可愛い女の子になりたかった話

可愛い女の子、って定義が人によって分かれるとは思うんだけど、私はいわゆる「小さくて、細くて、守ってあげたくなるような女の子」だと思っている。

私は全部正反対で、小さくも細くもなくて、不器用だから何をやってもうまく行かなくて、メイクしたからといって特になにかが変わるわけでもなくて、メイクの方法を学べばいいのかもしれないけど、元が悪いからそんなことをしてもなにも変わらないこともわかっている。体型だって、自分の怠慢でこうなったのはわかってるけど、痩せたところで普通体型のブスなのだ。世の中の女の子たちはなんで誰も彼もがあんなに細いんだろう。

外見がダメならせめて性格だけでも可愛くなりたかったのに、私は素直じゃなくて、可愛げがなくて。可愛く頼みごとなんてできない。だって私可愛くないんだから。可愛くない人間が可愛く頼みごとしたってなんにもならないでしょ。甘えたりしたら気持ち悪いでしょ。ブスが調子に乗るな、って思うでしょ。それが怖くてできない、たとえ彼氏相手でも。

こんな私を好きになってくれた人だから、少しでも応えたいけれど、客観的に見ても、好きになってくれる部分が私にはない。なのになんで私のことを好きでいてくれるのかわからなくて、いつか捨てられるんじゃないかって思って、こうやって人の愛を疑ってしまっていることに疲れて、申し訳なくて、病んでしまう。なんてめんどくさいのだろう。

本当はずっと可愛い女の子になりたかった。興味がないふりもしていたけど、それは自分を守るためだった。生きてきた21年間で、自分がブスであることは十分すぎるほど理解した。髪の毛はかわいくアレンジされてて、メイクもトレンドをおさえてて、きれいなワンピースが似合うような、そんな女の子になりたかった。彼氏にちゃんと甘えられて、可愛がってもらえるような女の子になりたかった。愛されてみたかった。本当は恋愛にも、可愛いアクセサリーも、きれいなネイルも、洋服にも、化粧品にも、興味がない訳じゃなかった。でも、可愛いものは、可愛い子のためにあるのだ。ずっと周りの子がうらやましかったのだ。

可愛い子を見ると、醜い嫉妬と、羨望と、憧れと、惨めさがごちゃまぜになった感情を抱えてしまう。私は「女の子」なんてキャラじゃないから、これからもずっとこんな思いは隠していくと思う。でも、ここでくらい吐き出したかった。可愛い女の子になりたかった、ごく普通の女子として。


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