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【読書感想文】心の形、怪獣たちの真実『トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と』

人間と異形の存在である怪獣との間に芽生える愛と絆を描いたファンタジーSF。「MM9」シリーズの世界を背景に、現実社会の困難に立ち向かう青少年たちの姿を通じて、心のつながりの意味を問いかけています。

本書のテーマは「心の形」です。物語を通じて、人間とは外見も内面も異なる怪獣たちと、彼らを理解しようとする少年少女たちの交流が描かれ、心の本質が浮き彫りにされていきます。怪獣たちは、見た目は異形ながらも、人間同様に感情を持ち、愛することができる存在として表現されており、主人公たちとの関わりの中で、互いに深い絆を築いています。

中でも印象的なのは、主人公の一人である少女が、怪獣の抱える苦しみを共感し、心を通わせる場面です。このエピソードを通じて、内面を見ることの重要性が示唆されます。

私は、本作は単なるファンタジーに留まらず、現実社会における偏見や差別への鋭いメッセージが含まれているようにも感じました。怪獣への恐怖や排除の念は、社会における異質な存在への反応を反映したものであり、それを乗り越えることの困難さと必要性を示唆しています。

感動的なSFファンタジーであると同時に、異質な存在の関係性について考えさせられる本作は、多くの人に読まれるべきだと思いました。

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