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【猫の高悪性度リンパ腫】看取りの記録

愛猫の胃にリンパ腫があるとわかってから、ステロイド治療、抗がん剤治療、緩和ケアなどを経て愛猫を看取った飼い主の回顧録です。
同じような状況の方に向けて書きました。


名前はB(仮名)です。13歳8ヵ月です。

通院記録と経過

2023年
3月
・空腹の時間に胃液を吐くことが1週間以上続いたため通院
・ごはんの回数を増やして改善
8月
・食欲にムラが出る
・急性膀胱炎で通院、血液検査で白血球が異常値(以降正常値に戻ることはなかった)
12月4日
・食の好みがグルメ志向になる(カリカリを露骨に食べなくなる)
・消化管出血の疑いで投薬治療開始
12月14日
・触診で胃に腫瘍らしいものが見つかる
・『低悪性度リンパ腫』の見立てでステロイド治療開始
12月21日
・リンパ腫が小さくなる
12月28日
・リンパ腫の大きさは変わらない

2024年
1月11日
・ステロイドが効いてない疑惑
1月25日
・ステロイドに耐性ができてしまった疑惑、量を増やす
2月1日
・リンパ腫がやや小さくなる
2月8日
・からだがぽってりとしたナスみたいになる(腹水の予感)
・貧血改善のために牛レバーをカルカンのパテタイプに混ぜて食べさせる
2月9日
・朝から食欲がない
・食べたくない猫VS食べさせたい飼い主の戦いが始まる
2月14日
・明らかに食べる量が減りごはんの時間は隠れるようになる
・飼い主の覚悟が決まる
2月15日
・エコー検査で腹水が確定
・抗がん剤開始、これがだめなら積極的な治療は諦めると決断
・お客さん(母)が来ると急にやる気を出してパウチを食べる姿を見せつける
2月16日
・ちゅーる3本食べる
2月17日
・ちゅーる2本
2月18日
・ちゅーる1本
2月19日
・ちゅーる0.3本
2月20日
・水だけで生きていくらしい
2月22日
・抗がん剤は効かなかった、結果的にリンパ腫は『高悪性度』だった(詳しい検査はしていないので毎週の血液検査と触診と経過から推測)
・緩和ケア開始、栄養剤を皮下注射
2月24日
・意識が朦朧としている様子、死を覚悟したが生き返る(一度目)
・フローリングとこたつ布団にしっこをぶちかます
2月27日
・意識が朦朧としてぐったりとしている、死を覚悟したが生き返る(二度目)
2月28日
・風呂場までついてきたので見守っていたら数分後、腹部をびちゃびちゃにして出てくる(しっこをしていた)
・そのまま洗う
2月29日
・ヨギボーにしっこをぶちかます
・猫用おむつを購入
3月1日
・昏睡、激しく痙攣、死を覚悟したが生き返る(三度目)
3月3日
・泥のような下痢が止まらなくなる
3月5日
・絶え間なく出る下痢でおしりが痛いのか痒いのか気にする様子
3月6日
・約2週間ぶりの通院、下痢止めと栄養剤を皮下注射、軟膏をもらう
・腹水込みで3.3kgだった体重は2.6kgになっていた
・お尻をきれいにするため洗面器にお湯を溜めたらそのまま入浴した

どうして?

3月7日
・下痢は止まらないが苦しそうな様子はない
3月8日(リンパ腫疑いから86日目)
・下痢が止まる
・お客さん(父、母)が来てくれて元気そうな顔を見せる
・夜、少し歩いて倒れこむ、昏睡、小さく痙攣
・生き返らなかった

緩和ケア中に考えたこと

・意外とスタスタ歩く(階段もスルスル降りてた)
・50cm程度の高さならよじ登っていた
・好んで飲んだのは人肌のお湯、Bの要求に応じて1日10回はお湯を入れていた
・大きな声では鳴かなくなり、要求があるときの声は「ヒャア…」
・耳はよく聞こえていて名前を呼ぶとしっぽで返事をした
・まぶたはほとんど閉じなくなる(脱水症状?)
・固形物を飲み込みたくないせいか口に抜け毛などが入るとひどく嫌がる(クチャクチャして舌をペペっと出す仕草)

こういうの

・おむつ装備後も隙あらばトイレには行く
・最期まで水はゆっくりじっくり飲んでいた
・1/25の通院で獣医さんに緩和ケアについて聞いた↓
・「胃のリンパ腫は本人は痛みを感じていないので緩和ケアとしてできることはあまりなく、もし今後悪くなるとしたら貧血が進んで生命活動がゆるやかになって最期を迎える」
・薬や食事の強要をやめたところ、飼い主からそれとなく逃げていたBが膝に乗ってくるなど治療前の好感度に戻った
・2/29~のおむつは1日2回のおしっこのタイミングで替えていた
・3/3~の泥状便について
・1時間に1回のおむつ替えと尻拭きでお互い疲弊していくのでふんわりしたペットシーツをおむつサイズに切ってナプキンみたいにしたものを短時間で交換していくシステムに変更したら少し楽になった
・よだれもうんこもしっかりくさく、うんこ臭はオムツ2枚重ねにしても漏れ出た
・Bが好む場所(布団やヨギボーの上など)は洗えたので対策は諦めてうんこと過ごす
(余談)Bの病気について、高悪性度リンパ腫の場合は余命が大変短いものになるはずだったので私も獣医さんも低悪性度だと信じていた
(余談)B自身のがんばりがすごすぎてすっかり騙された

買ったもの、よかったもの

看取ると決めてから用意したものがたくさんあります。
食事についても、緩和ケア期は絶食したもののそうなる前はなんでもいいから食べてほしかったのでいろんな商品を試しました。

動物病院でもらったサンプルの中から食べたいものを選んだ

買ったもの、よかったものを以下に羅列します。

ごはん編
NF 腎臓ケア 初期ステージ対応(ドライ) | キャットフード | ピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエット (nestle.jp)
健康マルチケア 尿路・毛玉・体重 7歳以上|ピュリナ ワン キャット(Purina ONE Cat)公式サイト (nestle.jp)
キャットフード「メディファスアドバンス 腎臓の健康維持 7歳頃から」|国産フード・ご飯はペットライン (petline.co.jp)

カリカリは露骨に態度に出ましたが、パウチは何を与えても食欲があるときはだいたい食べていました。強いて挙げるなら「黒缶」の食いつきはよかった気がします。

おやつ編
CIAO ちゅ~る まぐろ&贅沢本まぐろ | 商品情報 - キャットフード - | いなばペットフード株式会社< (inaba-petfood.co.jp)
総合栄養食タイプやエナジータイプなども与えましたが、贅沢本まぐろのウケが圧倒的によかったです。

サプリ編
フォーティフローラ | キャットフード | ピュリナ プロプラン ベテリナリーダイエット (nestle.jp)
カリカリにふりかけると食いつきが異常によくなると聞き購入。食欲がないときでもかなり助けられたと思います。うんちもでっかいのが出てました。よかったです。

投薬編
おくすりちょーだい – inunoie.com
MAX投薬治療期の最重要課題は朝晩の投薬をどれだけスムーズに済ませるか。食欲のない猫に都合よく薬だけ飲んでもらう、これは飼い主の努力一本にかかっています。
おいしいオブラート、カプセル、ちゅ~るビッツ……いろいろやりましたが、おくすりちょーだいにねりこんだときが気づかず食べてくれる確率が一番高かったです。

雑貨編
・おむつ(ユニ・チャーム ペット マナーウェア ねこ用)
約3kgの小柄ちゃんでしたが、SSサイズでもSサイズでも問題なかったです
・保温ポット
飲み水のお湯割りを作るときや汚れたお尻を拭くときにティッシュを湿らすのに大活躍でした
・ベビーゲート(100均のワイヤーネットで自作)
目を離した隙にどこかに行って力尽きてしまう……なんてことが起きないよう階段周りに設置しました
・飲み水用の皿
浅いもの、深いもの、少しずつ高さの違う皿をたくさん用意しました
浅すぎるものは目測誤って前足~胸が乗り上げてしまったり踏んづけてこぼすことが多かったです
・捨ててもいいタオル
しっこ、うんこを拭くのにどれだけあってもいいです
・猫用シャンプータオル
毛づくろい代わりに毎日拭いてました
最期まで毛並みはツヤツヤでした
・環境大善 きえ~るペット用
ふん尿臭に抜群に効く消臭スプレーです
・トイレの段差対策(やってあげたらよかったなあと思った)
歩けるうちはトイレも自力で行きたがるので入りやすいように段ボールなどでスロープを用意したらよかったです

飼い主が判断すること

ペットの人生は飼い主に委ねられています。

私がBに似たのかBが私に似たのかわかりませんが、私たちはよく似ていた(と思うことにした)ので
闘病中は「私がやりたいことはBもやりたいはず」「私がいやなことはBもいやなはず」と考えるようにしました。

最初の大きな決断として、Bに大きな負担がかかる手術や検査はしないと決めました。つらい副作用のある強い抗がん剤も使っていません。
2/24~3/5の期間、緩和ケアで病院に行くべきかの判断が一番難しかったです。毎日悩んでました。
Bに苦痛がありそうな時だけ病院に行くと決めていましたが、Bはわかりやすく痛がったり苦しむようなことはほとんどなく、ゆるやかに弱っていきます。そんな姿を見て
「もうがんばらせたくない」
「1日でも長く一緒に過ごしたい」
「せめてなにか食べてほしい」
「ゆっくり休んでほしい」
「奇跡的に回復しないかな」
矛盾したことをたくさん考えました。

ある時から泥状の便が垂れ流しになり、しきりにトイレに行きたがるようになりました。
弱ったからだでトイレに往復して、時にはトイレの中で疲れて座り込んでしまうBを見ていたら「死の間際にトイレのことばかりを考えるのはやだな」と思いました。あと尻が不快なのも嫌。私がそう思うんだからBもそう思ってるだろということで、なんとかして下痢を止められないか病院に行くことにしました。

獣医の先生には「B本人の生命力だけで生きてる状態」「下痢止めもおそらく効果がない」「薬を使うことでそのバランスを崩してしまうかもしれない」と説明されました。
でももう、いつ亡くなってもおかしくない状態であることは理解していましたし、もしバランスを崩したとしても、Bが最期までBらしく生きる可能性に賭けて下痢止めと栄養剤を皮下注射してもらいました。私が決めました。

次の日、Bはキラキラした瞳で家の中をくまなくパトロールし、たまにおしゃべりしながら穏やかに過ごしていました。下痢は止まりませんでしたが。
さらに次の日、下痢が止まり、いっそうキラキラした瞳で家の中をお散歩して、お気に入りのイスによじ登り、これでもかと元気アピールをして、私に抱かれて穏やかに息を引き取りました。

私の決断でバランスを崩してしまったとは思いません。むしろあの時決断をしたおかげで安らかに眠れたのだと信じています。
最期まで元気に歩き回って、好きなところで過ごして、好きな人たちに会うことができて、大好きな私に抱かれて眠って絶対に幸せでした。

話は変わって、愛するペットが病気になったとき
発症の原因に「ストレス」「環境」「食事」などの項目があると飼い主としては自責の念に苛まれること間違いなしかと思います。私もひどく悩みました。
でも悩んだところで病気になってしまった事実は変えられないし、人間も自分の力ではどうにもできない出来事や環境で胃を痛めることはあるし、「最高の環境」「最高の食事」「ストレスフリーな生活」をしていたとしても病気になったらたぶんまだ何かできたなって悩むだろうし……とぐるぐる考えているうちに、今悩むことじゃないのでは……?と気づきました。

悩んだところで解決しそうにないものは、そのうち開き直る日が来ると信じていったん後回しにすることにしました。そしたら次の日には忘れてました。ナイス脳。

看取りには体力以上に強メンタルが求められます。
後悔のない選択をするために、限りある脳の容量をどこに割くか事前に決めておくといい気がします。

結局いつ死ぬのか

看取る覚悟を決めた飼い主が知りたいこと、やっぱりこれじゃないでしょうか。でもこればかりは本当にわかりませんでした。
ぐったりして呼吸が浅くなって、たまに深〜い呼吸をして、天使が玄関まで押しかけてきた状態は何度もありました。そのたびに私はBとの別れを覚悟し号泣していましたが、Bはありあまるバイタリティーで天使をぶん殴り、何事もなかったかのように歩きだすのでした。

Bの最期は、私が未来に目を向けたタイミングで訪れました。
具体的には、風呂場で猫のシステムトイレを洗ってました。月に一度のトイレ掃除をもう6日もサボっていたためです。
この頃にはBは社会性(おむつ)を身につけていたのでトイレを使うことはありませんでしたが、うちにはあと2匹かわいい猫がいます。かわいい猫の排泄環境の悪化は見過ごせません。この子たちはあと80年は幸せに生きてもらわないと困ります。
この日のBは後ろ足が普段よりもふらついていましたが、お気に入りのイスによじ登ったり私を追いかけて階段を下りるほどのパワーがありました。
そのパワーに甘えて、30分ほど目を離しました。
掃除を終えてBを見ると、床にぐた〜っと寝ていました。天使が玄関に来たときの様子に似ていたのですぐ抱き上げて声をかけました。
ぐったりして呼吸が浅く、たま〜に深い呼吸をして……でも以前と違ったのは、満足したような、安心したような、この日だな……みたいな、そんな雰囲気がありました。
そうして10分か20分か過ごした後、四肢が小さく痙攣して、ひゅ〜うひゅ〜うと弱々しい呼吸をして、首がググッと持ち上がった後、ゆっくりと眠るように息を引き取りました。

おわりに

「ウワーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!ヤダーーーーー!!!!!!!!!!!!!!ヤダ!!!!ええ!?!????すごくイヤ!!!!!!!!うそだあ??!???!ヤダよーーーーー!!!!!!!!」

Bが息を引き取った直後の私の叫びです。
ありがとうとかがんばったねとかぜんぜん言えませんでした。目の前の出来事をめちゃくちゃに否定しただけ。見ているか、B。

約3ヶ月、Bががんばるので私もがんばらざるを得ない部分もたくさんありました。
がんばり比べの看取り生活の中でこちらの連載には大変支えられました。

このnoteでも愛猫の仮名をBとするなど、影響をしっかり受けています。







火葬も本当にやだ。ずっと一緒にいたい。ツヤツヤ超えてヌルヌルの毛を撫で続けたい。火葬ってなに。つらすぎる。お骨になった姿を見たらまたヤダヤダ言い出すと思う。この世に生命を作り出したやつを許せない。死ぬくらいなら生まれるな。でもBに会えてよかった。(このnoteは火葬の待ち時間に書いています)

緩和ケアをはじめた日のB

以上、愛するペットの死はまったく受け入れられるものではありません。
不老不死の実現を願っています。


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