見出し画像

天狗岳②

5時30分起床
身支度を整えサンドイッチを頬張り
日が昇る前に出発

登山口へ入るとすぐ見事な苔と
白樺が広がっていた
北海道では白樺に囲まれた小学校へ
通っていたので思わず嬉しくなる

よく見るとあちこちの朽ちた樹木に
新たな命が息づき生命力を感じた

10分程歩き、身体の温まってきた皆が
上着を脱ぎ始め、みんなを撮っておこうと
少し上から携帯のカメラを構えて愕然とした

待って、このメンバー
よく見るといつも
身体を鍛えている人たちではないか
私の分類ではアスリートだ

例えば
山手線29駅をまわる
チャリティイベント「ヤマソン」で
私は1日かけて29駅を歩く

いつも時間ギリギリで
最後は小鹿のように脚を震わせ
やっとの思いでゴールするのだ

一方、アスリートチームは昼頃にゴール
優雅にマッサージをうけ銭湯で汗を流し
豪快にビールを飲んだ後、
ゴールする友人たちへ温かなエールを送る

そのアスリート達が
このなかにいる気がする

いいや、いる

暑くなってきたねと
微笑むさとちゃん

この笑顔に騙されてはいけない
私は知っている
フルマラソンを11回も走る
アスリートであることを

もう1人の女性参加者まっきー
小さな身体に可愛い笑顔で癒される
だがしかし!
ツールド東北100㎞を完走する
マラソン好きのランナーでライダーなのだ
アスリートじゃないかぁぁっ!

ぐっさんなんて数年前から
長野へ移住して木こりになってる

休みは何してるんですか
「山へ行ったり、藪漕ぎ(やぶこぎ)してるかな」

藪こぎってなにっ!

説明しよう 
藪漕ぎ(やぶこぎ)とは
ササや雑草、タケ、灌木などが繁茂する山野を
かき分けて進むこと

遊び通り越してるし!

談笑している皆を見ながら
問いかけた
誰よ、初心者も登れる山だって言ったの

思い出そうとしたけど
誰も言ってなかった

私が勝手に
初心者も登れる山だと思ってた

またか
また私の勘違いか 

ボランティアで
軍手を持ってくれば右手と右手
カッパを持ってくれば下と下
この間は、フライパンに
油をひこうとしたのがウイスキーで
フランベしてた

今日はこの後、
車にコーヒーカップを忘れて
カップヌードルの器でコーヒーを飲んで
下ちゃんに笑われるんだ

慌てん坊with勘違い
自分を信じてはいけない
そんな言葉がなんだか沁みる

「そろそろ行こうか」

はーい

先頭はMっち、次に私
登山を初めたとき
歩き方や足の置き場所を
教えてくれたのがMっちだ

ザックもしばらく借りてた
勢い的にはあのまま貰えそうだった←

息が上がらないよう
ゆっくり歩いてくれるのは
前と変わらずで

アスリートに囲まれ
秘かにおののいていた私を
支えてくれたのは
この息のあがらない歩き方と

Mっちの
「先週の至仏山より低いよ」の一言

だったら行ける!

それが今の私の支え

よし、登るぞ!

Phot by OKADA

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?