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市中感染から始まる北京五輪の悪夢のシナリオ

ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)

<当局は国際郵便説を発表、世論の敵意を国外に向けさせる狙いがあるとみられるが......>

冬季オリンピックの開幕を2月4日に控えた北京で1月15日、新型コロナウイルス・オミクロン株の感染者が初めて確認された。

感染者の住居地や勤務先などが封鎖され、五輪観戦チケットの一般発売も取りやめとなった。

当局は国際郵便がウイルスを運んだ可能性を指摘しているが、この見解は科学的根拠に乏しく、世論の敵意を国外に向けさせる狙いがあるとみられる。同時に、当局が感染経路を特定できていないこともうかがわれる。

中国は厳格な監視体制でコロナの封じ込めに成功してきたが、その網を擦り抜けて市中感染が起きたとすれば、今後もさらなる感染拡大が予想される。

五輪に向けて「ゼロコロナ」を死守したい当局にとっては悪夢のシナリオだ。しかも2008年の夏季五輪と異なり、国民の五輪への関心は低い。

北京市の財政も厳しいが国からの補塡は期待できず、外国人観光客も観戦チケット収入も見込めない。

From Foreign Policy Magazine

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