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南十字星の真下で Ⅶ[セントキルダ 〜 メルボルン]

衝撃のレイクスエントランスから、2日かけて、セントキルダという町までやってきた。

ここセントキルダは、ビーチサイドの開放的な雰囲気が心地よい。椰子の木が立ち並ぶ遊歩道があり、そこを散歩する人やサイクリング、ジョギングなどを、楽しんでいる人が多かった。そんな中、

「ハッピーアワー!大ジョッキが2$」

とビーチ沿いの店は人が溢れていた。ハッピーアワーが、8時まであり、なんと2リットルの巨大ビールを手に入れることが出来た。

2002年のレートが1$68円だったので、2リットルのビールだと約140円という破壊力であった。

大ジョッキと書いたが、日本でいうピッチャーそのもので、器はグラスではなく、プラスチック製であった。

「落としても割れない巨大ジョッキ」

そのフロアには机がなく、ノリのいい音楽が大音量で響いているが、みんな重たいピッチャーを持っているので踊るのは困難だ。

それどころか、ピッチャーを持つ手を交互に変えないと腕が痛くてたまらない、

「トゥー マッチ ヘビー!マイト」

と2リットルのビールを、口に運ぶだけでも結構な筋トレである。床はこぼれたビールで至る所が、ビチョビチョに濡れており、歩くだけで酔えそうだった。

セントキルダのバックパッカーズに3日間滞在して、ついにメルボルンにやってきた。

メルボルンはエリザベス ストリートで宿を見つけた。久しく都会のバックパッカーズから離れていたので、街に入った時は心が躍った。

ここメルボルンはレストランのクオリティーが高く、特にインド料理の美味しい店が何軒もあって通い詰めた。

晩御飯にインド料理を食べ、パブに移動しビールを飲む。更にナイトクラブで夜中まで踊って、最後にまたインド料理のカレーを食べる。

「これぞメルボルン!」

と独り浮かれていたが、キングスクロスの燃えるような思いにまで至らず、次の旅路を考えていた。そう、

「タスマニアデビルに会いたい」

漠然としたこの思いが、徐々に強くなっていく。そんなある日、雄一くんからホットメールが届いた。

「再来週、ホバートで大会があるので、一緒に出ませんか?」

という内容であった。僕は練習していないので、トライアスロンのレースは出ないが、彼の応援に行くと返信した。

フェリーのチケットを買ってタスマニアに行く準備をした。メルボルンは合計3回に分けて滞在するのだが、古き良きイギリスの様な街を、自転車で駆け回るのが好きだった。


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