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フィンランドの今の状況からみる、問題が起きた時の対応力

社会福祉・教育で働いた経験のあるソーシャルワーカーの学生の私が社会福祉・教育の分野の中で見てきた、感じてきた、学んだフィンランドの好きなところを書いていきます。私目線でフィンランドがどのように問題が起きた時に対応しているかを現在の状況を含め書きます。

いろんな感情を持ってもよい、でも感情をどう表現するかは考えよう

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人は色んな感情を持ちます、でも怒りや悲しみの表現方法が人を傷つけるものであってはいけない。だから表現方法は学ぼうと大学でもよく言います。
緊急事態の間にコロナウイルス関連の記事がどのような感情を国民が持つか、その感情がどう変化しているかを調査しました。
Mediatalo Keskisuomalainen 新聞社と共同で行った調査結果を3月30日にウェブセミナーで公開しました。Mediatalo Keskisuomalainen 新聞社は国内で22の都市で読まれています。2月18日から3月28日の間で4000以上のコロナウイルス関連の記事が書かれました。その期間中に読者から挙がってきた主な3つの感情の変化を追っています。新聞やメディアは大衆に大きな影響があるので、調査から学んだ内容は今後に生かして行きたいと書かれていました。*1

紫:恐怖 緑:悲しみ オレンジ:興味

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NayaDayaのCEOティモ ヤルビネン氏は調査データ分析を感染拡大することで恐怖の感情が上昇しています。"不確か"は恐怖を助長してしまいますが、明確で決然とした指図と制限は恐怖の感情を下げることが出ています。
メディアで国民の日常を伝えることは共感する気持ちが増えることもわかりました。こんな場合に必要なものを私たちは持っている…*1

・共感力
・相手の気持ちに寄り添う力
・創造力
・知性
・テクノロジー


誰もがわかるメッセージ

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言葉で伝えられる、目で見える内容の裏にはたくさんの見えない文化があるという"氷山の理論"を大学で読みました。誰かと意見が合わない。この状況がいつまで続くの?なんでわかってくれないの?とイライラ、心配、怖いなどのネガティブな感情がいっぱい増えていきます。意見が合わないことにではなく、気持ちや状況を理解しようとしてもらえてないことに大切に感じられていないと思いネガティブな感情が生まれるのではないかなと思います。

ニュースで出てくる言葉は分かりやすく、外国人の私でも聞いててすぐに内容が分かります。国営放送のYleではSelkokieliというやさしいフィンランド語でもニュースが放送されており、自分に合った方法で最新の情報が受け取れます。北欧諸国とフィンランドにおいて最大の契約制新聞社のヘルシンギン・サノマットはコロナウイルス関連はすべて無料で読めるように提供しています。必要な情報を家庭環境、経済状況や障がいに関係なく平等に受け取ることが可能です。教育の平等に通じる考え方だなと感じています。

"I"から"WE"へ

これはフィンランド国営放送の画像です。
真ん中に首相のサンナ・マリン氏が立っていますが、彼女の周りには各大臣が同列に並んでいます。教育大臣からは教育に関する内容が、経済大臣からは経済に関する内容が発表されます。専門家同士が協力し合い、仕事を役割分担してチームで挑んでいるように感じます。

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Iltasanomat紙への4月11日のインタビュー記事では"私たちはフィンランドの人たち、会社や家族をこの混乱の中に1人にさせたくない"と話してます。*2

孤独になることや不安や恐怖をなるべく軽減するために、お互いを思いやり合おうというメッセージが頻繁に聞かれるようになりました。

物理的な距離は取りましょうという時、精神的な距離は近づけましょう。
今こそ自分一人という考えではなく、集団だという考え方を持ちましょう。
互いに助け合おう。
ーサウリ・ニーニスト大統領

フィンランドテレビ局MTV3は Tästä selvitään - #YHDESS Ä "一緒にここを乗り越えよう"という動画をYouTubeで公開しています。

Tästä selvitään - #YHDESS Ä "一緒にここを乗り越えよう"
このメッセージは近くの幼稚園の窓なんかにも書かれていました。
自分の専門は学校に通ったりしてどんどん磨いていき、専門外や多すぎる課題は相手を信頼して分担します。チームで挑むという仕組みは社会福祉・教育の分野では以前よりもさらに強くなってきたように感じます。


とりあえずやってみる

フィンランドはテクノロジーを教育に取り入れてきましたが、義務教育を含むほぼ全学生に対して全ての授業を遠隔で教育することはありませんでした。しかし3月18日以降で学校が閉鎖してからはとりあえずオンラインに切り替わりました。今まで対面で提供していた内容をオンラインでも同じ質で提供するにはと試行錯誤しています。

私のインターンシップ先だった特別支援職業学校もオンライン授業の他に、生徒と毎日メッセージをやりとりし、授業以外でも小さいオンライングループで集まって近況報告し合える場を作ったり、個別で電話をかけてストレスを感じやすい生徒たちを今までになるべく近い手厚いサポートを提供し続けています。

やりながらやり方を自分たちに合うように変えていっています。変化についていくのは大変です。しかし、とりあえず1回試してみてダメならやめるという潔さと上手く行ったことは今後に生かすという姿勢はこの状況下でも発揮されています。


"目の前の必要"に注目する

フィンランドでは4月28日のフィンランド時間18時から、国家教育委員会と
フィンランド保護者協会共催で世界で一番大きい保護者会、テーマは学校のオンライン授業の経験についてをオンラインで開催するようです。イベントではLi Andersson教育大臣が最初の挨拶を行い、国家教育委員会の局長、オリ・ペッカハイノネン氏も話します。2018年からの情報しか発見できなかったので、これが3回目かなと想像します。2018年は学校と家庭が協力し合うには?2019年はSNSなどのメディアについてでした。

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国民全員の気持ちを聞いて回るのは不可能です。この保護者会がどうなるかは分かりませんし、参加者全員が質問するのも無理でしょう。しかし、どんな形でも国が自分の意見を聞こうとしてくれているという安心感は保護者達は感じられるのではないでしょうかと思います。何が今必要なのかを知り、それに答えれる方法を考えるというマインドセットは大学でもよく言われます。


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NayaDaya

HP: https://www.nayadaya.com/

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引用資料
*1 https://www.nayadaya.com/blogi
*2 https://www.is.fi/kotimaa/art-2000006471840.html

参考資料
https://www.goodnewsfinland.com/feature/nayadaya-makes-digital-emotions-matter/
https://www.helsinginuutiset.fi/paikalliset/1248842


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