走り始めて気がついたこと

 働いてからずっと,運動不足を感じていた。大学院生の頃も基本的には研究室に籠もっていたが,指導教員がたまに登山に誘ってくれたので,全く運動をしなかったわけではない。体力がなければ研究はできないので,ここ数年は切実に運動不足を解消したいと考えていた。といっても多忙な毎日を送っているので,具体的な行動に移す意志を持てなかった。そんな時にこのコロナである。巷でジョギングが流行り始めたので,私もその波に乗っかった。

 走り始めは5月だった。最初は,夜の静かな街をゆっくりと走ったり歩いたりと散策することで,気分転換することが目的だった気がする。途中からRunkeeperというアプリをスマホに入れ,記録を取るようになった。私はこの手の記録アプリが大好きだ。体重は2011年から記録しているし,4月からは毎朝の体温も記録し始めた。いつからなのかはわからないが,コツコツ続けることが好きなようだ。だから研究職を選んだわけではないし,研究職というコツコツ取り組まねばならない職業を選んだからそういう性分になったのかといえば,そうでもない気がする。

 走り始めてわずか数週間で,膝を痛めた。準備運動もせずに調子に乗って走っていたので,自業自得だと思う。早歩きするのも辛いほどに痛く,完治するまで約1ヶ月かかった。そんな自分が情けなく,治ったら本格的に走って体力作りをしようと決意した私は,Apple Watchを買った。高かったけど,誕生日の小遣いや飲みに行くことがなくなって毎月の小遣いも余るようになったので,それらを活用して買ったのだ(結構悩んだけど)。Apple Watchは7月の上旬に届き,ちょうどそのタイミングで脚も治ってきた。これでもう,重たいスマホを持って走る必要はなくなった。

 7月は12回走りに出て,平均距離は4km,平均ペースは1kmあたり6分24秒だった。脚が完治していたわけではないので,リハビリを兼ねてゆっくり走ったのもあっての結果である。ちなみに私は中高と陸上部である。短距離から始めて,高校では投擲に絞った。走るのは嫌いだったのだ。100mより1mでも長く走るのは嫌なくらいで,3km以上になると休まずに走ったことはない。自分は瞬発力はあっても持久力はないのだと自覚していた。

 しかし,そんな私が8月に入って覚醒した。平均で6km走っているし,途中で一度も歩いたことはない。歩こうと思ったことすらない。特に辛いとも思わない。走る前は入念な準備運動(特に膝まわり)をして,走り終わった後のクールダウンも怠らない。これによってもう脚が痛くなることはなくなった。

 ちなみに,走るのは夜だ。夕食後,1時間ほど休憩してから走る。走るときは晩酌をしない。走り終えてから飲むビールがまた最高だからだ。ここが今抱えている問題の一つか。ビールはそのままごくごくと飲み干すが,その次にワインに手を出すと,つまみを食べてしまう。せっかく走ってカロリーを消費したのに。今はまっているのは湖池屋の「じゃがいも心地 有明海の恵み 焼き海苔」だ。食べ過ぎないよう袋からちょっとだけ出しても,気付けばおかわりしている。この習慣はなんとかせねばなるまい。

 そんな私が昨日,10kmチャレンジをした。以前より授業が終わったらやろうと考えていたのだ。しかし未知の世界だった。当然,そんな長距離は走ったことがない。でもいける気がしたのだ。そして私はやったのだ。

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 自分にしては凄いと思う。夕方だったのでまだ暑かったが,幸い走っている場所は日陰が多く助かった。授業で使っているPOKETLE120mlに水を入れ,ウェストポーチに忍ばせ,3,6,9km地点で一口ずつ飲んだ。水分補給できたのは良かったが,別の水筒を買った方が良さそうだ。走りながら飲むのに適した物が良いだろう。

 なぜこんなに走れるようになったのか。陸上部の時は走れなかったのに。40過ぎて体力が増強するとは思えないので,そうすると,忍耐力がついたと考えるのが妥当である。仕事を通じて忍耐力がついたのだ。研究職とはいえ,それなりに多くの人と協働して働くので,さまざまなストレスがかかる。自分のことは棚に上げて言えば,研究者は面倒な人が多いのだ。

 10km走れたことよりも,意外と忍耐力がついていたことの方がインパクトある発見であった。次の目標は20km。いつの日かハーフマラソン大会に出られるように頑張ろう。

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