれど、いまの私は近所の曲がり角で手軽にダイナミズムに触れられる。その時の感想についてしばらく考えていたい。
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