数学やってると他のことを頭から締め出せる〜青の数学 読書記録〜

私は数学が好きではないし、得意でもない。数学の考え方というのもよくわかっておらず、受験では数IIIの青チャートを丸暗記したくらいだ。しかし、理系の道に進んだ以上、数学から逃れることはできない。

だったら、見方だけでも変えて、少しでもモチベに繋げた方がいいじゃないか。そう思って、数年前に知人に勧められた「青の数学」という小説をKindleで読んでみた。

この小説の主人公は、幼少期から数学をやっていて、それはある人との約束だという。以下に、この小説の登場人物の数学に対する見方と、それについて抱いた感想を挙げる。

やって何になるかは後からわかる

基礎研究と応用研究の関係。自明。

問題を前にするといつも同じ気持ちになる

確かに受験勉強では時間を決めて勉強していたが、問題を前にすると雑念は消え去る、というか、消し去らざるを得ない状況になる。だから病んだらリスカするより数学をやろう。俺はいつもそう決めている。真理だ。

初めての景色を見たいが少し怖い

新しい概念を導入すると、世界は変わって見える。ただ7より大きければ塩基性だと思っていたpHは水素イオン濃度の対数を取ることで表されているが、この対数を知ったことでより酸性・塩基性への理解が深まったように思える。しかし、こういう気持ちよさはあるの一方で、まだ今やっている数学の概念が理解できたかどうかもわからないまま、新しい概念を導入するのは怖い。もしかしたら理解できないんじゃないか。だったら何の快感も得られないんじゃないか。そういう恐れを、高校で数学の授業を受けながら感じていた。この感覚は数学が好きな/得意な人にもあるのだろうかと思い、少し安心した気がした。

白紙に書き進めるのは雪原に踏み出すようで心地よい

受験問題などでは手のつけようもないような関数が与えられて、この極限を求めよとか言われるわけだが、実は二項展開になっている・一部分を置き換えたら同形出現・対数を取ったら見慣れた関数など、実際に手を動かしたら途端に方針が立つことがある。こういう快感を味わうためには、頭で考えるだけではなく手を動かして書き進める必要があるだろう。物理でも、目の前の物体の運動を知りたいと思ったら「いつも同じ気持ち」になって、白紙を前にして自由体図と運動方程式を書き進めていくものだが、私はこのプロセスが非常に楽しいと感じている。

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