3/7 忘却幸福論

この街に住んで2度目の春を迎えようとしている

初めて八木山動物園に行った
動物園の中は時間がゆっくり進んでいる
動物たちは狭い檻の中で毎日毎日なにを思って
過ごしているんだろう
ご飯を待つだけの毎日なのだろうか
ゆっくりと瞬きをするキリンや
まっすぐ遠くを見つめるタカの目には
どんな景色が見えているのか
同じ場所でずっと足踏みするカバや
控え室への扉付近から動かないゾウたちは
こんな毎日に飽き飽きしているのか
飽き飽きすることにも飽き飽きしたか
動物たちが退屈な今日のことを明日忘れてしまっていれば幸せだと思う
昨日のことを覚えていなければ毎日同じ日々だと思うこともない
こんなにも可愛い動物たちの毎日が幸せだといい

この世に生まれてもう21度目の春なのに
去年の春のことも忘れて
毎年来る桜の開花予報に胸を膨らませたり
あたたかい風が吹くたびに春が来るなあなんて思って嬉しくなっている私のように