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これこそ定額ノートにふさわしい個人的な話。でも99.5%無料で読めるよ。

コロナのせいで重い腰がやっと上がり、仕事がフルリモートになりました。

仕事場には誰も来なくなり、広くて大きな机は私が三歳児のように散らかし放題でそのままに。

キッチンもトイレも埃が溜まっていき半ば生命力を失っていっています。

あんなに生き生きと4人の女子がキャッキャしてた空間が。

壁は黄緑色だったりピンクだったりするのに、「なんのための愛想か」とやさぐれているように見えてきました。

単なる壁なのに、人が来ないことを悲しんでいるかのように思える・・・。

仕方ないので片付けを始めました。
そうして片付けていると、色々なものが出てきます。 刷り出し、書類、雑誌、グッズ、賞味期限の切れたお菓子…

あれ、これなんだったかな…

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これは…、世界で60部しか作られなかった冊子…。

自費出版して結婚式に親戚と友人に配ったなれそめ漫画。

機密情報です。


ナイスな伴侶の見つけ方


出していいものか、ちょっと迷いましたが、このnoteの文章をチェックしてくれた夫が誤字脱字しか指摘しなかったので、いいんだろうと思います。

訴えられても多分勝てると思います。

名前は伏せてみました。名前が一番面白いんですが。

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あゆみ 2


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ほんとはこの後にもう1ページありますが、全然情報量ないので(お辞儀してる絵とあいさつだけ)割愛。

随分と呑気な漫画を書いたものです。

なにせ配るのが親戚と友人だけですので、既に随分二人のことを知っていて親身になってくれていることが大前提です。

「こんなの売れないよ!」と厳しい指摘をする編集者もいません。オチもヤマもいりません。


でもこの冊子には大事なことが書いてありました。

冊子に書いてある大事なこと


先日20代のある漫画家さんとお会いしていろいろお話しした時。
まだ未婚のその先生は

「やっぱり一度結婚したいなと思ってて、もしダメでも別れたら良いし、結婚しないうちからしないと判断するんじゃなくて、結婚してから結婚というものが合うか合わないか判断したいなって」
「わかる・・・」
「いい人にはどうやって出会うんですか?」
「わからない・・・」

役に立たない。
ちっとも役に立ってない。


素直にいろんな気持ちを話してくれた漫画家さんに、もうちょっと先輩の漫画家として、もうちょっといいことが言えたのではないか。。。


人生を共に歩む伴侶といかに出会うか、この少女漫画の永遠のテーマになんの答えも出せないとは。手掛かりになるキーワードも捻り出せないとは。
そんなことを数日考えて悩んでいました。


そんな時に片付けしながらこの冊子を見返したら、もうバッチリ書いてある。大事なことが。

私の伴侶は私から見たら最高にイケメンで、自分の人生の一番近くにいる人として最高の存在だと思っているのですが、なんでそう思うのかという根拠を言ってもいいですか。

■出かける準備で遅れても「まだなの?」「早くして」と言ったことがない。
■あらゆる私の失敗を、「自分がフォローすべき課題」と捉えて対処し、対処しきれない時は自分の責任だと思う。
■足が冷たくて夜眠れないと言ったら、ドライヤーで布団をあっためてくれる(三年間)くらい、ホスピタリティが高い。
■君の漫画を一番楽しみにしているのは自分だから、子供たちのことは自分に任せて君はとにかく漫画を描け、と仕事をさせてくれる。(子供四人もいるのに)

どうやって出会ったかとかより、なぜこんな人間が生まれたのか?の方が大事で、
そこを読み解くと、元々の気質もあるんでしょうが、彼がずっと少女漫画が好きだった、という点が大きいと思うのです。

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これら全部彼の蔵書。少女漫画だけであと六倍はある。

「風と木の詩」「ポーの一族」「ときめきトゥナイト」「ピグマリオ」「はみだしっ子」

これらの名作を読んで育ち、今でも少女漫画を愛す男子。少年漫画、青年漫画ももちろんたくさん読むけど、学生時代からずっと少女漫画をしっかり読んでいた、というところがものすごく大事だったのではないかと感じています。

男子校育ちの彼が、それでも少女漫画の感性に共感できた。その上で、女子の持つ夢と、そのめんどくささをしっかり学んだのです。

男子校のロマンと少女漫画のロマンの両方を理解する彼は、男友達も多いし、女友達も多い。ママ友もパパ友も多い。

少女漫画をしっかり楽しめる感性を持っているということは大変な資産なのではないか・・・。

立場の違う他者の気持ちを想像し、思いやることができるのは、その基礎があるからではないか・・・。


心という見えないものの描かれるバリエーションの多さを、過去の名作は語っています。

それらを「好き」と思う人を私はそれだけで尊敬するし、同志だと思ってしまう。


「はみだしっ子」なんて本当に、人間の複雑さと難しさを愛せないと読めない作品です。

その複雑さを見つめられる感性と客観性は、ままならないことだらけの世の中で、弱い立場の人のことを一方的に責めない冷静さと強さに繋がっているのではないかと思うのです。



(「はみだしっ子」についてるAmazonレビューがどれも良すぎる。愛に溢れている。時代を超えて読むかもしれない若い読者へのアドバイス、三原先生と、描かれた時代への敬意が満ち満ちていてすごい。レビューだけでも読んでみて)


そして、ここ大事なんですが、
漫画が好きだからこそ漫画家の仕事も応援してくれる。


なので、前段でお話しした漫画家さんにまたお話しする機会があればこうお伝えしたいです。

「少女漫画を好きで読んでる人を探した方がいいよ」


私の伴侶がどれほどナイスかって、発売前に届いたちはやふる45巻を電車の中で読んで、帰ってきて「ここまできても最高だった。君って漫画の天才だ」と言ってくれるところです。


その言葉でまだ頑張れます。

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ちはやふる45巻絶賛発売中だよ!ここから読んでも面白いよ(嘘だよ!)


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