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今の日本の少子化は、緊急オペが必要! 噴き出る血を少しでも早く止めよう


「出産したら貸与型奨学金の返済免除」という少子化対策は、わたしが常々言ってきたもので、先日の第2回こども政策の強化に関する​関係府省会議​でも提案させていただいた。

貸与型奨学金の返済免除に関して、政府が検討を始めてくれて非常に嬉しく思っているのだか、方々から反対意見が出てきている。それも、どちらかといえば子どもや教育に熱心な方たちから、反対の声が上がっている。

少しでも議論を進めるために、私見を述べさせていただこうと思う。


絆創膏でも、なんでも貼って血を止めないと死ぬレベル

「子どもを産めば、借金棒引きとは、あまりにもひどい。借金の形に子どもを産ませるのか?」
「本来のあるべき姿である大学や専門学校の高等教育を無償化をするべき」

どれも最もではある。うーん、それはそうだけど、でもそれじゃ間に合わないんだよなぁ、なんでこんなに否定されるのだろうと考えてみたところ、噛み合わないポイントがわかった。

おそらく、私とその方々で少子化の深刻さの捉え方が違うのだ。

わかりやすく言うと、私はもう、今の日本の少子化は、体中から出血していて、とにかく止血をしなければならない、と思っている。

絆創膏でも、なんでも貼って血を止めないと、出血多量で死ぬ。実は30年も続いた少子化で、もうだいぶ血が流れてしまっている。ここから増やすのは本当に大変だという強い危機感を持っている。

まさに「異次元の少子化対策」が必要だし、もしこれで増えなければ、本当にまずいと思う。

私は本来、社会構造の課題に、絆創膏を貼るような施策は好ましくないと考えている。子どもの貧困にはご飯や居場所よりも教育支援が重要(今はコロナと物価高騰でご飯も重要ですが)、ひとり親支援も根本的には就労支援で稼ぐ力を伸ばすのが大切、ヤングケアラーもヤングケアラーをサポートするんのではなく、ヤングケアラーにならないように家庭を支援するのが最善の策と思っている。

それで言えば、少子化対策でも、高等教育の無償化は重要だし、働き方改革やジェンダー平等もどんどん進めなければと思う。
ただ、高等教育の無償化は今から議論を始めて、いつ実現するのだろうか?
これから大学に進学する子は良いけれど、すでに借りている若者はどのように救うのか?
今、まさに返済に苦しんで、結婚も出産も諦めている若者はどうするのか?

働き方改革は企業の理解がなければ難しい。今でさえ経営が苦しい多くの中小企業に行き渡るのいつなのか?

どれも必要だけれども、それは、いつできるのだろうか?と思うと、おそらく、それが整う頃には、出血多量で死んでしまうのでは無いかと思う。

これからの10年が勝負、いやいや5年だ、と言われているが、その通りで今すぐ、できることはなんでもやる。とにかく血を止める、止まらなくても出血量を抑えるために、できることをどんどんやるべきだと思う。


将来の政府の約束を若者は信頼できるのか?

その点で言えば、子どもが生まれたら貸与型奨学金の返済免除は、非常にわかりやすく、子どもを産むことに対する直接的なインセンティブだ。
そもそも子どもを産むことにインセンティブをつけることが良いのかどうかの議論はあるだろうが、これは比較的短期間に実現できるのではないかと思う。返還免除は、すでに貸してあるお金が返って来なくなるのだが、裏を返せば、今すぐ巨額の財源を捻出しなくてもできる。
そして、これからまさに、結婚や出産を迎える子どもを産む世代、今迷っている若者たちに、ダイレクトに届く。

返済が減ると、これから借りる人の原資が無くなるかもしれないが、少なくとも数年は持つだろう。その間に、大学無償化などをしっかりと実現していけば良いのではないだろうか?

もし、頑張って財源を捻り出し、2〜3年後に高等教育無償化が実現しても、その恩恵を受けた若者が社会に出るのは、短大や専門学校でも4〜5年後、大学なら7〜8年後である。そこから数年して結婚、出産するのを待つと、あっという間に10年が過ぎる。

勝負の10年は過ぎてしまう。

その間に、何十万人、何百万人の奨学金という借金を背負った若者が、結婚や出産を諦めていくことになる。

一方、高等教育無償化が決定し、
「今から生まれるお子さんは教育無償ですから、どうぞ安心して子どもを産んでください。もう一人産んでください。」
と言った時に、どれだけの若者が、政府の言葉を信じて、
「今は大変だけどだったら子どもを産もうか!」
「それだったら2人目、3人目を産もう!」
となるだろうか?
そこに関しては、私はかなり懐疑的である。
「自助、共助、公助」などと言われて苦しんで来た若者が、20年後の政府の約束を信じて子どもを産むほどの信頼関係が築けているとはあまり思えない。


少子化対策は時間との勝負。小母化で何もしなければどんどん加速する

私が運営するキッズドアでは、毎年多くの困窮家庭の高校生が大学や専門学校に進む。
給付型奨学金を利用できる子はもちろん利用するが、それだけでは足りない子や少しの所得の違いで利用できない子は貸与型奨学金を借りる。

今、このイキイキと希望に燃えているこの若者には、大学教育無償化は利用できない。借金を背負って社会に出る。
何も悪いことをしていないのに、本当に可哀想だと思う。
この子達は結婚して子どもを産めるのだろうか?と思う。

私かキッズドアを始めたばかりの頃、世界有数のグローバル企業からご支援をいただいた。その時の懇親会の席で、ご担当の社員の方が、しみじみと
「キッズドアさんのやっていることは、本当に素晴らしいし、大切なことだけど、でもうちの中では、もう日本の少子化は間に合わないという結論が出ている」
ということを言われたのを強烈に覚えている。
もう10年も前に世界からはそう思われていて、その間もなんら有効な手が打てずに、ひたすら子どもが減っている。

しかし、日本人の奇跡の復興を私は信じたいと思う。
だから、今こそ、本気の少子化対策をしたいし、まずは、止血をして、少しでも少子化の速度を緩めて、同時に体質改善も勧めて、その間に体質改善も同時に進めることで健康体に戻していければと思う。


少子化対策はやれることは全部やる!何か良いアイデアがあればぜひ

何度でも言うが、少子化対策はもう待ったなし。やれることはドンドンやった方がいいと思う。
「あれは、ダメだ、これはダメだ」
とブレーキをかけるよりも、
「それもいいよね。これはどうだろう?」
と、ドンドンアイデアを出し合って、今すぐにでもできる方法をみんなで考えた方がいい。

いいアイデアはウェルカムだし、高等教育無償化をやるためには、財源論が必ず出てくるので、どこからどう財源を出すか、とか、そう言うところをドンドン離して行けば良いと思う。

私は、海外でよくデモが起こるのを羨ましいなと思うのだが、本当に市民一人一人が立ち上がって、高等教育を政府に迫るデモなどの行動に出れば良いのにと思う。選挙の投票率が爆上がりすればいいのにと思う。

少子化対策に速攻できくアイデアをみんなが待っている。
前向きな議論をぜひ!


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