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茶会 夏の終わりの花火 202108

音もなし 松の梢の 遠花火 /  正岡子規

お盆が過ぎて、またお暑い日々が続きますが、空模様はすっかり秋の風情。
全国的に軒並み花火大会は中止になりましたので、
イメージだけでもと、「夏の終わりの花火」をコンセプトに茶会を行いました。

現在のお稽古のテーマは、やや難関に差し掛かり、「主客の問答です〜」と前回も書きましたが、皆さんが少しずつ茶会のコンセプトを踏まえて茶室で過ごすこと、に注意が向くようになって来ました。

今回のお道具組みは、床の間に花火をイメージした花を活け、花火を思わせる染付の茶入、紺色のガラスのお茶碗、夏の終わりをイメージさせる切子の水差し、
京都の和菓子店青洋さんから、「夏惜」という錦玉をお取り寄せしました。

皆さんが、しつらえから「夏の終わり」「花火」とを汲みとり、会話を続けます。

床の間の花は、打ち上げ花火というより、手許で楽しむ花火の風情。
小花が可憐で、線香花火のようにも見て取れる薄紫色の「かっこうあざみ」、
小さい中で少し大きめの花のようにも思える「万年草」、そして紅く燃える花火の芯のようでもあり、季節を表す「われもこう」。花火、とはよく言ったもの。
イメージが連なるごとに、小さい花が闇を照らす花火にしか見えなくなる不思議。

青山さんのお菓子「夏惜」より「海深し」
記憶の中の美しい季節の一瞬を表現されているのでしょうか。
初めて拝見する繊細な造形の錦玉、たいへん美しく味わいも繊細なお菓子でした。
お味はブルーベリー❤︎写真は青野千紘さん@博報堂プロダクツ。

そして、お稽古終盤には、素敵な茶杓の銘が出てきました。冒頭の正岡子規の情景が浮かぶ句を踏まえての「音なし」

音もなし 松の梢の 遠花火 /  正岡子規

松越しに遠くの方で花火が上がったことにふと気づく、そんな情景が
はっきりと浮かびます。

また、元来、鎮魂や疫病退散の意味があり始まった花火大会。
徳川吉宗の時代にはじまったと言われています。
そこから「送り火」という銘もありました。

皆さんの進歩が楽しい茶会形式のお稽古でした。
いつか、遠花火を見ながら野点したいですね。

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