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色彩検定(3級・2級・UC級)の感想

〖2023年6月27日更新〗

※当記事には色彩検定の学習において内容の理解に役立つ情報はあまりありません、あしからず。

受検のモチベーション

長らく仕事や趣味でDTP制作などを行なっているが、その営みが総合的な知見の集合であることを実感している。先達の成果物を観察したり、一般の教本を読んだりしつつ、自分なりに考えながら場数を踏んできたが、その手の学校や訓練校の出ではないのもあって、基礎から体系的に勉強したことが今までなかった。

昨年末に仕事や趣味の関係各者と業務量を減らす相談を通し、本年を自己投資に充てることに決めた。検定の受検はその一環である。

色彩検定を選んだ理由は、①自分の仕事や趣味に役立つ知識があること、②合格率が高く(7~8割)、学び直しのモチベーション維持に一役買うと目論んだこと、③文部科学省が後援していることもあってか、独学するための環境が充実していることが挙げられる。

学習のアプローチ

公式テキスト、過去問題集、配色カード

まずは環境からということで、公式テキスト、過去問題集、配色カードを一気に購入した。3級テキストの巻末にあるPCCSカラーダイアル、2級テキストの巻末にあるPCCSトーン別明度一覧表を作成することから手を付け始めたが、これがもっとも苦痛だった。無彩色が17色、有彩色が[ビビッドトーン]24色、[その他のトーン(10種※)]12色あるのだが、これを一つひとつ正方形に切って台紙に貼り付ける作業を、2(17+24+12×10)回繰り返すことによってのみ完成する。
※新配色カード199aにストロングトーンは含まれていない。

当初は色彩検定の問題難易度を把握しておらず、受検級を決めかねていた。①試しにまったく勉強をせずに3級の過去問に取り組んだところ、7割弱を得点したこと、②テキストを通読したところ、3級・2級・UC級の学習内容が相互に関係し合っていることに気がついたことにより、3級・2級・UC級の受検を併願することに決めた。

試験範囲は、テキストでいえば3級:135ページ弱、2級:約135ページ弱、UC級:約86ページ弱ほど。端書、目次、扉、遊びのページを除くと、全体で約40ページほど減る。テキストの通読は受験日の1ヶ月前に終えていたが、問題演習に取り組み始めたのはその後になった。問題を解き終わったら、誤答した範囲に絞ってテキストを再確認しながらノート学習を行なった。3級・2級は1.5年分(3つ)、UC級は1年分(2つ)を1~2回解いた。

また、学習にはYouTube動画も活用した。有志がアップロードした試験問題の聴き流し動画のほか、公式がアップロードした「教えて! 色彩先生」シリーズの動画も繰り返し視聴した。

とくに本年は新シリーズの「もっと教えて! 色彩先生」が2級の学習範囲を取り扱い、前シリーズに較べて動画時間も長くなるなど、内容が本格化したのもあり、存外に良コンテンツだった。

受検後のコメント

久し振りにペーパー試験を受けたこともあり、昼食はおろか時計すら忘れて臨んでしまった。マークシートの記入に戸惑い、3級はマーキングに時間をかけ過ぎてしまった。2級はペース配分を見誤り、終了10分前コールの後に20問ほど急いで解かざるを得なかった。そうした失敗もあってか、UC級は理想的な取り組みができた。

2023年度夏期の受験結果は、来月7月末までに受領できる見込みである。場合によっては、この記事に書いたエラソーな文言が恥になるかもしれない。こわい。

1級の内容を把握していないため、それについては言及できないが、少なくとも3級・2級・UC級については、テキストの丸暗記で検定試験に合格できると思われる。率直に申し上げて、合格率が高いことから、色彩検定について見識のある人が相手だと、3級・2級の取得時に交付される資格証(3級/2級色彩コーディネーター資格)を呈示したところで、あまり援けになってくれないかもしれない……という疑念がある。
UC級取得の暁には、「UCアドバイザー資格」が発行される。名刺に使用できる「UCアドバイザー資格マーク」も発行できるので、ちょっとだけ箔が付きそう。

この知識には先(1級)がある——とはいえ、とくにUC級の学習内容は、色覚多様性の理解に大きく寄与すると感じた。「赤色の見分けがつきづらい方が世の中にはいる」という表層だけの見聞が、「日本人女性の約500人に1人、男性の約20人に1人が3色覚ではない色覚を持っており、その中でも割合の大きい1型色覚・2型色覚では、たとえば赤と緑の識別が難しい場合が多い」にまで解像度を上げることができる。他者とのコミュニケーションは社会生活を営む中で不可分であるから、こうした知識体系は知っておいた方が双方のためになる。

先述のとおり、3級・2級・UC級の学習内容は相互に関係し合っている。UC級の学習内容をより体系的に理解するには、3級・2級の学習内容を頭に入れることが肝要である。また、2級の学習内容は3級の学習内容の延長線上にあるので、2級の学習にあたっては3級の復習を厭わないことも心構えていてよい。

最後に、実感として、3級・2級・UC級で学んだことは決して損にはならないと信じているが、これを実務に活かすとなると、テキストに書かれていない取り組みを積み重ねないかぎり難しそうだ。何せ、いまだに配色カードの使いどころがよく分かっていない……ただ、逆に言えば、色彩検定では色にまつわる基礎知識が叮嚀に体系化されており、とくにテキストは資料的価値がひじょうに高い。受検するつもりのない方でも、色についてつまづくことがあるなら、テキストだけ手にしてみるのもよいのではと感じている。

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