擦れる

何となく、やっと暗くなった時間に外に出てみた。

最近ここらへんをうろついているネコは、昼間から夕方は家の近くにいるのに、完全に暗くなるとどこかへ行ってしまう。

別に用事があるわけではないが、何をしているのか気になる存在。1ヶ月ほど前から毎日庭で寝ていたり、何度か会いに行っていたら撫でさせてくれるようになった。

帰る家があるのか、遊びに行っているだけなのかは分からない。ただ今日は19時半には居たのに、黒目を大きくしてこちらを見てニャーと言う口で何も言わないネコが、20時半には居なくなっていた。

この前引っ掻かれて、左手の手の甲に傷ができたため絶交しかけていたけれど、今日は何となく、気になった。今日はそんな気分だった。

ふと林に目を向けた。

ザワザワと音がする。
鼓膜くすぐるような、自然の音。

少し肌寒い夜の、木々の音。

枝が揺れるのを見ていたら引き込まれる気がした。大きく伸びた葉に追いかけられる気がした。

視界がぐるぐると渦を巻いた。
飲み込まれてしまいそう。
そう感じて林の反対側へ走った。どこへ行っても暗くて静かで、神戸の街はいつでも明るかったことを思い出して、涙が出た。

最近は夢と現実の区別がつかなくなることが多い。厳密に言うと、現実に起こってほしくないことを夢に見てパニックになったり、数時間前のことを夢のことだと勘違いしたりしまう。

しかし、以前より睡眠はとれているため、薬を弱くされるのが怖くて精神科に行っても何も言えずにいる。
以前より薬も増えたし、作用も強くなったと思う。それで眠れるのならいいが、今後ずっとこのように薬に依存しなければならないのかと思うと、怖くなる。

ザワザワする。

不安で、また掃き溜めにばら撒いては、ただ、ぼんやりとする。誰に言えばいいか分からない妄言を綴って無責任に放置するのは心地いい。

また喉が詰まる。

寝るだけなのに緊張する。一挙手一投足を誰かに評価されているように感じる日々が、はやく消えて無くなってほしい。はやく、消えて無くなってしまいたい。

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