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新幹線ホームドアの中側を走る人たち

いつもの週末の介護を終えて、東京に向かった。私にとってはいつもの週末だったけど、世の中的には大型連休の最終日に当たったので、普段はふらっと乗るこだま号なのだが、今回は席を予約した。予約した時にはもう指定席もいっぱいで、空いていたのはグリーン車と S ワークシートだけだったので、初めて S ワークシートを予約した。S ワークシートというのは、16両編成の東海道・山陽新幹線の7号車で、大人1名分しか予約できない、ビジネス用の座席だ。(2024年5月22日から、子どももOKになる。家族の分も買えるようになる。なのでまた雰囲気が変わるだろう)

おかげで、慌てることなく乗車でき、東京までの1時間ちょっと、コーヒーを飲みながらパソコン仕事を終わらせることができた。

ところで私は、音に過敏で、普段から、家にいる時でも AirPods で周りの音を遮断している。この時もそうしていたので、周りがどのような状況になっているのか、分からなかった。

私は窓際の席に座っていたのだけれど、熱海駅に着いた時に、窓の外を人影が通り過ぎた。違和感があったのは、その距離があまりに近かったからだ。よく見たらホームドアの中側を走っている。それも大勢。大勢がものすごい勢いで、先頭車両の方向にに向かって走っている。

何事かと思って AirPods のノイズキャンセリングをオフにすると、車内アナウンスが耳に入ってきた。1号車から6号車までの自由席がとても混んでいて乗れない恐れがある。先頭方向の15号車16号車は比較的空いている。そういうアナウンスだった。なので、たぶん、1号車から6号車までのデッキにいた人たちが、一斉に走って、先頭車両の15号車16号車に向かったらしい。7号車から14号車までは指定席だから、結局、その人たちは7両分ぐらい走って乗り込もうと思ったのだろう。

大勢の人が、ホームドアの中側を走っているので、発車時刻が来てもホームドアを閉められないし、ホームドアが閉まっても、その人たちは走ることをやめないので、結局、その人たちが全員乗り込むまで、新幹線は出発できなかった。そのため駅に着くたびに、5分ぐらいずつ遅れが生じていった。
ちなみに、あとで調べて分かったことだけど、熱海駅はホームドアと電車の距離が割と広かった。

走る気持ちはよく分かる。私はたまたま席が取れたから良かったけれど、私だって同じ状況だったら、特に一人だし、走ったかもしれない。私の性格からいって、ホームドアの中側には入らないと思うけど、その時になってみないと分からないよね。全員が中側を走っていたら、それよりもっと混んでいる外側を走っていくかどうか疑問だ。でも、きっと私の場合は、律儀に外側に出て、結局、乗っていた新幹線には戻れず、2、3本やり過ごした後、熱海からだったら鈍行で帰るかもしれない(笑)

こんなはずじゃなかったと思った家族連れも多かったようだ。現に子供を抱っこして走るお母さんや、ベビーカーを担いで走るお父さんも見かけた。小学生の子供たちも走っていた。

昨日書いた記事

旅行のように、非日常の状態になると、人はちょっと大胆になるのかもしれない。「旅の恥はかき捨て」とはちょっと意味が違うかもしれないけれど、富士山とコンビニのショットを撮るために、にコンビニの前に陣取って、雲が晴れるまで歩道に座って食事を取る外国人と、あまり変わらないような気がした。

オーバーツーリズムが悪いのか。
どのシーズンに予約をしても値段が変わらない JR が悪いのか。
(飛行機のようにシーズンオフが安いとかなりばらける気がする)
普段から休みが取れないから、大型連休の時にだけ家族旅行するようなシステムになってしまっている、日本全体の休みの取り方がおかしいのか。

窓の外を全速力で走る東京の人を見て、そんなことを考えていた。

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