中身のない話

　中身がなくて非常に申し訳ないんだけど、意味が分からないことがいちばん嫌い。想像しても共感できないならさらに。

　信頼してない人が自分のスペースに入ってくるのって誰でも嫌だと思う。でも、私の経験上、信頼してない人に限って「自分は信頼されている方だから入っていい」と思っているのか知らないけど躊躇なく入ってくる。なんだよそれ。都合のいいときにだけ近づいてきて、土足で入ってきて、中を荒らしたあと「片付けてやったぜ〜」って出ていくときに、私がどうなってるかも見ていない。見ていないから繰り返す。そのくせ、その人は善意でやっているから、被害を受けた私が悪いみたいになる。

　いつからかは覚えてないし、限界を突破したのか、いい方向に進んでいるのか分からないけど、頭の中でずっと第二の自分が日本語っぽい何かを発している。よく聞き取れないときもある。全然面白くもないことに笑ったり、自分への暴言と罵倒が飛び交ったりしている。外に出すつもりはないし、多分出そうと思っても出てこないと思う。その私が受け入れられる場所なんてないから。少なくとも、頭を殴ったり、手の皮をむいたりして何があるの？痛いだけでは？って思う人には理解が難しいことだ。

　辛いことを表現する手段がなかった。辛いと言ったら「あなたが悪い」「詳しく言ってくれないと分からない」。結構たくさん言われたけど、部活の男子が怖いって顧問の先生に手紙を書いたら、「怖いことは分かったけど、何をされたのか詳しく書いてないから、男子たちに事実確認ができない。怒ることもできない。先生に何かしてほしかったら詳しく教えて。」と言われたときは鳥肌が立った。それでちゃんと言える子がいるんだろうか。何をされたのかは今でもここに書けないでいるのに。いや、そんなことを言われたから大したことじゃないと思って書けないのか。味方だよ、寄り添うよ、と言っているように見えて、条件がついている。ということは、今のあなたのままでは味方になれないよ、何もしないよ、ってことですよね。本当に記憶が曖昧だけど、私は何も反応せずにその場を立ち去ってしまった気がする。そのあとどうしたんだろう。部活だったけど、帰ったのかな。家には戻れないから、どこにいたんだろう。落書きだらけで床がきしむ薄暗い部室かな。心臓がどきどきする。息が荒くなる。相手は、言えない私が悪いと思っていなくても、言葉からは私が悪いと感じられたし、相手が工夫してくれないと言えない私を恨んだ。辛いのは私が悪い。言わないと分からないことを分かっているのに言わない私が。

　もし、今謝ってこられても、過去に植え付けた価値観は変わらないよ。私はそれでも、あなたのいいところを見つけようとして、どうにか円滑に生活できるようにしていたよ。

　価値観というか、ずっと刷り込んできたことはもう変わらないんだって。大学とか、頑張ることとかはまだ諦めがついていないけど、価値観を変えることはもう無理だと諦めている。「あなたを大事に思う人がいるよ」「いつまでも大切だよ」と言われても、全く心に残らない。ふーん、と聞いていたら、相手が熱を持ってきて、意味が分からなくて、価値観の違いを説明できなくて、私も泣く。「大切だよ」と言われてどういう経緯かでそれが心に残って泣ける人は、別世界の人間だと思う。私がニンゲンじゃないのか。

　ではどうしてほしいのか。私も分かりません。分からないからほっといてね。そして、私が話したいな、この人ならできるな、と思った人には結構話していたりします。私がそう思った人に、「大切だよ」と言ってもらえたら響くのかもしれないけど、言われたこと、ないかも。

　誰も知らない土地では流れるように話せるから、早く自分の力で誰も知らない土地に行きたい。