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山形の新米地域おこし協力隊4週目、金山での生活は落語。


時の流れが早すぎる

 気づいたら協力隊4週目が終わっていた。
そもそも自分が地域おこし協力隊であるということもあまり信じられていないのに、もう就任して1か月だなんて、尚更信じられない。
 そもそも大学3年の頃から「地域おこし協力隊」という職業に興味があったが、何のスキルもない自分がその職業に就くのはだいぶ先のことで、3年間自分の力で地域活動を作っていくなどというのはハードルが高すぎると思っていた。
 それが今や協力隊4週目。今日も楽しく活動できているなんて、本当に奇跡。

4月22日(月)

 今日の仕事終わり、上司と同僚と飲み会に行った。
「お互いの人生語んねと始まんねべ!」とのことで、私が所属する産業課商工観光係の係長の神沼さん、今年新採用で入ってきたかやちゃんと、磯舟という居酒屋で飲んだ。

 3人で飲み始めて一番最初に話し始めたのは神沼さんのまちづくりに対する考え方だった。大学時代は離島にハマり、主に飛島で地域活動をしていたという神沼さんと私の考えが合致した部分は「まちづくりは諦めから始まる」だった。諦めというと強い表現だが、要約すると「地域の人は地域の変化など望んでいない」ことを自覚しながら活動した方がいいということ。
 神沼さんは飛島に友達をたくさん連れて行ったら、「こんなに外の人を連れてくるな」と怒られたらしい。人を呼んできても受け入れる器がないから、むしろオーバーツーリズムのような形になってしまってまちがパンクしてしまう。

 まずはまちの中が良くならないと外の人を連れてきても仕方がないが、中で起きていることを効果的に外に伝えないと地域内だけでことが完結して、地域の風通しが悪くなってしまう。一気に変化するのは良くないけれど緩やかに変化していかないと地域が持続しない。考え始めたら止まらないけれど、この地域にとって良い形で、緩やかな変化を楽しんでいきたい。

4月23日(火)

 今日は私の推しグループ「WEST.」の10周年だったので、意識が完全にWEST.に向いていました。10周年おめでとう!!!!!!!

 仕事としては最上地域内の道の駅等に、金山町のパンフレットの配布に行っていた。リース契約した車もまだ届いていないので、ほとんど金山町を出ない生活をしていた私だが、初めて最上地域のほかの町に出向くことができた。

 大した感想ではないが、最上の道の駅は他の地域に比べてクセが強い気がする。戸沢村は「もはやここは韓国?」みたいな建物だし、舟形町はほとんど全てのグッズが縄文土器(それは言い過ぎ)。舟形町の若あゆ温泉には巨大な鮎。何だかクセが強い。

 金山町にはそもそも道の駅がないので、地域の特色が存分に出せる道の駅の存在は羨ましい。金山に道の駅つくるプロジェクト、大変そうだけどあったら訪れる人が増えそう。

4月24日(水)

 今日は午後イチ、マイマイと打ち合わせ。
東京でデザイナーをしているマイマイは前の日記に登場した記憶があるが、私の大学の同期。マイマイはとにかく仕事に丁寧に向き合っている印象がある。紡ぐ言葉も成果物も丁寧で、何でも勢いまかせな自分に内省の機会を与えてくれる。

 今回も勢いまかせに「本屋やりたいんだよね!」と依頼した私に、とても丁寧に対応してくれていて、本当にありがたし申し訳なし。
 「かぷりば」という本屋の屋号のロゴを5種類も考えてきてくれた。
ちょうど今週は、本屋事業の立ち位置に迷っていた。やはり移住したばかりの新米が商売をやりたいというのは、あまりよい印象を与えないらしい。
 私は「本屋でありコミュニティスペース」である場所をやりたくて、「コミュニティスペース」って言ってもみんな来づらいかもしれないから、本屋みたいな文化的でゆるいお店として、ゆるゆる〜っとみんなが好きなことを語り合いながら「こんなことやってみたら面白くね?」とこそこそ企てを立てたりしたい。
 私が文芸部だった高校時代の部室はそんな場所だった。文芸部の同期6人に加えて、生物同好会や茶道部、美術部の人々が勝手に出入りしていた。図書室の隣だったので、図書室から借りてきた雑誌を読んだり、スマホ使用禁止だったがこっそりスマホを使用してホラー映画を見たり、真面目に短歌の練習会を開いてみたり、「ペヤングのいろんな味を食べる会」を開催して部室に焼きそばの匂いを充満させたりした。時には生物同好会の部室に出向いてウサギやオオサンショウウオのお世話をし、図書室の司書さんの部屋に出向いて紅茶を飲みながら図書室にどんな本が欲しいか語り合った。暇なら部室に行く、部室に行けば誰かいるし、いなくても勝手に好きなことをしている。そういう場所が私にはとても大切。

 そしてマイマイとあれこれ話した結果、かぷりばのロゴができた。
できたと言っても、これからどんどん変わっていく。「かぷりば」の姿やコンセプトはまだまだ未完成で、始まっているかも微妙なラインなので、これからロゴも変えていけるようにした。
 でもひとつ決まっていることは、かぷりばは川村が常にいること。そして私にとってマイマイこと川崎舞さんは勝手にコンビだと思っているので、川崎さんも一緒にかぷりばとして活動しているということ。川村と川崎の川。川の字をめちゃくちゃ太くしたロゴから、かぷりばは始まっていくのだ!

4月25日(木)

 今日は一日、置賜地域に金山の観光パンフレットの配布に行った。
置賜地域は山形の南側、最上は北側。真逆なのでめちゃくちゃ遠い。
今回は課長補佐の中村さんに車を運転してもらって1日ドライブした。

 中村さんとは、東京で金山の仕事をしていた昨年度から面識があったので話やすい。いろんなことを根掘り葉掘り話したが、後半は今の上司の神沼係長と、昨年まで産業課にいて今年から健康福祉課に所属となった丹さんの話になった。丹さんとは昨年度ガッツリ一緒に仕事をしていたし、神沼さんともここ最近打ち解けてきたので、「神沼さんとこの前飲みに行ったんですけど、アツい男すぎて〜」とか「丹さんは逆にクールすぎるんですけど、ハートは誰よりも熱いですね〜」とか、本人がいないことをいいことにふたりをイジっていた。なんだか楽しかった。
 2週間ほど前、神沼さんと車で移動していた時、「上司をバカにできるくらいガッツリ仕事ができたら1人前だ。」的なことを言っていた。自分のことをどんどんイジれという上司もなかなか居ない。でも今日神沼さんのことをイジっていて、落語のまくらを思い出した。

 落語におけるまくらというのは、落語本編に入る前の雑談部分に当たる。そのまくらの時に、他の落語家さんをイジる人は結構多い。イジるというかもはや悪口に近い。
 私の好きな柳亭小痴楽さんのことはよくヤンキーとかヤクザ扱いされていて「あのヤクザが殴り込んでこないか不安です」とかどちらかというと小痴楽さんの印象を下げるような扱いをされて、みんなで笑う。めちゃくちゃ悪口だけど、これは落語家さん同士の信頼関係とか、イジっていい仲みたいな、そういう雰囲気があって行われていることなので、むしろ愛を感じるというか。安心して悪口言える仲って、信頼関係と愛なので、相手のことが好きだからイジってるみたいな。「ほんとあの人頑固だからな〜(ニヤニヤ)」とか、頑固なところも私は愛す! 的な感じ。イジりは愛。
 愛を持って上司をイジれる環境ってステキ。落語の世界みたいでとてもいい。これからも上司をイジれるくらいガッツリ働きたい。

4月26日(金)

 今日は朝から鯉の引っ越しだった。
普段は「大堰」という農業用水路に鯉が泳いでいるのだが、冬の間は寒いので神社の横の池に移動している。
ゴールデンウィーク間近の時期に、毎年池から大堰に鯉を移動させる「鯉の放流」というビッグイベントが開催されるのだ。

 今日はさらに、「ゴジダス」という山形県のローカルニュース番組の生中継に出演するという仕事もあった。鯉の放流と、大堰のライトアップと、金山の名産「ビーナッツ」とかねやま「街市」の宣伝。てんこ盛りの内容を5分で伝えるというハードな中継。

 朝からいろんなテレビ局や新聞社が来て、私と同じく産業課のかやちゃんが鯉を放流する様子がカメラに収められた。そして夕方もテレビに映って、めちゃくちゃ注目浴びてる気分。去年までは注目浴びるの気持ちいいみたいな、目立ちたがりみたいなタイプだったけれど、今年はなるべく目立ちたくない。私が主役のまちづくりというよりはみんなでやりたいし、なんなら他のスタープレイヤーを建てて目立ってもらえるならそれでいい。
 地域おこし協力隊としては自分が表に出ていくことが求められると思っているので、多少名が売れたら嬉しいけれど、やっぱり目立ちたくはない。
 このバランスが難しい。

5月3日(金・祝)は かねやま「街市」に出店しています

 日記にも書かれているように、5月3日のかねやま「街市」に、マイマイと本屋として出店しています。まずはやってみよう、ということで、完全に見切り発車です。当日は50冊ぐらいの本とZINEなど、そして「かぷりば通信」という私のnoteを抜粋してまとめたフリーペーパーを配布します。
 お時間合う方はぜひお越しください〜。

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