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期待以上の感動&飛行機あれこれ

学生Q.私はサイクリングで小旅行して、いろんな都市を観光するのが好きですが、自転車の観光ってどうなんですか? ところで、今日の講義に出てきた「島のネコ」の写真がとても可愛かったです。旅先でのああいった一瞬の出会いというのも、観光の醍醐味ですね。
コクジーA.自転車で全国縦断する若者、とかいう話はよく耳にしますが、これはやはりマニアでしょうね。観光(サイトシーイング)目的というよりはサイクリングというレクリエーションを楽しむ人たちでしょう。観光行動における「移動」は大きく、①自宅から観光地までの交通と、②観光地内での交通に分けられます。②の観光地内での交通では貸し自転車を借りるケースがあります。飛弾高山、萩など地方の小京都のようなところで盛んでした。これらは鉄道+レンタサイクルのセットで若い人たちに人気がありました。しかし、モータリゼーションの発達に伴い、バス利用者やマイカー利用者にとってレンタサイクルの必要性は薄れてしまいました。あるいはレンタカーに取って代わられましたね。
さて、「島のネコ」との出会いは私の旅先でのハプニングだったのですが、そういう「意外性」というのが観光の魅力の一つでしょう。観光客の満足度というのは、観光客が「観光経験によって得る感動」と、「訪問以前に有していた期待」との「差」だといえます。感動が期待を下回れば、観光客は「不満」を覚えます。感動と期待が一致すれば、観光客は「満足」します。感動が期待を上回れば、観光客は「喜び」ます。提供できる感動だけを観光客に約束し、期待させた以上の感動を提供することで顧客を喜ばせるのが賢い観光地、観光事業者のやり方だといえるでしょう。この論理で言うと、観光地は観光客に過大な、あるいは過小な期待を植えつけないように配慮しなければなりません。正確な情報が重要であるというのはそういう意味なのです。多くの観光客を誘致するために過大な期待を植えつければ、観光客は失望してしまいます。これが、いわゆる誇大広告です。一方、満足度を高めるために、わざと過小な期待にとどめていた場合には、観光客はそこそこの感動であっても、意外性に満足するかもしれません。しかし、それ以前に「行こう」という気持ちを起こさせません。
  成功をおさめている観光地というのは、高い期待を顧客に植えつけ、さらに「期待以上の感動」を提供しているのです。ここでいう、「期待以上の感動を与える」ということは、言うは易く行うは難し、です。「期待された価値」を減じることなく正確に提供するのは観光地で働くプロフェッショナルの仕事です。一方、「期待以上の感動」は「人の管理を越えた自然」であったり、アマチュアの人たちによってのみ可能な予期せぬ演出であったりします。ここでいうアマチュアとは住民であり、島民であり、非観光事業者であったり、可愛い表情で出迎えてくれる「ネコ」であったりするのです。

Q.先生の授業では、例として実際の地名などを使って、説明してくれるのでわかりやすかったです。これから理屈だけでなく、いろいろな実例を教えてください。
A.実例で観光の「おもしろさ」と「おっとろしさ」を私の体験から教えましょう。これは観光事業概論の講義内容とは別の「付録」です。だから、覚えんでもよろしい。今回は航空会社編。皆さんの海外旅行の時のために参考にしてください。実名を上げますが、あくまで私の個人的な体験なので航空会社の関係者の抗議は受け付けません。
①エジプト航空はジコチュー:ドバイ発カイロ行きの航空機が天候不順でルクソールという砂漠の街に臨時着陸しました。客は機内から灼熱の滑走路に追い出され、外の温度50℃。旅客は不具合のチェックが終わるまでみんな飛行機の羽根の下に避難してふうふう言っていたのに、スチュワーデスは機内でエアコン聞かせてトランプ遊びをしていました。
②パキスタン航空はダサイ:北京を発ってしばらくして操縦をオートにしたパイロットが客室へふらふらと出てきました。彼は裸足にサンダルばきでした。それ以降、やたら飛行に不安を覚えました。またキャビンアテンダント(パキスタンでは女性は外で働かないことが多いです)が軽食を配ってくれたのですが、ティッシュペーパーにあちこち欠けたクッキーが4つ5つ。手はチンパンジーみたいに毛むくじゃらでした。
③エアーマニラは超貧乏:もうつぶれてしまったフィリピンの航空会社ですが、客席のシートカバーが他社の中古品。ルフトハンザや日本航空など様々です。私の席はリクライニングにしたとたん戻らなくなってしまいました。着陸時は私だけ水平飛行でした。
④大韓航空は仕事熱心:着陸時、車輪を出して接地しているのにまだカートを押して免税土産品を販売中でした。すごいスチュワーデス根性ですが、両足を前後に60度くらい広げて踏ん張っていました。ノルマなんかなぁ。
⑤エチオピア航空のスチュワーデスは性別不明:私になにやら問いかけた魅力的なスチュワーデスにアゴヒゲが生えていたのです、産毛も程度問題だと思いますが、これは女性蔑視的な考えに通じるかもしれません。ごめん。私は飛行機が怖くて嫌いなのですが、恐怖心は眼下の状況にも大きく左右されます。海上を飛んでいるときはやや安心ですが(これは根拠なし)、ヒマラヤの上を飛ぶ時などはとんがった山が無数に広がり、見ているだけで痛い気持ちです。エチオピアを横断した時は、下がジャングルなので、飛行機が墜落して万一助かってもライオンからどう逃げるか、なんて考えてしまいました。
⑥再びパキスタン航空:ある時、客席を左右にカーテンで仕切った飛行機に乗りました。客のいない方を除くと機関銃やその他いろいろの武器が。これも怖かった。
⑦快適でないガルーダ航空:インドネシアの国営航空会社ですが、客席にしつこくつきまとうハエが。昆虫にとって快適な機内環境のようです。なお、出されたジュースは変な味がしました。今はそんなことないでしょうが。
⑧いじわるなUA:エージェント向けの75%引きのディスカウント・ビジネスクラス・チケットを入手してハワイへ家族旅行に行きました。行きは良かったのですが、帰りはオーバーブッキング(二重予約)で12時間待たされたうえに、成田行きが伊丹行きへ。家族の冷たい視線が集中しました。
⑨清潔好きなフィジー航空:フィジー到着後、スチュワーデスが乗客に殺虫剤を噴霧します。島に害虫をもたらさないよう、検疫をしているとのことですが、こちらが害虫になったみたいで、ちょっとプライドがくじかれました。でも島国なら当然の措置なんでしょう。
⑩カーゴ(貨物)重視のエアポリネシア:トンガからシドニーまでのフライトに搭乗しようとした時、臨時の貨物搭載のため、ディスカウントチケット使用の我々(仕事で行きました)はおろされてしまいました。憤懣やるかたなく、飛行機を見ていたら、マジックで送り先住所が書かれたスイカが続々機内へ入っていきます。ベルトコンベアで。我々はスイカ以下だった模様です。
⑪悪天平気の中国:現在は中国には多くの航空会社がありますが、かつては国営の中国民航一本でした。このパイロットがほとんど軍人上がりで、ムチャをすればするほど尊敬されると勘違いしているような人たちばかりです。普通は飛ばないような気象状況の中、飛んでいって飛行機はずっと急降下、急上昇の繰り返しです。スチュワーデスが天井にぶっ飛んでいったり、飲んでるスープがカップごと上に飛んで頭からかぶったり、命が縮む思いでした。

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