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フォトエッセイ

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何気ない日常の中で、ふと気になってしまうモノ・コト。季節の写真を添えて、短い言葉にまとめたエッセイ集です。
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#丹生都比売神社

世界遺産「高野参詣道 三谷坂」を歩いて③【和歌山】

三谷坂を登り切り、無事、天野の里に到着。花盛祭の渡御行列を見るために、私たちは世界遺産・丹生都比売(にうつひめ)神社まで歩きました。 丹生都比売神社 花盛祭 丹生都比売神社の鳥居をくぐると、境内には参道の両側に色とりどりの花が飾られており、とても華やかな雰囲気でした。 ほどなく始まった渡御行列は、天狗の姿をした道開きの神・猿田彦さまが先頭です。 猿田彦さまに続いて、笛を吹く人、弓や刀を携える人、獅子頭を持つ人、お神輿を引く子どもたち……時代衣装をまとった行列が粛々と進ん

厄除け祈祷 ~丹生都比売神社へ~【和歌山】

今年は前厄なので、年が明けてから早いうちに厄除けのご祈祷をお願いしたいと思っていました。 地元の氏神様や、毎月一日にお参りしている和歌浦の玉津島神社さんなど、信用してお任せしたいところはいくつかあるのですが、なぜか、 「厄除けは丹生都比売(にうつひめ)神社でご祈祷を受けたい」 しっかりとそんな気持ちになったのです。 丹生都比売神社はかつらぎ町天野に鎮座する、高野山の守護神。弘法大師空海が密教を開く場を探していた際、高野山へ導く助けをしたとされる女神・丹生都比売さまがおまつり

朱の饗宴・丹生都比売神社

11月半ば、丹生都比売神社(和歌山県かつらぎ町)に参拝しました。 神様の鎮まる天野の里は標高約430m。空気はひやりと冷たく、すでに冬の気配を漂わせていました。 輪橋のまわりの紅葉がことに艶やか。 遠目に見ると、橋を渡ってゆく人影が紅葉の色に染まって、ゆるゆると動くオブジェのよう。 輪橋は豊臣秀吉の側室・淀の方の寄進で造られたと伝えられています。 紅葉の色と相まって、橋の紅色がとても冴えて見えました。 江戸時代に建てられた「光明真言曼陀羅碑」にも紅葉。 この石碑には円形

結界の雨【丹生都比売神社】

その日、丹生都比売神社にはこまかな雨が降っていました。 9月上旬、まだ日々暑さの残る時期でしたが、駐車場に停めた車から降りると、半袖がすうっと肌寒く感じられるほど。丹生都比売神社の建つ天野の里には、もう秋の気が立ち込めていました。 ほどなく雨が小降りとなったため、折り畳み傘は鞄の中へ。ちらほら細い糸のような水が落ちてくる中、二つ目の鳥居をくぐると、ブーンと羽音がして、小さな虫が間近に飛んできました。左側に回り込んだとたん、羽音が止まったので、そっと左手を上げてみると、薬指に