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あなたの凶器、見せてくれませんか?という話(泡沫のユークロニア 淡雪・依 感想)

はじめに

久しぶりにブログを書きます。
なんせプレイしたそばから内容を忘れていく歳に突入してきたからです(悲しすぎる)

ブロッコリー×ティズクリエイションによる女性向けゲームの新ブランド「LicoBiTs(リコビッツ)」が手掛ける新作恋愛シミュレーションゲーム、「泡沫のユークロニア」プレイしました!厳密に言うとしてます!今。

乙女ゲームプレイヤーさんはブロッコリー作品に身構える人も一定数居るんじゃないですかね…(ごめん)
しかしご安心あれ!
ディレクター:高村旭さん
キャラクターデザイン:RiRiさん
メインシナリオ:かずら林檎さん
と、その他スタッフさんがごっそりオトメイトのチームです!
UIもとても良かったし、操作も比較的しやすく快適で、サクサク進められるゲームでした。


世界観は?

登場人物たちは街丸ごと空中に浮いているカラクリ都市「凍玻璃(いてはり)」に住んでいます。
円形の都市は細かく区分けされて数字が割り振られており、その中の一つの地区を管理する貴族の娘が主人公・雛菊ちゃんです。

攻略対象は以下の通り。
・出自不明、記憶喪失の少年:矢代(CV.小林千晃)
・花街の顔役、かつ反抗組織の頭:帷(CV.岡本信彦)
・親代わりで兄のような存在の従者:淡雪(CV.斉藤壮馬)
・黒鶴(警察のような組織)の機関兵:依(CV.江口拓也)
・昔馴染みで町のカラクリ技師:露草(CV.松岡禎丞)

攻略制限がかかってる子達が居るので、私は淡雪→依→帷→露草→矢代の順にプレイするつもりです。現在、淡雪と依を終えました。
今回はエンド回収が出来た淡雪と依ルートの感想を書きたいと思います。
フルコン後印象が変わってるかな?どうかな?


淡雪ルート  身分違いの恋なんて皆好き

初めにプレイしたのは従者の淡雪。
見た目も真っ白、雪の名を冠するに相応しいキャラクターですね。
雛菊ちゃんも淡い色のキャラなので、二人が並ぶスチルは洗練された雰囲気があって好きでした。

まぁとは言え貴族の娘さんと平民出身の従者の恋ですよ…
さらにストーリー内では、雛菊ちゃんが格上の貴族である依さんから婚約を申し込まれ、拒否権のない婚姻寸前の状況。
初っ端から詰んでる。
淡雪ルートはみーんな分かりきっていると思いますが、葛藤の連続ルートです。
依さんと因縁がある淡雪は、大事な雛菊ちゃんをこんな奴に嫁にやりたくない。
でも後継のいない家にとって「婿に入っても良い」と言ってくれる優秀な機関兵の依さんとの縁談はまたとないビッグチャンスな訳です。
雛菊ちゃんを大事に大事に想ってきた淡雪から「彼女を手放そう」と距離を置く行動がちらほら出始めた時、私も雛菊ちゃんと共にほんのり寂しさを感じました…

ま、これが醍醐味でやってるとこ、あるよね!!!!
みんな大好きでしょ?身分違いの恋!!!!!!!!!笑

従者としての愛情、そしてその延長線として現れる恋情。
元々淡雪は雛菊ちゃんに対して恋愛感情の好きもあって接しています。
雛菊ちゃんが「自分も淡雪に対して恋愛感情を持っているんだ!」と気付いてからの展開は早いです。
『死ぬまで私のものでいて』雛菊ちゃんが言うセリフが好きすぎました…
勢いのまま二人して一気に転げ落ちていき、エンドでは「従者、だよな?!?!お前?!?!」って感じで終わりました笑
ただ、従者とお嬢様の恋愛ー?!それはプレイしたーい!て人には、あまりオススメできないのは何故だろう…内容が薄いんかな…笑

肌色展開もめちゃくちゃ早いので、苦手な方は注意です。

そしてこのルート、依さんがバチバチに悪人なんですよ…
大体の作品って…特に女性向け作品なんかはヒール側から見た視点も理解できるように作られていて「正義とは何か…」とかを考えさせてくれる事も多い訳ですが、依さん一切手加減なく悪者です。
依さんの悪人っぷりが丁寧に描かれすぎて、誰ルートやねん状態。
この気持ちのままあんたのルートやるんかい。
(とてつもないフラグ)


依ルート  格上貴族は何に劣等感を抱くのか

淡雪のルートをクリアすると、依ルートが開きます。
地獄か?
さっきまではちゃめちゃに悪者だったけど…あなた攻略対象ですもんね…と怯えながら進みました。

本ルートでも依さんは雛菊ちゃんと婚約者となります。
雛菊ちゃんの家より依さんの家の方が位は上。
普通に考えれば雛菊ちゃんに拒否権はないのですが、事情があって縁談を持ちかけてきた依さんは、お試し期間を設けた上に破談の権利も雛菊ちゃんに持たせてくれます。何考えてるかよく分からん依さん…
(そして明らかに不満そうな淡雪……笑)

まぁまぁな頻度でデートに行ってくれるし、彼女が事件について調べたいと言えばついてきてくれる…むしろ本当に仕事忙しいのか?と疑わしく感じる中、ジワジワと依さんのことが紐解かれていきます。

ただ私には彼の考えてることが(語弊ないように言いたいけど説明が面倒なので)「ぜーんぜん分からなかった!」と言っておきます。誤解しないで。後で説明するから。
兄への不満、平民へ蔑視、その他もろもろ…
貴族であり容姿にも職位にも恵まれた状況で、ここまで周囲へ鬱憤が向くのか、その理由の詳細が説明されません。
本当に分からん!ってところを2点ほど。
 ・劣等感を抱くほど兄弟の差がある訳でもない(なんなら依さんの方が家督を継ぐ可能性さえある)
 ・平民とも分け隔てなく接する雛菊ちゃんに感化されたかと思いきや…思いっきり裏切るような行動を取る(雛菊ちゃんが平民へかけた言葉にヒントを得て自分が得をできる施作の草案を作った、これまじ許せんポイント)

お兄さんの石蕗様も雛菊ちゃんのことを気に入っているのですが、彼は理由があって女性と懇意にしないと決めています。
なので大して雛菊ちゃんには積極的には働きかけてこない。…なのに依さんは嫉妬ばりばり出してくる。
や、分かるよ。兄の石蕗様、めちゃくちゃいい男なんで。(攻略したい)
ただ嫉妬が出てくるタイミングがとんちんかんなんですよ。ワンテンポ遅くない?
このお兄さんが100人に聞いたら100人全員が「良い男だ〜」って言いそうなところもなんか…もったいないなって。
100人に聞いたら30人くらいは「いや、私は依さんを選ぶわ〜」って塩梅の「良い男だけど…」くらいのバランスにしてよ。全部兄に持ってかれちゃダメじゃん!

先ほどちょっと書きましたが、後半の裏切りっぷりも私は本当に許せなかった。
悪びれもしていないところとか、罪悪感から隠してた…とかでもなさそうなところが腑に落ちない。嫌われたくないならもっと申し訳なさそうにしてほしい(暴論)

この辺のふせったーにも書いたのですが、彼の行動は「愛情不足の子供が周囲の愛情を試すためにやってるいじめ」みたいなもんだと思っています。
乙女ゲームに出てくる愛情不足の子ってもっと横暴だったり、冷徹だったり、分かりやすく「愛情不足だよ!」って訴えかけてくると思うんですが、依さんは違う。

え、ただ意味もなく性格悪いだけ?(口が悪い)

下手に優秀だから深く考えなくても正解が選べる。
下手に位が高いから横暴な態度を取っても咎められない。
下手に顔もいいからおかしい振る舞いをしても許される。

結果、全ての行動が短絡的、だけど誰にも直してもらえなかった。
そんな風に感じました。可哀想と言えば可哀想な、プレイヤーからも分かりづらい男が出来上がりました。
許すもくそも別に大した欠点もないんだよな〜
性格がずば抜けて!激的に!悪い!!!!!って訳でもないし。
「なにこいつ💢💢💢」ではなく「なにこの人…」で終わる。跳ねっ返りがない。ちょっとずつ顔歪みシーンはあるんですが、大っ嫌い!って引っ叩くほどではないというか。
彼の正義がいまいち見えてこない。

そう、依というキャラクター、ストーリーにもキャラクター性にも起伏が少ないんです…

まぁまぁな出来事は起こってるはずなのに、あまり印象に残らない。
BESTエンドなんてモラル的にいいのか?貴族だから許されてるんでしょうが、貴族だからこそ許したらあかんやろ…とツッコミながら回収しました。
BADエンドは淡雪が参戦してくるんですが、私は「このエンド良いな!」で終わりました。印象に残るからね!
淡雪を生かしたまま傍に置くことを許すところが最高に性悪で好き。もっとこういう胸糞悪い展開を5時間くらい浴びたかった笑

淡雪の時も書いてて思いましたが、世界平和を守ることに重きを置きすぎて、恋愛要素が薄いのよ。
恋愛、させて?笑

あとこれは補足、くらいに聞いて欲しいんですが、江口くんの低めの声で抑揚なく喋られるとまじで裏側何考えてるか分からなくなる演技の時ないですか?
淡雪ルートで好感度どん底状態から始まった依さんの喋り方が低音のスンとした江口くん…
単純に怖い!笑
後半はこの腹の中謎男に合ってるな〜と思えたんですが、前半は眉間に皺が寄りました。


乙女ゲームはスリル、ショック、サスペンス

私は想像する訳ですよ。
「淡雪は身分違いの恋か…恋心を打ち明けられない従者が唇を噛んで耐えた夜があるよな…」とか。
そして彼がその通りの行動を取るとそっと自分の息も潜めるんです。今はバレちゃいけないよね、この気持ち!
逆になりふり構わず積極的な態度を取られると、そのギャップにテンションが上がる訳です。いけー!今だー!畳みかけろー!

そのジェットコースターっぷりがある種の吊り橋効果なのであり、恋愛シミュレーションの醍醐味だと私は思っています。

この「切なく息を潜めるステイな時間」と「テンションぶち上げイケイケな時間」の配分がとっ散らかると、途端に白けます。
依さんはおそらくソレです。

私はミステリー小説が好きです。何故ミステリーが好きかと言うと
 人が死んだ!(テンション高ポイント)
  ↓
 犯人探し開始(息潜めポイント)
  ↓
 犯人見つかった!(クライマックス)
のジェットコースターが楽しいからです。
犯人探しの息潜め中にもヒントが発見できると小さな高揚得点が溜まります。こつこつ集めていた小さなヒント達を糸で結んでいき、最後の犯人発表の際に答え合わせで予想と合致していた時が気持ちいいんです。
時にはどんでん返しがあって自分の予想を裏切るどでかいトリックが出てきた時なんかもアドレナリンがすごいんですよね。だらだら。

乙女ゲームは犯人のわかった状態で始まるサスペンスの方が似てるんでしょうか。
犯人が隠し損ねた凶器、アリバイ、トリック(乙女ゲームでいう攻略対象の恋心、嫉妬、訳ありの過去)ワクワクポイント全部集めてゴールすると味わえる達成感〜!楽しい〜笑

今回の依ルートに足りないのは、凶器、アリバイ、トリックの面白さ。前述しましたが「ストーリーにもキャラクター性にも起伏が欠けてる」気がするんです…
いや大した凶器落としてねぇな…これで人は殺せんやろ…みたいなテンションの上がらないがっかり凶器達を拾い集めたくらいでは、ゴールテープを切った時に高揚感は得られないんです。
もっと恋に焦って、足掻いて、縋って、大暴れして雛菊ちゃんの手を離さないと誓って欲しかった。大鉈でいけ、機関銃を持て、凶器なんてでかけりゃでかいほどいいんだよ!ずっとそんな飄々とするな!!!(辛辣)

さて、本日から帷、露草、矢代を進めていきたいと思います。
気持ちの大どんでん返しがあったらこのブログは消そうと思います笑




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