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オレゴン、ナイジェリア、稼働率、カフィシャープ

学生Q.アメリカの観光の歴史について、この講義では出てきますか? 私はアメリカの都市文化に興味を持っています。特にエンターテイメントの集客力などを知りたいです。ところで、先生がお勧めするアメリカの観光スポットはどこですか?  裏スポット的な所があれば教えてほしいです。あとアメリカを旅行するにあたっての注意点(文化的問題)などがあれば教えてほしいです。先生の使われているカメラは一眼レフですか? どこのメーカーですか?
コクジーA.この講義で特別どこかの国を取り上げて観光の歴史を解説することは予定していません。欧州やアジアなども取り上げないとバランスに欠けるだろうし、それだと、あと3科目ぐらい必要でしょうから。でも確かに選択科目でそういう取り上げ方をするのもいいでしょうね。私はどちらかというと開発途上国とかヨーロッパへの興味が深くて、あまりアメリカには詳しくないのですが、シアトルやポートランドはその中でも比較的好きな町でした。若い頃に、オレゴン州立大学の語学研修を受けた時に50日くらい滞在していました。ワシントン州やオレゴン州は一般的なアメリカのイメージと違って、涼しく、森と海に恵まれて心安まる環境です。シアトルはマイクロソフトやボーイング、スターバックスでも有名ですし、イチローが活躍していた時にはセーフコフィールド(今は名称が変わったかな)という野球場訪問が日本人観光客の定番でした。ここの名物はクラムチャウダー(ハマグリのクリームスープ)でメチャうまいです。アメリカの人はだいたい、いたってフレンドリーですが、田舎に行くと彼らの英語は本当に分かりません。イギリス人でさえ「この人達はなんなの?」とよく怒っています。そして彼らは驚くほど日本のことなど知りませんでした。最近はそうでもないかも知れませんが。週末に一人でロスまで行き、空港で「今夜泊まりたいんですけど・・」と電話をしたら日本語で「すんまへん。満室ですわ」と日本語で返事が。私は英語で聞いたのに・・。こりゃ語学研修の期間をもっと延期しないとだめね、とつくづく思いました。私が行った頃は、アメリカの大都市の裏通りを歩く時は5ドル程度をポケットに入れておけ、と言われました。1ドルだと強盗は「こんだけかい」と怒り狂ってズドンと撃ってくるし、100ドルも持っているとやはりこれはいいカモということで殺してでももっと奪おうと引き金を引くみたいです。5ドルくらいがちょうど解放してくれる相場ということでした。それから、学生旅行だとファストフード店にも入るでしょうが、とにかくマックにしてもバーガーキングにしても量が半端じゃないです。サラダを頼んでも大きな鍋みたいなボウルにチキンまで山盛りでそれだけでおなかいっぱいになります。「ノーチキン」と言っても「ノープロブレム」と言われるし・・・。彼らは地球の資源を食いつぶす人種といえるでしょう。見ていて楽しいですがね。本当におデブさんばかりです。ところで、私がこの頃使っていたカメラはキャノンのパワーショットというデジカメで400万画素の安物です。今なら子供のおもちゃ見たいなスペックで、粒子が粗く、本当はずっと一眼レフが欲しかったです。でも当時でも10万円以上するので無理でした。まぁ君たちの視力・知力を相手にするのだから10万画素でいいでしょう。あなたもカメラ好きのようですね。旅行に行ったら携帯で写メをとるなどの安直な行為はやめてください。だいたい、なんで斜めにスマホを構えるのか、と私は言いたい。水平にとれ。写される方はなんで大の字のように両手を掲げるのかね、馬鹿の一つ覚えみたいに。それから自撮りなどするな。景色はそこにしかないが、君は残念ながらどこにでもいる。

学生Q.この間、ふるさとの光を書け、という小テストがありました。観光の魅力とはその地方の「光」を見る行動だと学びましたが、「光」の全くないようなところってあるのでしょうか。                コクジーA.アフリカのナイジェリアを知っていますか? これはあくまで主観ですが、私の海外旅行の経験上でも、光のない最も暗黒の国でした。治安の悪さが凄かったです。欧州の人たちだって「白人の墓場」と言っていたのですから。1980年頃の話です。ODAの調査の関係で訪問したのですが、まず日本からはホテルの予約ができませんでした。今では考えられませんが、そういうチャネルが何もなかったのです。やむなく、現地に張り付いている商社の人に頼んで、部屋代の2倍くらいの料金をデポジットとして建て替えてもらいました。開発途上国には先進国の企業がビジネス・チャンスを求めて進出しますが、最初に入り込むのがバイクの企業です。ホンダとかスズキとか。道路事情などがお粗末だからです。その後、商社が入り込みます。国に資源があれば早いです。少し経済が形を取り出すと銀行が進出します。ODAの案件などを商社の人たちとともに作り出します。相手国の政府が腐敗していると、そこでいろいろなスキャンダルが発生します。その後にトヨタとかの自動車メーカーが進出して市場開拓するのです。セダンは売れません。4輪駆動です。悪路ばかりなので。話が脱線しましたが、4,5日の調査業務を終えて、我々がホテルの精算をしようとしたら、フロントでは「今日は会計の担当が休んでいる、だからデポジットの残金を返せない」というのです。そんなあほな・・・誰でもいいので、と問答を繰り返し、総支配人にたどり着いても「私は偉いが、担当ではない・・」と言われました。要するにデポジットは全部いただく、というビジネスモデルなんだそうです。ホリディ・・という世界的なチェーンなのですが、これがナイジェリア・スタイルの営業なのでしょう。最近も国際的な詐欺グループの一つにナイジェリアの国名が取りざたされているのもむべなるかな、と思ってしまいます。もっと貧しくてもエチオピアなどのようにプライドと品性がある国も多いのですが。ナイジェリアについて元知りたければ、イギリスの作家フレデリック・フォーサイスの小説「戦争の犬たち」がお勧めです。ヨルバ、ハウサ、イボという3民族が大国に翻弄されて血を流し合う物語、というか実話です。ビアフラ戦争という名で有名です。フォーサイスも作家の立場を超えて傭兵部隊を派遣してイボ族を支援したとか・・。そういう歴史があるからかもしれませんが、国民の心もかなり疲弊しているのでしょう。払いすぎたホテル代を取り返すのをあきらめて、空港へと向かい、手続きを終えてさぁ機内へのゲートをくぐろうとした瞬間、「ここから後ろの客、こっち」といわれて係員に別室へつれて行かれ、そこでしばらく隔離です。そして気づいて金を握らせた人から順番に飛行機の中に入れるのです。聞けば空港職員のIDカードが売買され、マフィアの小遣い稼ぎ場と化しているのです。日本の大使館の職員も身ぐるみはがされたことがあるらしいです。国際空港でですよ。空港の職員でさえ、このような強盗のような人たちなんですから、町中では大変です。銀行だって、お客を信用せず、窓口は鉄格子で防備していて、お金を引き出す人には顔写真まで撮るんです。大使館員に、国際空港がこんなだと世界中の国から文句があるでしょうに、と言うと、そういう国なんだ・・というだけでした。日本の駐在員達はみんなドーベルマンとかシェパードを飼っているそうです。この国ではカルチャーショックも大きかったです。未開の国に石油が噴出してすぐの頃だったので、国中がシッチャカメッチャカになっていました。北部で部族間の衝突で治安が悪化していたので、私たちはほぼラゴス近郊に限られた行動範囲でした。ラゴスでは近代的な高層マンションに生活するエリート、というか成金を頼って、ジャングルから親類がたくさん集まってきます。かれらは裸足で、マンションの廊下でたき火をしてトカゲを焼いて食べたりしますが、その腕には純金のブレスレット。道ばたで物乞いする人も裸足のくせして、金の指輪をしていたりします。観光客向けのレストランではラーメン一杯が3500円もしたのを思い出します。国民向けの昼飯だったら、1円もしないのに。こういう国を訪問すると「この国は荒れているなぁ、治まっていないなぁ、尊敬するに値しないなぁ、うらやましくはないなぁ」などと思います。「光」が見えないのです。いくら有名な寺院があったり、史跡があったり、高い山が合ったとしても・・・です。

学生Q.客室稼働率は少し複雑だった。まさか今日、前のレジュメを使うとは思わなかったので、忘れてしまった。次回は忘れ物はなしにしたい。
コクジーA.レジュメの積み残し部分に戻ったのは、私の連絡ミスです。でもみんなわかっていないようだったし、これは大事なポイントでもあったので、あえて復習説明を行いました。稼働率のことですが、これは利用率と言い換えてもいいです。施設や空間がどれだけ有効に使われているかを測る指標です。
例えば、100室の部屋を持つホテルを想定して下さい。毎日平均して70室が利用されているとすると「室稼働率」は70%です。これは簡単です。もうひとつの指標は「定員稼働率」です。部屋がすべてシングルであれば、定員稼働率は室稼働率と同じなのですが、全部ツインの部屋だったとたらどうでしょうか。そうなると定員は200人のホテルということになります。そして全員が2人で使うとは限りません。2人利用が50室、1人の利用が20室であるとすると利用者は120人となり、120/200=60%となります。この場合は室稼働率70%、定員稼働率60%となります。教育上、例としてはふさわしくないですが、ラブホテルなどは一日に3組のカップルが利用することだってあり得ます(気持ち悪)。そうなると室稼働率も定員稼働率も300%ということもあり得るのです。ん? 1人で使う場合もあるかな? わからない。一つの部屋を3組が一日に利用する、この3を回転数ともいいます。大学の食堂なども学生が集中するのはお昼だけ。そこで何回転させるかが経営者にとって勝負になります。外食も様々なお店がありますが、オジサン相手の定食屋は回転が早いです。オジサンは食べるのが早いからです。つまようじをシーハシーハ言わせながら、すぐ店を出ていってくれます。でもOLに好かれるパスタ専門店などは回転が少なくて経営者にとっては悩みのタネです。髪を掻き上げては少しだけツルツル口にいれ、おしゃべりして、また髪を掻き上げてパスタツルツルです。行列のできるお店!なんてキャッチフレーズも単に回転が悪いだけかもしれません。堅くて長く座っていられないイスを用意するというのも、対策のひとつでしょうか。大学の教室のイスも堅いですが、これは寝心地を悪くするためのものであり、教室の回転数を上げようとしている訳ではありません。

学生Q.授業開始時に座席チェックを行って、守っていない人は欠席にしていると先生は言ってましたが、授業中に先生の目を盗んで、ばれないようにこっそり移動している人がいました。先生が気づいていないのなら、座席チェックをしても意味がないと思いますが、どうでしょうか?
コクジーA.そうですか。よほど友達とくっついていないと不安な人がいるんですね。君たちが見ても、そういう人ってなんだか、小学生並みだと思いませんか? さすがに、200人もいる教室でそこまでは私もつきあいきれません。勝手にしてください。もし、君が「先生! ズルイことしている人、発見しました、あそこです!!!」と大声で教えてくれたら、助かるんだけど。

学生Q.レジメの2ページの左上のスライドの穴埋めですが、「ボリウム」でなくて「ボリューム」ではないですか?
コクジーA.そっか。そういえばそうですね。正直、あまり真剣には考えていませんでした。ボリュウム、ボリューム、ボリウム。テストに出ることはないですが、発音の正確さでいえばボリュームが正しく、とはいえ他でも良い、ということにしておきましょう。沖縄に初めて行ったとき、看板に「カフィシャープ」と書いてあって「何かなぁ」と思っていたら、コーヒーショップのことでした。当時、沖縄は米軍の施政の影響で基地に働くおばあちゃんなんかも平気で英語を喋っていましたから、看板の文句も「しゃべり言葉」を正確に表現していたのです。生きた外来語でした。

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