衝動・友情・そして追悼

~2~

ども。ディーエイチスィーです。よしっ!今日も昼飯食うか!何にしよっかな~と、いつも通り台所に向かった俺。そこには、信じられない光景が広がっていた…

ゴキブリ(小)の行列…!

叫び出したくなる衝動を抑え、すぐにティッシュをとり、潰しにかかりました。大きさは蟻ほどなのに、存在感は大蛇独歩並み…その小ささに対して大きすぎる存在感、いわばドラゴンクエスト9のエルギオスがドラゴンクエストモンスターズに出てきたときにサイズがマス1しかなかったときと同じものを感じました。そんなエルギオスの群れを一匹一匹潰して、ラスト一匹に差し掛かったときです。その一匹は食洗機の下に隠れてしまったのです。こうなってはどうしようもありません。僕は渋々うまかっちゃんを啜りました。

そして2週間が経ち、友人とのズーム会議を終えた丑三つ時。彼はまた現れました。そうです。エルギオスです。最初に会ったときとは一回り大きい、一円玉サイズくらいになって舞い戻ってきたのです。いわば配合によってメガボディを継承し、2枠にまででかくなったエルギオスです。この二週間の間に表ストーリーをクリアしたのかと考えると、さすがゴキブリの成長スピードには目を見張るものがあります。私はすぐさまティッシュで殺しにかかろうと思いエルギオスを捕まえましたが、するりと抜けられまた食洗機の下に走っていきました。人にすがろうとも考えましたが、説明のために自分の無力さをつらつらと述べるのに気が引けて、誰にも相談できませんでした。

そしてさらに1週間が経ったとき、彼はまた現れました。そうです。エルギオスです。しかし前回とは違ってHPが少なくなっているのを感じました。前回の獣王げきれつしょうが功をそうしたのかと、しめしめと思い、今度はティッシュなしでもろばぎり(手で払っただけ)をかましてやりました。エルギオスが壁にぶち当たった音が響きました。ラスボスの骨も残さない結果に満足して床に入ろうとしたとき、後ろからあの存在感を感じました。それは小学生の頃、ネット対戦で同じエルギオス持ちと当たって破れたあの日を彷彿とさせる存在感でした。そう、奴はHPが減ったんじゃない。

メタルボディだったのだ…!

この一週間で育成を終わらせ、また降臨したのだ!もろはぎり(ただ手で払っただけ)も獣王げきれつしょう(ただティッシュ越しにつかんだだけ)も全く効いていなかったのだ!
…絶望した。そして同時に、主人公に破れた敵キャラが仲間になるあれの敵キャラの感情が分かった。俺は向けられた哀れみのの眼差しを尊敬の眼差しで返し、降伏と主従を示した。しかしエルギオスはそんな俺を受け止め、友達でいようと言ってくれた(気がする)。こうして俺は、ウシジマくんを集団リンチした後にボッコボコにやられ、ウシジマくんの仲間になる江崎貴明のように、共に生きる道を選んだ…

後日、母にこのハートフルストーリーを話し、家族が増えたね!と伝えたところ、

「あ、潰しといたよ」との一言。

…そういえば、ウシジマくんも誰かに刺されて殺されてたなあ・・・

俺はあの一夜限りの友情談を、決して忘れない。

終わり

PS:ウシジマくんを殺したのは江崎貴明のお母さんだと考察しています…。