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江戸の広告作法

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江戸の町人文化に華開いた、あの手この手の宣伝広告。 そこには「粋・洒落」などの美意識の中で洗練された広告の作法がありました。世界に類を見ない独創的なアイデアや表現を当館のコレクシ… もっと読む
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2019年12月の記事一覧

第9回「度肝を抜く売り込み口上「外郎(ういろう)売」」

雄弁な長台詞は、全部「ういろう」のコマーシャル。 団十郎の流暢な宣伝口上に、江戸っ子たちは拍手喝采! 2代目団十郎が感謝の意を込めて創作 「ういろう」というのは、小田原の虎屋藤右衛門が売り出した銀色の丸薬です。咳止め、喉の痛み止め、旅の常備薬などとしてよく知られており、約650年の時を経たいまも神奈川県小田原市で製造されています。(注1) 2代目団十郎が喉を痛めていたとき、この「ういろう」を勧められて飲んだところ、すっかりよくなったため、お礼を兼ねてこの薬を舞台で広めたいと

第8回「企業タイアップのルーツ、歌舞伎『助六』」

酒に、薬に、うどんに、せんべい……。「助六(すけろく)由縁(ゆかりの)江戸(えど)桜(ざくら)」は、2代目団十郎が創作した、一大コマーシャル・エンターテインメント! 舞台は広告のオンパレード! 主人公の飲むお酒や机の上に見慣れたパッケージのお菓子がスポンサーの商品だったという、ドラマや映画の企業タイアップ(注1)は、いまや当たり前ですが、そのルーツが江戸時代にあることをご存知でしょうか?  江戸ではあらゆる商店が、歌舞伎とタイアップしたのですが、その始まりは2代目市川団十郎

第7回「いつの時代も「おまけ」は魅力!」

あなたの身の周りにはプレミアムでもらった「おまけ」の一つや二つが、きっとありますよね。どちらを買おうかと迷ったとき、ついつい「おまけ」に惹かれて、買ってしまった…… 。誰もがそんな経験を持っていることでしょう。 マグカップやぬいぐるみ、ポーチとかキャラクターグッズなど、「おまけ」で手に入れた商品が、あなたの部屋にあふれているかもしれません。 現代でも広告・販促物としての「おまけ」は効果的ですが、その手法、実は江戸時代にもあったんです。時代を超えて、人はおまけに弱いんですね(