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2022年公開映画ベスト

初めてインターネット上に映画ベストというものを公開するので、選出ルールはまだ未確定。配信のみの映画は外す人もいるけれど、今年に関しては劇場公開予定だった作品(たとえば『私ときどきレッサーパンダ』)が配信のみに変更になったりして、当初は劇場公開が想定されていた作品が配信のみになったから選出から漏れる、というのも気持ちが悪いので今年は配信でよかったものも含めた。旧作の日本初公開作品はありにしてしまうとランキングがそればかりになりそうだったので新作のみ。

1.『グリーン・ナイト』デヴィッド・ロウリー

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2.『ケイコ 目を澄ませて』三宅唱

3.『ブラック・フォン』スコット・デリクソン

ブラックフォン 画像

4.『いつか、いつも……いつまでも。』長崎俊一

いつか、いつも……いつまでも。 画像

5.『私ときどきレッサーパンダ』ドミー・シー

6.『にわのすなば GARDEN SANDBOX』黒川幸則

7.『スティルウォーター』トム・マッカーシー

8.『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』サラ・ドーサ

9.『ミニオンズ フィーバー』カイル・バルダ

10.『ZAPPA』アレックス・ウィンター

簡単な選出理由

① ロウリーの"時間”に対する考え方がやはり好きだなと感じ、理屈より先に体が反応するような感動があった。過去作と比べても遊び心に溢れた作品だし、好きなポイントはたくさんあるけれど、1位の理由は初見の体験が大きい。

② 日々の労働、練習の反復に対し、一瞬で終わってしまう試合。努力する才能があると周囲からは思われている人物の苦しさをシビアに追うのが良い。

③ 私はホラー映画が苦手だ。理由は割愛するが本当に苦手で(スピリチュアルな理由ではない)、みることに消極的なジャンルがあることに後ろめたさを感じたりもするが、苦手なものは仕方ない。本作も実際、上映後に体調を崩し辛かったが(おそらく上映中に緊張し過ぎたせい)、ぐったりしながら同伴者に「あー面白かった」とこぼしつつ帰宅し、そこまで具合が悪くなったにもかかわらず心から面白かったと思える映画は少ないだろう、ということで3位。幽霊がみな必死なのが切なくも可笑しいし、ラストの脱出劇の唐突なピラゴラスイッチ的快感に結実する愚直さも好感が持てる。

④ くっついては離れてを繰り返し結局キスすらしない、古き良きアイドル映画のような楽しさがある作品。ヒロインの関水渚がとにかくよく、トリッキーになりそうな役どころをチャーミングかつ自然に演じていて素晴らしい。

⑤ 短編監督作『Bao』が良かったので期待していたドミー・シー監督作。ディズニー映画で、アイドルに情緒がおかしくなりつつ熱狂するティーンの物語をみれるのが新鮮だった。バカ騒ぎする女子のリアルな青春劇だと思う。

⑥ 幼少期、普段行かない遠い公園に行ってみたら知らない子どもがいて、遊んでいるうちに仲良くなっちゃったときの心地よさのようなものが、偶発的に大人に発生してしまった様子を映画にしているのがすごい。けれど主人公たちはしっかり大人なのでドライさも待ち合わせており、ラストの苦さはホン・サンス『次の朝は他人』を想起した。(作品として似ているわけではない)

⑦ 端正な作品になっていないのが良い。トム・マッカーシーの過去作でも描かれてきた人生のままならなさ、潔白であることの不可能さ、大人の弱さがかなりシビアな形で合体している。

⑧ 危険を承知で火山へ赴き続けた研究者夫妻のドキュメンタリー。火山へ2人が魅了される理由に真っ先に納得させられる、美しく説得力のある映像を自分たちで撮り続けていた事実に感服。

⑨ とにかくミニオンが好きで、街中で隠れミッキー探しのようにミニオングッズや広告に反応しながら公開を心待ちにし、ついにみれたのが嬉しい、という単純な理由でランクイン。『怪盗グルー』というのは不思議なシリーズで、キャラクターとして人気が出るのは当然ミニオンだが、話の主人公はグルーであり、作品の進行上はっきり言ってミニオンはほとんどの場合必要ない。けれどただの可愛い要員でもなく、体を張ってとにかく笑いをとっていき、たまにグルーを助けたりもする。そその真骨頂として2015年の『ミニオンズ』があり、とにかくドタバタ劇に徹している怪作だと思うのだけれど、本作はそれと比べると手数勝負なのが残念。しかし、大作アニメーション映画としてはむしろ1作目がストイック過ぎたのかもしれない。

⑩ 昨年『悪魔とダニエル・ジョンストン』をみて以来、音楽をメインに活動するアーティストが撮った映像や映画に関心が湧いた。ザッパに関しては本人が記録魔だったようで、膨大な映像から編集された映像はどれも興味深く、また本作で扱う要素を絞った戦略が功を奏していると思う。



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