![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/104097814/rectangle_large_type_2_f4cc88b5eb9b17b9dccb0922a130d260.jpeg?width=1200)
書籍「おいしいごはんが食べられますように」感想
本のレビューとかもやってみます。高瀬隼子著の第167回芥川賞受賞作。
◆思えば冒頭から最後までずっと食の話。時折気持ち悪くなるほどに
◆2回目読んで気付いたのだが、押尾さんが芦川さん苦手なんですよねいじわるしませんか、と提案するのは時系列的にはあの2人が付き合い始めた後ではないかと。そうなると押尾さんもかなり怖い
◆男に向かってあなたの彼女をいじめませんかと言うってどうかしてるし、それを拒否しない二谷さんもやっぱりおかしい
◆そして芦川さんは飲みかけペットボトルのくだりですでにおかしい。つまり3人ともいきなりめちゃくちゃまともじゃなかった
◆「握りこぶしを二つ作って揺らして見せた。」「腕を撫でるように叩く。」「満足そうな息をついた。」段落を締める最後の一文がいちいち余韻がすごい。ここに各人物像の本質を宿らせているようにおもう
◆その中でも凄い表現だと唸ったのは「これまで好きになって付き合った人たちの顔を思い浮かべる。その誰とも似ていた。」戦慄。そんな人ならば到底かなわない
◆一口大に切ったスイカ!
◆ナッペという恐怖ワード
◆結局最初にゴミ箱に綺麗なままのケーキを置いたのは誰なのかは明示されない。みんな捨ててはいたのだ
◆終わり方も凄かった
とても平易な言葉選びで、突飛な比喩もなく、人間なら誰しも心の奥の方に置いてある自分でも目を背けたくなる何かの存在を浮かび上がらせてしまっている。優しく包まれた狂気とそれに屈する快楽。この本のタイトルを再度目にすれば、それがもう呪いの言葉にしか聞こえなくなっていることに気付く。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?