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好きなもの=必要なもの 2/10 「犬」

さて、好きなもの=必要なもの 2/10 は

「犬」。

ものじゃないな、「必要なもの」って書いたけど飼ってない。でもとにかく好きなんです。


理由? まず、かわいいよなぁ。可愛い。本当に。画像を使用させて頂いたこのワンちゃんも、すっごい好き。noteで犬 って検索してこの写真しかない‼︎って思った。

しかも好きな犬っていうのがあって。

柴犬系の耳がピンっ!って立ってて、黒い犬。昔飼ってた犬のような…。たった一匹の、最初から最期まで一緒にいた、黒い犬のような…。



元々小さい時から白い犬を飼ってたけど、祖母が飼っていたようなもので、私や弟には懐かなかった。吠えもせず、動きもせずにじーっとこっちを見ていて、少し怖かった。自分が小さかったから余計に。


やがてその犬は居なくなった。


数年後にやってきたのは、黒い犬。最初に飼おう!って言い出したのはお父さん。反対した母は結局可愛がってた。白い犬が居なくなって内心寂しがっていたであろう祖母も、きっと可愛がってた。文句を言いながら、散歩に行ってくれた。


でもほとんどは、小学生だった私と弟が代わる代わる散歩に行き、色んな所へ連れていった。今日は坂を下るコース。次の日は坂を上るコース。

山道、国道、公園、抜け道…。


一緒に色んな遊びもした。テニスボールを投げてみたり、一緒にサッカーボールを追いかけてみたり。山を登ってみたり。山道じゃなくて山の中。秘密基地にも、あなたは入れてあげる。


でも、中学生になったら、外で近所の子と遊んでばかりもいられない。

遊びは散歩だけになっていった。


同時に、小学生の頃は満足に買えなかった、自動販売機のジュースやお菓子が買えるようになった。お小遣いをもらったら、小銭をポケットに入れて散歩に行く。当時ハマっていたのは紅茶。煌めく夏のアイスレモンティーを、温かさを感じる冬のホットミルクティーを、最後はストレートティーを、

自分が飲んで、キャップに少しだけ。

お菓子を買ったら、こっそりカケラだけ。

本当は人間の食べ物は犬にあげてはダメと知っていたけど、こっそりあげて、一緒に食べた気分になった。楽しかった。癒されてた。

もちろん当番の日は雨でも何でも、散歩に行かなければならないのはしんどかった。寒い、眠い、疲れてる…でも室外犬だから、散歩は必須。時には遅くなったり、当番のことで、家族とケンカしたり…。

でも、黒い犬がいてくれたおかげで、家族の雰囲気は良かった。良くしている、誰かがいた。


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私は大学生になっていた。



ますます少なくなる、家にいる時間。通学、アルバイト、飲み会…。散歩の当番もいつしか回数が減って、「ヒマだなぁ。黒い犬と遊ぼう。」という時間はなくなった。


 今考えるとだからなのか、黒い犬はさらに私との散歩を嬉しがってくれた気がする。

玄関で靴を履く私の足音を聞けばピンっ!と耳を立てて、「散歩に行くよ!」といえばつないでいる紐を精一杯伸ばして「キャウンッ!」と飛び跳ねる。

当番の日の夜になれば昔のように走った。

私も黒い犬も昔に比べたら若くはないので、すぐにバテるしあとは歩くけれども。

ビーフジャーキーを買って、5等分くらいにちぎって、宙に投げる。それを黒い犬は見事に口でキャッチする。どの犬でも出来ることじゃないよ、すごいなぁ、まだまだ運動神経がいいなぁ。

当番でない日は、アルバイトを終えて夜遅く帰ってきた私を、何時でも起きて迎えてくれる。

裏口からこちらを見る黒い犬と、必ず目が合う。疲れているしはやく晩御飯を食べたいけど、見つめるそのつぶらな瞳に負けて、少しだけ遊んだ。


「1番、黒い犬は玲奈に懐いてるよね」家族は少し寂しそうに、言った。「そう?」照れを隠して言いながらも、少しずつ、「いつまで一緒に居れるのかなあ」と考えるようになった。だって私は絶対に就職して、この家を出て行くんだから。


そうしているうちに、就職活動が始まった。





好きなものって、簡単に挙げられるようで難しい。だって好きだから、全部話したくなる。書きたくなる。





サポート受けてみたいなぁ…。