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ペルさんのオタクが人生で初めて推し香水をオーダーした話

香水が好き。

香りが、と言うよりはボトルのデザインとか各ノートの名前の羅列が好きで、よく調べたりお店を覗いたりする。冷やかしよろしく香り楽しんだらフラッと店を出ていってしまうんだけど。

私はドのつく庶民なのでお高い香水の良さは分からない。
シャネルの何番、なにそれ何番まであるの?だし、1番好きなのは?って言われても知る人ぞ知るみたいなのは上げられない。
「あっブルガリのプールオムです」くらいしか答えられない。 あれは昔から好きなやつ。

それでもミニボトルを50個くらいちまちまと集めては棚に飾って、たまに蓋を開けて香りを嗅いでニコニコするような少女時代を過ごしたこともあるくらいには好きだった。

そして今やオタク活動にかなり密接に関わってきている推し香水という文化。
とてもいい。すごく好き。なんでもあり感もありつつ解像度の高いキャライメージと説明文はそれだけで読み応えがある。

主に女性人気の高いジャンルなら作ってない作品あるの?ってくらいメジャーになってきていい時代だなぁと思ったりする。
ボトルのデザインもキャラごとに全然違って個性的だったり、作品で統一されてて並べた時めちゃコレクション感が出てかっこよかったり。
どちらかと言うと推しの香水が出なそうな作品を好んできたし、香水が出る作品だとしても推しキャラの香水は出ない方の人生だった。
そのせいもあってか前に担当アイドルの香水がわんさかと出た時はとても楽しかった。そのうちの何個かは実際に購入しているし、今でも普段使いしているものもある。


余談だけど今のお気に入りはにじさんじのベルモンド・バンデラスさんの香水。私自身男性キャラの好みがこの系統なのもあり、私の手元の推し香水は大抵こういう香りで統一されている。渋くてスパイシー、セクシーな大人の香り。
友達に「好きになったらダメになる男の香りがする」「バーで女口説いてそう」とか言われる。




さて。そんな現在、私の推しは、ONEPIECEのペルさん。

自前の絵で恐縮ですが この人

 
もう20年以上大好きなワンピースの初恋の人。
ワンピースも公式から香水は出ているけど、当然ながらペルさんの香水は出ていない。断言するけど今後出ることは十中八九ない。出ることがあったら店ごと買い取らせて欲しいとか言い出すだろうから出ない方がいい。

それはそうとワンピースの香水の説明文から溢れるポエティックが私の肋にめちゃ刺さるやつなので興味があったら読んで見てほしい。
マルコとかベックマンとか良すぎてライターさんにお金包みたいレベルで好き。




私の中ではペルさんに正直香水のイメージがない。
でもいい香りはしそう。
アラバスタは香水が名産の街があるくらいなので、ナミさんがつけていた女性用の香水以外にも当然男性用の香水もあるだろうなぁと漠然と思ったりしている。
でもペルさんやチャカさんは香水つけてそうなイメージがあんまりない。あくまで個人の感想。
まぁ、王宮仕えの戦士だしな…
コーザはなんかお気に入りの香水が1個や2個ありそう。モテる男の匂いがしそう。絶対あいつはモテる。

「ないなら作れ」の精神でぬいも作って絵も描いているオタクだけどさすがに香水はどうにもならないし、自分の思い描くペルさんのイメージの香水を自分で探せるほど自分の鼻は信頼に値しない。



なので、オーダーすることにしました。




今回オーダーさせていただいたのはこちら。

scentlyさん。

お値段が手頃だったこと、シンプルなスティックサイズの白い容器と解説レターとのパッケージ感がすごく素敵だったので、ほかと比較するまでもなくここに決定。

さっそく設問に答える形でイメージを伝えるオーダーシートの記入をしていく。

「エジプトがモデルの砂漠の国の出身です 」
「ハヤブサに変身して戦います」
「こんな人です、あんな人です」
サクサク記入していく。こういうとき変に恥ずかしがるとイメージがブレるから隠す気ゼロでいいんだよと開き直りつつ、読んでる人はワンチャン気付きそうだな、とかちょっと恥ずかしくなりながらどんどん書き進めた。
自意識過剰と指を差されるタイプのオタク。

詳細全部は伏せるけどとりあえず私が持つペルさんへの全印象をなるべく簡潔にまとめ、オーダーシートの記入を終えた。

私自身がそういう香りが好きなんだけど、エジプト料理と言えばスパイスを多く使う、っていう印象があったのもあり、オリエンタル系とかスパイス系の香りが似合うとも書いた。もちろん、希望に添えないかもしれないことは承知で。

イメージする飲み物は紅茶を選んだ。小説で穏やかに微笑みながらイブリックから紅茶を注ぐあの描写がとても好きだったから。あの時の紅茶が砂糖たっぷりだったのかどうかが気になって仕方ない。
エジプトでは砂糖たっぷりで飲むのがスタンダードらしいことは、こないだ行ったエジプト料理屋さんでエルアローサティーという紅茶を頼んだ時に知った。
チャイハネに漂うタバコの煙の中で甘い紅茶飲んでるペルさんを想像したらなんだか嬉しい気持ちになる。
“居る”感が強い。タバコはさすがに吸わないかな、どうだろう。

話が逸れた。ここで謎にオーダーシートを3日寝かせてから、じっくりオーダーシートを読み直し、注文。支払いを済ませ、届くのは年明けかなぁと思いながらのんびり待った。



届いた。


年は明けて2024年1月22日。趣味のあれこれで旅行していた東京から帰り、不調の体に鞭を打って仕事をしていたそんな時に届いた。


サイズ感。参考:ペルさんぬいは全長20cm。


パッケージ感がシックで可愛い


ついに来た~!全体的なモノトーンな感じが奇しくもペルさんのカラーリングにあっていてとても嬉しい気持ちになる。
オーダーシートを書く時にペルさんのイメージカラーとして紫、黒、白を入れたんだけどレターの表紙に反映されているっぽい。素敵だ。
ネックレスのオレンジを入れても良かったかもしれない。

まずはドキドキしながら解説レターを開く。

私の設問への答えから「「ストイックながら柔和で心優しい方」「優しさと厳しさを併せ持った方」という解釈をしました」と書いてあった。
文字から押し寄せるエモさに気が遠くなる。怖くてまだ香水の香りを嗅げない。
あまりにもシンプルにペルさんを評し過ぎている。これが語彙力。

ペルさんの人柄と相性が良いと判断されて入っていたバジル、香水に使われてるのは初めて見た。バジルも香水に使うんだ…

「大人の甘さと力強いスパイシーさ」って書いてて優しくて強いペルさんそのものなんじゃないか?と思って膝を打った。すごい。すごいぞ。 

香水で使われるものの中だと特にサンダルウッドの香りが大好きで良く選ぶんだけど、実際今回の香水に使われていたのはシダーウッドだった。
どうせ鼻音痴(?)には違いなんて分からないんだからウッディ系なら全部好きよ~ってなってたら

「ラストノートに使われている「シダーウッド」は「君のために生きる」という花言葉があり…」

ここでエモさで前が見えなくなる。


……なんて????????


「シダーウッドには君のために生きるという花言葉があり、彼の強さと優しさを感じていただけるのではないでしょうか」


「君のために生きる」




うわぁ…………



うっっっっわぁ………………



最後には「彼に包まれているような時間を楽しんでいただけますように」と結ばれていた。
夢女子の脳は必ず破壊しようという決意が滲んでいる。殺意が高い。私は夢女子では無いはずだけどしっかり脳は破壊された。

こりゃーどえらいものを手に入れてしまった。あくまでイメージとはいえ、非公式とはいえ、香りのプロが「これがペルさん(イメージ)だ」と思って作ってくれた香りがこの世に存在する…
凄いことだ……素晴らしい文化だ…推し香水…。

解説レターには私が書いたオーダーシートからかいつまんで丁寧に理解してくれたペルさんへの解釈が短いながらも優しい言葉で綴られていて、何度も何度も首がもげるんじゃないかってくらい頷きつつ、一旦正座して合唱した🙏🏼🧎 


お待たせしました、香りを嗅ぎます。



つける前から漂うお香のような渋くて落ち着きのある香り。既に好き。

【トップノート】
手首に吹き掛け、首元にもつけたら甘ったるさは全くゼロの大人っぽくて落ち着いていてエキゾチックな香りに包まれた。
これがペルさん(イメージ)の香り……

正直、一切の齟齬を感じなかった。ペルさんはこんな香水つけてるんだよって言われたらわかる~!!ってなりそうなやつ。香水というか、どちらかと言うとペルさんの部屋がこの手のお香の香りがしそう。お気に入りの本にこの香りが染み付いていそう。

そりゃまぁ、自分のイメージするペルさんを言葉にして作ってもらった上に私の好みの香りで調香されている香水なんだから私のイメージからそんなに大きく逸脱する訳ないんだろうけど、色んな人にこれがペルさんの香水だよって言っても誰も文句言わなそうだなって思った。とても独善的な意見ではあるけれども。

とにかくギラギラしてないかなり落ち着いた感じ。The香水って感じがしない、砂の国アラバスタによくマッチする乾いたアースカラーな香り。好き。

【ミドルノート】
数十分経った頃にふと、今度は柔らかい甘みが香った。
バジルはミドルノートにいたからこの甘みがそうなのかなとか思ったけど全然わかんない。シナモンも入ってるっぽいけどあのクセは感じない。どの道私の鼻はそれを見つけて理解する力は持っていない。
とにかくハーバルで少し甘さを含む香りが来て、つけ始めと変わっていったのはわかる。明らかに柔らかさが増した。厳しそうな鋭い目付きでスッと訓練所に立ってたようなペルさんのイメージから、こちらに気付いて優しく微笑みかけてくれるようなペルさんのイメージに変わった。


【ラストノート】
数時間経った頃にはもうずっと木の香り。ヒノキも入ってるぽい。名残、余韻として寄り添ってくれる香りとして大正解すぎる。
触れただけでパキ、と音を立てて割れるような細い枝や乾いた葉を想起させるカラッとした空気感があった。でも温かくて包容力さえ感じる香り。
涼を得ようと細い木の影に佇んでいたりとか、優しく目を伏せて物思いに耽っていたりとか、そんなペルさんの姿が浮かんだ。

男としての魅力をぶつけてくるみたいな、グイグイくるしつこさとかは微塵もなくて、ベタベタしない距離感と清廉な佇まいで傍にいてくれるペルさんそのものの香りのような気がしてきた。

こんな香りのお香を焚いた部屋で本を読んだり、そんな香の柔らかさが微かに香る本を片手に木陰に腰掛けてビビ様の姿を優しい目で追っかけたりしてるんだろうな、ってなった。



世間が思うペルさんのイメージは私には分からないけど、少なくとも私がイメージするペルさんは乾いた砂漠の世界に生きる屈強な戦士。その反面優しくて、強さと厳しさもそこに同居する温かな人柄。
そんな、“私の中のペルさんの人物像”に、完璧すぎる解釈で香水を作っていただいたなぁっていう印象。とにかく感謝しかない。
最後の最後まで一回もあれ?って思うことなく、解説レターに書いていただいた通り「ペルさんに包まれているような時間を楽しむ」ことが出来た。

オーダーを書いてからその香りを嗅ぐまでの約1ヶ月半。ワクワクと緊張に満ちていてとても幸せだった。推し香水、とてもいい文化だな。

もっと早く手を出していれば良かった~!けど今だからこそペルさんで作れたんだよな。それはそれは喜ばしいことです。ペルさん推しててよかった~。

量としては約200プッシュ分だそうで。もうすでに減るのが怖い。2本目が欲しい。貧乏性め。
なんならチャカさんのも作ってみたいし、ほかの推しでも作ってみたい。

どうも推しCPでも作れるんだって……怖いですね(まんじゅうこわい)

とてもとても良い経験をしました。皆様も是非機会がございましたら推しの香水を作ってみてはいかがでしょうか。

推し香水はいいぞ



読んでくださった方、ありがとうございました。





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