記録:『ハリネズミの願い』を読んだ
『ハリネズミの願い』は、オランダの作家トーン・テレヘンさんが執筆したものを長山さきさんが翻訳した作品です。
ざっと要約すると、
1匹のハリネズミが冬眠前にいろんな動物を家に招こうと手紙を書くものの、
「手紙を読んでも行きたくないと思われたらどうしよう」
「相手が喜んでくれるおもてなしができなかったらどうしよう」
など、手紙を出していないにもかかわらずいろんなことを先に考えてしまい、誰にも手紙を出せないといったお話。
童話のような、ファンタジーのような。でも絵本のような。個人的にはすごく読みやすいお話でした。
登場人物はどうぶつだけです。森に住むどうぶつから、川や海に住むどうぶつ、そして遠い砂漠に住むどうぶつも出てきます。しかしハリネズミは「手紙を出したら……」と想像し、そして「やっぱりだめだぁ〜」と頑なに手紙を出さない。
私はこの本を音読しました。ボケ防止です。
そして読み始めて数十ページで号泣しました。
私はこのハリネズミだ。
そう思いました。
行動に移してもいないのに、想像だけで未来に怯え、一歩も外に出ないまま、手紙の一通も送れない。そんな寂しいハリネズミの姿が自分に重なり、気付くとぼたぼた涙を零しながら掠れた声で読んでいました。ヤバい奴やん。
多分、人間関係で悩んだことのない人やキビキビテキパキ動く人はこの本を読んでも退屈に思うかな、と思います。忙しい現代人ほどウウウァァアン!!!となるのかもしれせん。
一方で、ゆっくりのんびりしたい。あるいは優しい気持ちになりたい。そんな人は楽しめる本だなと思います。心の殻が破けて剥き出しになってしまった人は私と同じく泣くおそれがあります。
心のかさぶたってびっくりするくらい薄くて破けやすいですから。
誰も死なないし、死の危機に瀕することもないので、推しが死ぬことを恐れる心配もない。やさしい世界です。
人で描くとリアリティが増ししんどく思っていたでしょう。登場人物がみんなどうぶつだからこそ、楽しく読めました。
『機嫌のいいリス』と言う続編があるようなので、近いうちに買って読もう。
https://www.amazon.co.jp/ハリネズミの願い-トーン-テレヘン/dp/4105069918
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