こだわりなんてなかった私が、お洋服にときめいた話。
ネット通販で見かけてからずっと気になっているニットがあった。色は黒とブラウンでとてもシンプルだけど、デザインが個性的で可愛い。
睨めっこを続けて数週間。
欲しい!でもなぁ・・・
そう思った理由は二つある。
一つはデザインがオシャレすぎること。
いつも思うんだけどモデルさんが着ていると、なんでもあんなに良く見えるのだろう。
当たり前だけれど。
最近のネット通販の写真には、モデルさんの身長が書かれていたりするけれど、それを見るたび同じ身長でこんなにも違うものかと愕然とする。
美容院の予約をした時もそう。
どんな髪型にしようかってホットペッパービューティーでカタログを見ては「全部可愛いけど全部似合わなそう」って思ってしまう。
綺麗でスタイルの良いモデルさんを起用した方が売れるのもわかる。でもね、頼むからもっと私のように、ずんぐりむっくりな女性のモデルさんにも着ていただきたい。
そしたらなんとなくイメージが湧く。
スタイルを維持し、綺麗なプロポーションを保っている素敵なモデルさんには大変申し訳ないのだけれど。
二つ目は”フリーサイズ”の闇。
これはもう言わずもがな。
たぶん痩せ型の方にも、ぽっちゃりさんにも、低身長さんにも、共感いただけることかもしれない。
本当にフリーサイズってなんなのさ!身幅や丈など事細かに書いてはくれているけれど、そんなんでわかるわけなかろうが。
でも私が見た通販サイトはすごかった!
・・・いや最近はどこもそうなのかな?
サイズ比較ができるAI診断みたいなので、自分の年齢や身長体重、あとはいつも行くお店の洋服サイズは何かまで打ち込んで、サイズ感を出してくれる機能があったのだ。
思わず凄っ!と声が出てしまった。
文明開花じゃのう・・・
おばちゃんついていけんわい。
しかしながら、AI診断でサイズ感がわかったとて、即購入に至ることができない、優柔不断小心者マインドが顔を出してしまうのだけれど。
ついていけないで言うと
最近とても思うのがTikTok。
私はK-POPアイドルが好きなので、その子達がいろんなグループとコラボしてダンスをしている動画はよく見るけど、所謂TikTokでバズった音楽というものには疎い。
職場の後輩たちと話していて驚いたのだけれど、90年代生まれなら誰しも知る楽曲が、今になってリミックスされてTikTokで流行り出し「え?この曲って原曲あったんですか?」と言われることがあった。あと「この曲どこかで聞いたことある!TikTokだ!」とか。
TikTokってすごい・・・
そんな時代の流れに付いていけていない自分がなんだか寂しいものだ。若者の流行りには乗っかれているつもりでいたけれど、つい先日も今年の流行語大賞候補を見たときに、わからない単語が増えていて悲しくなった。
今年29歳を迎える私、ついこの前まで高校球児より年上になってしまった!と驚いていたのに、いつの間にやらオリンピック選手が引退を考えるような歳になっているわけで。
そんな流行りに疎いおばさまに片足突っ込みつつある私だけれど、先日Instagramのストーリーで素敵な動画を見つけて、とあるYouTuberさんにハマった。
それは”あさぎーにょさん”
職場の後輩に話してみたら有名なYouTuberさんならしい。(知らないの?って思った若者たちよ、ちょっとシーッ!)
「あー!ぎーにょですね!あの女はマジで良い女」
後輩はそう言っていた。
女子がそんな言葉遣いするもんじゃありません!と後輩より5つ年上の私の姑マインドが顔を出す。でもその意味はのちにわかる。
あさぎーにょさんは先日とある出来事でネットニュースにもなった。私もその動画からYouTubeを見るようになった。
それは彼女の結婚式の映像だ。
ほんっっっとうに可愛いのでぜひ見て欲しい!
彼女の結婚式はぶどう農園を貸切にして、そこにバージンロードや披露宴会場を作り、すべてにおいて彼女が携わり、一から作り上げられた。
披露宴会場のコンセプトは
”アリスのティーパーティー”
これがもう本当に可愛い!!
女の子の好きがたくさん盛り込まれている。
あさぎーにょさんの頭の中どうなってんの?って思うくらい細部までこだわりを持って作っていらっしゃっていて、感動しきりだ。ずーっとニヤニヤしながら結婚式の映像を拝見した。
自分が結婚するときは、あさぎーにょさんにプロデュースを頼みたいと思うほど。
まぁ・・・予定はないですけれども。
もともとあさぎーにょさんを知っている方や、この動画を見た方ならお分かりかもしれないけれど、この方本当に自由で天真爛漫で、常に楽しいことを考えていて、自分の好きなことに対して妥協を許さないお方。
本当に良い女・・・(後輩よ、諭してごめん)
動画を見ていくうちに、どんどんファッションに対しての概念が覆されていく。
あさぎーにょさんのご自宅のクローゼットはカラフルで、いろんな色に溢れている。組み合わせていったらきっと数千パターンくらいあるんじゃないかってほど。それをコンセプトに合わせながら楽しそうにコーディネートを組んでいく。
クローゼットの中にアースカラーしかない私からしたら、異次元すぎて見ていてワクワクした。楽しそうだなって思った。
正直わたしはお洒落に頓着しない人間だ。
絶対安心な落ち着いた色を選び、面倒なときは黒や白、ブラウンなどの単色で揃えておしまい。そして買い物に出かけるのは決まってユニクロかGU。
仕事がある日は制服が決まっているので、私服を着るのなんて週に2日あるかないか。加えて出不精な人間なので、お洒落をしにいくところもないわけで。
でもなぜか、あさぎーにょさんの動画を見てからお洒落意欲が出てくるようになったのだ。
不思議なもので行きつけのショッピングモールでいつも一目散にGUに向かうのに、フロアにあるお店を一店ずつ見て回っている自分がいた。
(あれ?楽しいぞ・・・)
シンプルが一番と思っていた人間が、個性的な配色やデザインにときめくようになっている。
いつもなら見ないブランドのお店に足を踏み入れるたびにトキメキが止まらない。
今までウィンドーショッピングなんて何が楽しいんだって思っていたし、洋服の買い物なんて1時間足らずで終わっていたというのに。
ちなみに私の母は買い物に時間をかける人なので、ショッピングモールに着いたら別行動になることが多い。(ごめんね母よ)
そんなこんなで話は振り出しに戻る。
今私は、ウィンドーショッピングで気になったお店の通販サイトと睨めっこをしながら、私は新しい一歩を踏み出そうとしている。
このお洒落ニットを買うか否か。
たぶん・・いや絶対に私はこのニットが好みだ。
着てみたい!でも似合うかわからない・・・
さあここで優柔不断マインドの私に
”あさぎーにょマインド”をおろしてみることに。
「似合うか似合わないかじゃないやろ!
着たいか着たくないかや!」
ぎーにょさんならきっとこう言うはず。
とはいえネット注文はなんだか勇気が必要だったので、次のお休みにお店に出向き、そこで買うかどうか最終決定することにした。
お店について一目散にニットを手に取り、また睨めっこ。
すると店員さんが声を掛けてくださった。
「このニット可愛いですよね!
とっても人気なんですよ〜うんたらかんたら」
私は店員さんに声を掛けられることが苦手で、かなり推しに弱いので、こういう時はお人好しが顔を出してしまう。
いつもならイヤフォンをして、話しかけんな・・・
いや、話しかけないでくださいオーラを出しているんだけど、この日みたいに私のATフィールドに入り込んでくる店員さんもいる。
とりあえず間に合わせの相槌をうって、この場を切り抜こう。
そう思っていた。
思っていたのに・・・
気がついたら私はレジでお財布を持っていた。
・・・買ってしまった(店員さんの圧に負けた)
あんなに悩んでいたというのに
呆気ない結末である。
でも本当に買ってよかったと思っている。
家の鏡の前で着てみたらあまりに可愛くて、尋常じゃないほどトキメキが爆発したから。
そして私の中のあさぎーにょさんが呟く。
「な?買ってよかったやろ?」
その通りでございます。
20代最後にお洒落に目覚めた私。
なかなか悪くない。むしろ良い気分だ。
花崎 由佳
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