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正直、世界一強いと思う。フランシス・ガヌー。

フランシス・ガヌー。
MMA(総合格闘技)選手です。

ガヌーは英語で綴るとngannouです。
最初全く読めませんでした。
ンガンノウ?みたいな。

ヤカラ感ありますが、そうではありません。

彼はカメルーンの貧しい家庭で生まれました。
両親の離婚により親戚の家をたらい回しにされて最終的に祖母に引き取られましたが、祖母も貧しく、学校ではペンもノートも買えず、それらを用意しないことを教師から叱られていました。

カメルーンの国民の45%は一日600円以下の収入しか得ていません

昼食も無く飢えていましたが、それでも友達から食事をもらうことは拒否していました。
そのことで後々何かを返すことを迫られるくらいならいらない、という理由で断っており、子供とは思えない強すぎる意志を持っていました。

父親は地元で有名なストリートファイターで悪い道で生きており、その息子ということで青年期にはギャングにもスカウトされていましたが、父親のような生き方はしないと決めており、ボクシングチャンピオンになることを夢見ていました。

地元ではボクシングの優れたトレーニングが出来ないと判断したガヌーは、密入国ブローカーとともにサハラ砂漠を徒歩、ジブラルタル海峡もボートで超え、警備隊に何度も拿捕され刑務所に送られることも乗り越えて、生ゴミを食べながらもスペインにたどり着き、結果的には難民に認められてフランス パリに入国します。

しかしそこでもコネが有るわけではなく、ホームレス生活をしながら無料でボクシングを教えてくれる場所を探し続け、彼の才能を見抜いた総合格闘技の名門ジムが彼に衣食住とトレーニングを提供しました。

この時、既に27歳でした。
格闘技のトップ選手といえば幼少期から空手やレスリングなどのトレーニングをしてバックボーンを備えている人ばかりであり、ガヌーのスタートはキャリアを始めるには非常に遅い年齢でした。


しかし才能があり、29歳の時には格闘技の世界最大団体であるUFCでデビュー。

凄まじいKOを続け、途中2連続の敗北を経験するも技術を身に着けてリベンジしてそれ以降は更に凄まじいKOを量産しています。

ドーピング陽性反応も出していたアリスター・オーフレイムというゴリマッチョにもアッパーでKO勝ちをしました。

アリスター・オーフレイム(ドーピング前)
アリスター・オーフレイム(ドーピング後)
そんなアリスター・オーフレイムを一撃KO

デビューから6年後、35歳の時にUFCヘビー級で王者獲得。
この階級が一番上なので、そこで王座を獲ったガヌーは世界一強い選手だといっても良いと思います。

その後、UFCとの交渉が決裂して離脱。

その決裂理由となったガヌーの要求は以下です。
・UFC全選手の健康保険加入、スポンサー獲得の権利、契約交渉の際の弁護士同席、延長条項の放棄

自分だけでなく、他の選手の利益のための要求をしていました。

他の選手では聞いたことのない決裂理由です。

UFCでは数年離脱していた元チャンピオンのジョン・ジョーンズが、ガヌーが離脱してすぐに復帰。

ジョン・ジョーンズもガヌーと同じく史上最強とは言われているのですが、流石にガヌー相手には勝算がなく、ガヌーがいなくなったことでやっと表に出てきたのではないかと言われています。

ガヌーはUFCで離脱後にPFLという業界第3位の格闘技団体に所属。
PFLアフリカ拠点の会長などに就任し、一選手だけでなく管理側としての役割も得ました。


そんなガヌー。

2023/10/28にボクシングヘビー級王者のタイソン・フューリーとボクシングマッチをしました。

本来のテリトリーではないボクシングマッチとなると、グダグダになってしまう気がしました。

日本ではフロイド・メイウェザーに那須川天心と朝倉未来が挑み、攻撃を効かせることは一切できないうちに1RでKOされました。

海外でもフロイド・メイウェザーは総合格闘家のコナー・マクレガー(元UFCライト級王者)と試合をしましたが、メイウェザーのTKO勝ち。

総合格闘技とボクシングでは評点のルールが違うので、プロのボクサーには勝てないというのが多くの人の理解でした。

更に、ガヌーの対戦相手のタイソン・フューリーの戦績は35戦 34勝 (24KO) 無敗 1分。

負け知らずの王者です。

タイソン・フューリー
身長は206 cm
デカい

ガヌーでもボクシングは無理だろう、と思っていました。
せめて良いところを少しでも見せて欲しい、というくらいです。

その試合のハイライトがこちらです。

地元であるタイソン・フューリーにとってはホーム、ガヌーにとってはアウェイとなるイギリスでの試合開催でした。

ガヌーも身長193cmの巨漢ですが、206cmのタイソン・フューリーの前に立つとやや小柄に見えます。

結果としてはガヌーの負けとなりました。

しかし、観客だけでなくプロボクサーや格闘家たちからも「ガヌーの勝ちだ」という意見がありました。

元WBA世界ミドル級暫定王者クリス・ユーバンクJr.は「リングサイドから見ていたが、ガヌーが勝ったと思った。拙戦だったが、ガヌーが攻撃的で、良い重いパンチを当て、ダウンも奪った。これまでボクシングをしたことのない男相手にあれほど苦労したフューリーは負けて当然だった」とSNS上でつづっていた。

https://www.nikkansports.com/battle/news/202310290000292.html

実際、ガヌーはダウンをしていないにも関わらず、タイソン・フューリーはガヌーのパンチでダウンをしました。

王者相手をダウンさせたガヌー

更に、タイソン・フューリーはガヌーの顔面への肘打ちも行っていました。

肘打ちの瞬間
肘打ちはむしろ総合格闘技の技なのですが

しかし、ガヌーは反則で返すことはせずに堂々と戦いました。

タイソン・フューリーの巨体からの肘打ちなんてされたらどんな選手でもKOされてしまいそうですが、ガヌーは普通に耐えていました。

もしガヌーが肘打ちしたらタイソン・フューリーは立てていたんだろうか。

この試合、ガヌーは昔はボクシングをしていたとは言えボクシングテクニックについては上手いわけではありませんでした。

ただ、とにかくガヌー身体能力が高すぎてそこらへんはひっくり返してしまっていました。

判定としては負けですが、今回の試合は決してガヌーの評価を下げるものではなかったと思います。

世界王者と互角に戦ったガヌーですが、その年齢は37歳。

ワイが知ってる37歳の身体じゃない。

筋肉もりもり

普通の選手なら選手としてはもう寿命。

ですが、ボクシング一戦目で世界王者と試合、更に本当はガヌーが勝利していたのではという声まで出てくるとなると、まだまだこれかも凄いものを見せてくれると思います。


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