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さ迷い子

あの女の子は…探していた人に出会えたのだろうか?

そう…確かこの辺りだった。何年前だったっけ。

地元の駅前の大通り。駅に向かって歩いている時だった。日中だというのに珍しく人気が全くなかった。

いつも通り、脇をバスなんかが通り過ぎては行くものの、自分以外は誰ひとり歩いていなかった。その時は特段それを気にも留めずにいた。

と、突然、右腕の袖口を後ろから2回引っ張られた。
引っ張っているのは、髪の毛をツインテールにしている、4〜5歳くらいの小さな女の子だ。

私を誰かと間違えたらしい…瞬間そう思って、姿勢を低くしながら振り返り…「どうしたの?誰かと間違えちゃったのかな?」

…そう言いながら振り向いたそこには誰も居なかった。ずっとずっと後ろまで、通りには自分以外、誰ひとり居なかった。

あの時、振り向く前の自分の頭の中に鮮明に視えた女の子は、今でも探しているのだろうか?

…きっと彼女にとってとても大事な…大切な誰かを探しているのだろうか?

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