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2023年に観てよかった映画まとめ

もう2024年になってしまいましたが、2023年に観てよかった映画をまとめてみました。映画に詳しいわけではない人間のうろ覚え感想ですが、2023年の振り返りなどにご活用いただければ幸いです。


エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

SF×カンフー×ADHDという個性的な要素が詰まった映画。主人公がアジア系かつADHDの女性で、様々な世界線の自分の力を使って世界の危機、そして家族の危機に立ち向かいます。

監督がADHDを主人公にしようと決めて調べた結果、自身もADHDであることが発覚したという作品で、映像自体もADHD的で面白かったです。個人的には特に「石」のシーンが好きでした。

バトルシーンでお下品要素が結構あるので、地上波放送が難しそうなのが残念なところ。『キングスマン』などが好きな人には多分オススメです。

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

剣と魔法の異世界ファンタジー映画。D&Dは残念ながら通ってこなかったのですが、『ロード・オブ・ザ・リング』などが好きな人間なので前知識なしでも楽しめました。

正統派ファンタジーでありつつ、肉弾戦担当が女性な所などが好印象。登場人物たちの悩みやトラウマを解決しつつ、巨悪を倒す構成が美しく、もっと評価されてほしい映画だと思いました。

BLUE GIANT

ジャズに没頭する青年たちを描く、同名漫画を映画化した作品。原作漫画は未読で、ジャズも門外漢なのですが、前提知識なしで楽しめる傑作音楽映画でした。

話の筋としてはオーソドックスな青春物語ではありますが、ジャズってこんなに熱くて楽しいものなのか、というパラダイムシフトが自分の中で起こりました。劇場の音響で見てこその作品なので、公開中に観に行くことができて良かったです。

ジャズアニメといえば、雰囲気が違う作品ですが『坂道のアポロン』も好きだったな、とふと思い出しました。

岸辺露伴 ルーヴルへ行く

「初めてのルーヴルはなんてことは無かったわ 私だけのモナ・リザもうとっくに出会ってたから」という感じの映画でした。

原作漫画は読めていないのですが(「ジョジョ」シリーズは履修済み)、映画オリジナル要素が結構あったそうで、ルーヴルより洒落怖的な因縁のシーンがやや長く、そこで好みが別れるかもしれません(自分は好きでした)。

実写版岸辺露伴シリーズが好きな方にはオススメの作品です。

アリスとテレスのまぼろし工場

「恋する衝動が世界を壊す」というキャッチコピーからしてセカイ系な、岡田磨里監督作品。出ることのできない閉鎖的な田舎とセカイ系って相性良いんだなと実感し、また岡田監督迫真の田舎描写がよく噛み合っていたと思います。

セカイが終わると分かってたって、愛は貫けるんだよなと、上映中に何度も泣いてしまいました。ジェンダー観が一昔前で止まってるのは気になりましたが、作中の設定上やむを得ない部分もあるのか、と思いつつもモヤモヤ要素ではありました。

アリストテレス要素があったのかはちょっと判断できませんでしたが、『不思議の国のアリス』がネタ元の一つだったのかなと思います。「私の答えはこれや!」という勢いのある作品で、見ごたえがあり、個人的にはかなり好きでした。

キリエのうた

「セカイ系のオタクは見に行った方がいい」とフォロワーさんに聞いて、見てきました。歌う才能があるけど身寄りのない女性主人公が、路上バンドをやりつつ、男に救われなかったりヤバい女性に救われたりして生きていく音楽映画です。

帰る場所のない女(主人公のキリエ)を男が救おうとするというのは落ちものヒロインやセカイ系っぽいのですが、行政がめちゃくちゃ仕事して二人を引き裂くので、「そうはならなかったんだよ」となるのが、アニメ作品だとあまりない展開だなと思いました。

(ヒロインの特殊能力を奪うために謎の組織が割って入るとかはアニメでもよくあるけれど、純粋な職業倫理として行政が割って入るのは珍しく感じました。新海誠『天気の子』でもやりかけていたことではあったけれども)

結局、男は何もできなくて、アンチセカイ系なのかな?と思いきや、キリエとイチカ(指名手配犯の女)の方がセカイ系百合っぽくなっていくのでどちらとも取れるように感じました。最終的に最愛の相手をセカイに取られる結末という意味ではセカイ系かもしれない。

『RRR』並みの上映時間なので覚悟が必要ですが、歌も迫力があり、一見の価値のある映画でした(3.11描写があるのですが、新海誠監督の『すずめの戸締まり』とは色々な意味で対照的な作品だったと思いました。監督同士は仲良しらしいのですが)。

ロスト・キング 500年越しの運命

リチャード三世を愛するアマチュアの女性が、彼の遺骨を見つけるまで大変な苦労をする、実話をもとにした作品。ジェンダーや障害による理不尽な差別の描写があり、映画ではそれらを批判的に描いています。

リチャード三世といえば、ハンチバックの王位簒奪者として、シェイクスピアにも悪役として描かれており、世間の評判も良くありません。王位継承の経緯と彼の身体的特徴について、まるで悪魔のように言われるのがド直球の障害者差別であると感じました。

字幕版なので、ハンチバックというセリフが沢山聞こえてきて、市川沙央さんの同名作品に思いを馳せました。主人公の女性もまた障害があり、女性でありハンディがあることを差別されながらも、リチャード三世の遺骨に迫るべく調査を重ねていきます。

そして遺骨を見つけた後も大学に手柄を横取りされるなど不遇をかこち、死後名誉を剥奪されたリチャード三世と、名誉を与えられなかった彼女が重なって見える構成が見事でした。より多くの人に観てほしい名作映画だと思います。

窓ぎわのトットちゃん

黒柳徹子さんの同名自伝を映画化した作品。トットちゃんの多動みが強くて共感ポイントが高く、トモエ学園という、今でいうフリースクールのような、変わった子を受け入れてくれる素晴らしい学校に入ることができて羨ましいな、と思いました。

トットちゃん以外の登場人物も魅力的で、生徒たちに心を配る小林校長先生や、クラスメイトたち、ポリオを患う泰明ちゃんの描き方も丁寧で、好印象でした。こんな学校に通ってみたかったですね。

そしてトットちゃんの家はハイカラで明るい家庭だったのですが、戦争によってどんどん貧しく追い詰められていき、銃後の生活のつらさをこれでもかと感じさせられました。学校に飾られた絵が戦争のものになったり、町から色彩がなくなっていったりして、こんな風に国民生活は変わっていってしまったんだ、としみじみ伝えてくる映画でした。

終わりに

このほか、『THE FIRST SLAM DUNK』『グリッドマンユニバース』『君たちはどう生きるか』『ヴァチカンのエクソシスト』『グランツーリスモ』『ゴジラ-1.0』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』などの作品も印象的で、2023年は魅力的な映画の多い年だったなと思いました。配信が始まっているものもあるので、正月休みのお供にでもなれば幸いです。



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