映画[いなくなれ、群青]ネタバレ
2019.09.03 at UDXシアター
映画を一足先に鑑賞してきました。
今話題の横浜流星さん主演であることで認識している人も多いかと。
私は単純にミステリーが好きなので、あらすじを見て是非見たいと思っていた作品です。
ミステリー作品が好きな人って「犯人は誰だ!」というような謎解きや「どんでん返し」などを私のように期待して視聴される方も多いと思う。そんな人に簡単に言ってしまえば原作を読みこみたくなる作品であると思いました。
ただし、映画の始まりからなんとなく期待しているものと違うように感じて「なんかアニメっぽい」と思ったのでそういうのが苦手かもと思われる方がいたり、正直そもそもこの作品の内容が合わないと感じる人もいると感じます。
あらすじ
ここは階段島、奇妙な島。突然にこの島にやってきてしまう、それでも誰もこの島の秘密を探ろうと思わない。しかし誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇(飯豊まりえ)。彼女との出会いは、安定していた主人公(横浜流星)の高校生活を一変させる。連続落書き事件。そこに秘められた謎……。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。
私は原作未読。このような感じのあらすじをfilmarksで読んでクリップ(見たい!と思って押すとマイページで一覧で見れるので何を見ようか何を借りようかってサッと思い出せる良い機能)していたのです。
なので、後々レポさせて頂くプロデューサーや監督とのティーチインでの原作を読んだことがある人の違和感というものはわからない初見の感想になります。
自分が1番感情移入のできた人物は豊川さん。バイオリンを弾いているキャラクターです。
高校生の頃はこんなピュアな気持ちはなかったものの、小学校の時に始めて挫折を味わった後の母親の「ピアノが嫌いになるくらいだったらやめてもいいよ」と言われて辞めてしまったあの時の自分を思い出してざわざわしました。
結局はやって良かったと今なら思うけどあれ以来私は極端に人と争うことが嫌いであり避けている。かといってそんなに平和主義者だと自分自身思わないです。
クラスのみんなに期待されて学園祭で伴奏に選ばれてやりたくないと言えずにいたことなど一気に思い出しました。
この映画は七草と真辺の物語であるが故にそんなに尺はない。しかし、この2人と関わっているキャラクターも少ない尺の中でわかりやすいキャラクターに仕上げてあるところは事前情報なくして観ても安心して見れました。
ここからはティーチインのレポートを交えた感想になりますので、以下ネタバレ見たくない方はここまででさようなら笑!
登壇者→企画プロデュースの菅原さん、柳さん。
菅原さん曰く「見終わった後お話ししたくなるような作品かなと思ってこういうお時間をいただいた」という事でした。いやぁ私は本編中に魔女が誰だった!ぎゃー!みたいな心理描写が主人公やヒロインに全くなかったんでそこら辺は原作だと出てくるんですかね?ってまず観た人と話ししたいと感じてました。会場で魔女が誰かわからなかった人もいたというのはビックリしたけれども、そういうセリフや確定的な犯人はお前だー!みたいな問い詰めるシーンはない映画でしたからね。
⭐️この原作を映画化しようと思ったきっかけは?
菅原さん「アニメが1番ふさわしいかなと思った(頭を)よぎったんですけど、僕たちエイベックスピクチャーズというアニメを主で作ってる会社なんですけど、アニメには置き換えやすいというと言い方はあれなんですけど、こういった作品が実写で意外に世の中に出てないなぁと頭によぎって、せっかく作るなら実写でトライしたいなと。実際にこういう作品が仮に邦画で実写でお客さんの評価をある程度得ることができれば今後こういった『ファンタジー』とか『ライトノベル』という部類がもうちょっと実写の方にも入ってお客さんに知ってもらえるかなと思ってっていう考えがよぎった」
私の第一印象のアニメっぽいなというのはこういうのもあったのだろうか。ちなみにエイベックスピクチャーズの作品は前にお仕事でハマトラという作品のイベントのレポートを書かせていただいた記憶が!他にも最近見たゾンビランドサガなど人気作を製作されている素晴らしい会社であると存じておりました。
⭐️監督が映画化において意識した点は?
監督「原作のすべての魅力を詰め込めるかといったらそれは不可能なので、映画化する時の魅力ってなんだろうとか、なぜ映画化しなければいけないのかっていうところをすごく大事にしようと思った時に自ずと究極に美しい映像美が必要だとか、文字だけから出てこない感情を大事にしなきゃっていうことで役者の方々には頑張ってもらった」
ちなみに原作は6巻あるようですね。この作品は1巻目をメインに描かれているという話でした。
監督「続いてく中の1巻目で伏線だらけだったのである程度捨てなくてはいけない、何を拾うかを意識してこの作品の本筋の何を言いたいかなど大事にしていった。その時に1巻ではピースが足りないなっていう時に二巻の中の群像劇的要素をもらったり…。あと堀っていうキャラクターだと1巻2巻だけだとちょっと見えないこともあったので、堀に関してだけは矢作ほのかさんに4巻までの設定を全部入れた上で演じてもらっているっていう感じです」
なるほどーとなりました。
本当にサブキャラがわかりにくいのってナドくらいだった印象でしたのでそこら辺考えられたのだなと思いました。堀はとても重要なキャラクターだと終盤感じるのですが最初はいてもいなくてもみたいなクラスで影の薄そうな、記憶に残らなさそうな印象だったので感心しました。
菅原さん「原作読まれた方は原作と映画の違いを感じたと思うんですけど、個人的にはこれを群像劇というか夏の高校生たちの青春映画の側面も持たせたいなと思ったところが意識したところで、七草真辺の二人以外のポスターにもなっている5人たちにもかなり焦点をあてた」
これが私的には良かったポイントだったので、置き去りにされないポイントだったと思ってるので良かったです。
⭐️世の中的にピンク頭のゆりゆりで大ブレイクした横浜流星さんをそれよりも前に主演でっていうのはどういう狙いやポイントがあったのか?
菅原さん「髪がピンクになる前の彼だったんですけど、僕映画初めてですがその前に舞台でプロデューサーメインでやっていて、せっかく自分が映画をやるということで舞台に携わった子たちとやるのが良いかなと思って。当時流星だけじゃなく広大や麻璃央も舞台をやっていて。ただその中でも一番可能性があって芝居上手いってところを前提でPICして…」
横浜流星さんについて詳しくなかったのですが光る才能があっての抜擢だったのですね!今もまもなく最終回を迎えるあなたの番ですも2クール目からながらもかなり重要な役を演じておられますよね。もちろんブレイク中というのもあるんでしょうが、演技が上手いっていうシンプルにとても大事なことが備わってる素晴らしい役者さんなんだなぁと思いました。
⭐️モノローグから始まって小説のように区切っていた感じがしたのだがその辺の意図は?
監督「やってみたっていうのが正直始まり。第一に小説感を何か入れよう、もともとやろうと思っていたのが映像の中に文字を出そうと。ただ挑戦してみて最初の試写まで入れてみたら反応もよくなく自分でもしっくりこなかったんで一回諦めたんです。観ている中でどこを追っかけて良いのかわからないところがあって七草の感情について行きたいけど途中群像劇にもなるし。この島の問題のことを言ってたけど音楽祭の話にもなるし。そこを一回整理できるような感じで区切ってみようかなと思ってやってみたらその前よりもみやすくなったし小説感にしたいっていうところも成立したのでやってみたという感じです」
原作を読んでいる方は戸惑われたようですが私はこの演出がアニメっぽくも感じたし、この映画の製作者らしさになっていく演出なのかなと感じました。昔「涼宮ハルヒの憂鬱」のアニメを見ようとした時に順番が違っていてWikipediaを見ながら順序通りに見ていったんですけど、それを思い出したんですよね。
この質問者さんの「小説の世界と映画の世界は別であってほしいという思いがある」そうでこの意見には賛成でした!まんまだと先に良い原作を読んでしまうと物足りなくなってしまうのは仕方なく、だからこそオリジナル要素が欲しい人間なのでとても頷けました。
⭐️映像へのこだわりを
ロケ地は伏せているそうです!
監督「原作があまりに美しいもので絶対美しくならなければならないっていうのがあった。」
⭐️2人がタッグを組むきっかけは?
菅原さん「プロジェクションマッピングとかで舞台をやっていて、監督がマッピングをお願いした会社でディレクターをやっていたのが出会い。舞台の打ち上げで映画やりたいんだよねってボソッと言った言葉に『私監督やりたい』って言ってこの原作どう?という流れだった。」
⭐️結末について、メインのキャラクターが元の世界に帰るところで終わらせなかったのはなぜか
監督「もともと作り始めた時に完結していなかった作品で、なぜ映画化できると思ったのかというと私はこれは心の話に近いと思ったんですよ。誰しもが心の奥底に何かしら蓋をしているところが階段島だとしたら、そこには何かあると。それがとても愛おしい存在なんだっていうその子が一生懸命生きていたことは全部無駄じゃなかったっていうことが1巻では描かれていて、でもこの世界で生きていく上でそれを拾い上げることが正解とも描きたくなかったし、現に私たちは捨てることができないんですよね。だからこの映画の中では仮説として捨てている。でもその彼らがとても愛おしくて魅力的でそんな暖かい場所があるんだよって。それだけ提示できればこの映画は充分だなって私は思えたので映画化したという意図があります。」
別に絶対に捨ててしまったということではなく仮説の島ということだったんですね。この場所が居心地がいいものであれば帰ってきても良いんだよっていう優しい監督の思いがこの結末になったということかなと勝手に解釈しました。
菅原さん「真辺が一回いなくなるところで終わった方がいいのではないかという意見が出たりは勿論していて、何を思ってみてるかみなさんによって違うから。帰ってくることによって七草への救いというか、七草目線で見た時に彼がまた感情が揺れ動くっていうその瞬間を見せる映画って言っても過言じゃ無いっていう…。」
⭐️ナドの存在についてどのように捉えながらキャラクターを作り上げたのか
「麻璃央にお願いいしたんですが僕の中でまさにこんなイメージだったんです。正直ナドの正体っていうのも言葉で言うのも難しいので、シンボリックなところっていう立ち位置で決めてしまって、実際流星と麻璃央が並んでるシーン見た時に男の自分でも『何これめっちゃ綺麗な、ずっとみれるなあ』っていう耐えれる画力?大画面で見た時の感覚も大事だろうと思ったんで」
監督「非現実には描こうと、屋上は全部ワンカットで撮ろうと決めて、異次元に来てこちらがずっと観察しているかのような、二人を覗き見しているような感覚にしたかった」
私はこの映画を見て唯一ナドだけはさっぱりわからずだったんですけどこの映画で具現化されたというような解釈でいいのかな?と。
最後に。
この映画は私が好きな音楽家さんである神前暁さんが音楽を担当されているということだったのでそこを本当は聞きたかったなという思いも。
今後上映されていく中で何かの機会に神前さんについてもお話しされるのを拝見できればいいなと期待しています。
ファンタジー映画で青春映画、9月6日ロードショー。
ぜひ劇場でご覧になってみてはいかがでしょうか?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?