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スマホ販売員時代、いちばん売れたセールストーク。

大学1年生の時、時給が高いという理由だけでスマホ販売のバイトをしてました。家電量販店でスマホやWi-Fiルーター売ったり、マイクパフォーマンスやティッシュ配りしてる人たちです。

当時ぼくが売ることになったのがドコモ「G2 L-01F」という韓国メーカーのスマホ。セールス向けの商品説明会で「ドコモから今期販売される全機種とのスペック比較がこちらです。価格含め一つも優位点はありません(苦笑)とりあえずバッテリーが長持ちするなどお客さん受けしそうなセールストークで売ってください。」と言われました。

「え?そんなの売れないでしょw」と学生のぼくは無責任に思います。しかもG2の発売時期はドコモから待ちに待ったiPhoneが販売スタートされた時期と丸被りで、多くのお客さんは「iPhoneどこ?」とショップにやって来るのです。実際、バッテリーの話をしても全く売れませんでした。(他の店舗でも売れる人がいなかったから怒られなかったけど)

とはいえ自分が”売れない”スマホ販売員だと思うと辛くなったので、なんとか売る方法を考えます。スペックが劣るならG2には何があるんだ?唯一の違いは「G2 使い方ブック(名前忘れた)」という説明書がもらえることでした。

「説明書?そんなの読まなくてもみんなスマホくらい使えるだろ」と最初は思ってたのですが、お客さんと話してるとスマホの使い方がわからない人の多さに気づくわけです。そういえば本屋にiPhoneのガイドブックも売ってたっけな。スマホは説明書が付いてないことを知らない人も多いかも。買った瞬間からスマホがちゃんと使えるのは価値が高いのでは?

そこでぼくはコンピューター類が苦手そうな母親にターゲットを絞り、下のようなセールストークをぶつけてみました。

はじめてのスマートフォンをお探しですか?はじめてなんですね。iPhoneを見れらてましたがお目当てはiPhoneですか?そうですか。人気ですし、やっぱり目に留まりますよね。でも、実はマートフォンは昔の携帯電話と違って説明書が付いてないんですよ…だからせっかくスマートフォンを買っても上手く使えないことが多いらしくて。ぼくの母もこういうのが苦手ですが、勿体ないですよね。だから、最近発売されたこのG2、お客様のためにちゃんと説明書が付いてて、これなら初心者の方も買ってすぐに使えます。今なら人気のホワイトカラーも、ブラックカラーも在庫ありますが、いかがでしょう?

こんな感じ。未熟なところもありますし、これをスラスラ話せていたとは思えませんが、それでもこのセールストークでそこそこ売れました。

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ぼくはコピーライター養成講座で「広告コピーはユーザーに新しい視点を与える言葉。課題を解決する言葉。」と教わりました。振り返るとこのセールストークは、お客さんに「スマートフォンは説明書が付いていない」という気づきを与え、そして解決策として「G2(使い方ブックが付いてくる)」を提案していたんだなあと。

チャレンジャー・セールス・モデル」という営業の本でも、”指導”という表現で「顧客のビジネスに関する独自の視点を提供し、その視点に熱意をこめて的確に伝えることで、顧客を会話に引き込む」と書いてあります。

まとめると、セールスや広告クリエイティブの一つの解は「顧客のアタマの中にある当たり前を覆して、新しい考え方をインストールすること」です。だからセールスやマーケターは、お客さんが普段から持っている「普通」とか「常識」とか言うものを可能な限り知っておく必要があるし、自社サービスが提供している価値をいろんな角度から考え尽くさなきゃいけないんです。

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