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夏が待ち遠しくなる日傘

譲り受けて使いつづけているもの、一つくらいはあると思います。数えはじめると思った以上に多いのは私だけでしょうか。デスクまわりだけでも先輩のかわりに預かったものの結局取りに来なかったハサミや蛍光ペン、定規などがあります。小さなエピソードを思い出しながら、使うたびに懐かしくなりなかなか愛着がわくものです。

これは、"何となく使いつづけるかー"という話ではなく、"なんとかして愛着が増すようにせよ!"という無茶ぶりにチャレンジする試みです。

秋、預かった日傘

友人から依頼を受け、友人がおばあちゃんから譲り受けた日傘を預かりました。一昨年前の秋の話です。

小ぶりなたたずまいも、涼し気な色合いも、刺繍もかなりいい感じです。とは言え、いつ作られたものも定かではなく、合皮の紐(傘の用語ではタッセルというようです。)は劣化していました。友人からの依頼は、紐を革で作り直したい、紐の長さをのばしたいなど実用的なものでした。

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冬、おおいに寄り道を

これからも使い続けられることを念頭に、簡単な試作品を作っては、やり取りをして紐の他、紐の先についているの木の留め具を作り直すことになりました。

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さもすると、依頼に忠実に、実用性を上げることをゴールに部品を買ってきて組み合わせることを考えてしまいます。今回はおおいに寄り道を楽しみつつ、どこかチャーミングにならないものかと試みました。

新しい紐も木の留め具も傘本体の色に合わせるようにしています。革を縫う糸も、もともと傘で使われている糸と同じ(ような)色にしています。

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木の留め具の材料は、実家の山林に落ちてた木の枝で試しに作ってみることに。家に使う柱や板にならない枝は、用途もなくそのまま放置されているのです。

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木の留め具は何度も塗っては乾かしを繰り返しました。木工用のニスやスプレーの塗料では違和感があり、絵具で染めています。失敗作の一部です。

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春、待ち遠しい

組み立て終わりましたが、緊急事態宣言もあり、なかなか日傘を使う機会もなければ、手渡す機会もありませんでした。日差しの中を歩くことが、とても待ち遠しくなります。

夏、梅雨明けに手渡せました

梅雨明け、日差しでジリジリと焼けるような日に、なんとか手渡せました。もうすっかり秋になりましたが、来年の夏も、どこか懐かしさを感じつつ第一線で活躍してほしいなと。

寄り道の報告

おおいに寄り道をする中で、木の留め具を作るのと同じように雪平(鍋)の蓋のつまみに転用できることが分かりました。こちらは耐久性など確認して請けられるようにしたいと思います。






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