見出し画像

離婚後に関する法令が、なぜ別居しただけで類推適用されるのか。

民法第766条第1項・第2項

[父母が協議上の離婚をするときは]

この法令は、離婚後に監護者を指定するための法令です。
本来、離婚前に関するものではありません。

離婚後、単独親権者の定めとは別に、
非親権者を監護者として指定することによって、
離婚後単独親権制度の下であっても、
実質的な共同監護を行うことを認めうる、親権分離分属とするもの。

その趣旨とは

「離婚ご単独親権制度下における実質的な共同監護の実現」

そもそも監護権を両親のどちらかから喪失さするものではない。つまり父母の一方についてのみ監護権を認め、他方の監護権を剥奪することを目的とするものではない。

それにもかかわらず、現状、民法第766条第1項・第2項を類推適用して、

当然のように、婚姻中の監護者指定審判が行われ、
当然のように、父母の一方について監護権が剥奪されている。

これは、本来、法の趣旨に反する。

監護権は親権の主たる一部であり(民法第820条)、(たとえ児童虐待がある場合であっても)親権を喪失させるためには、親権喪失審判によらなければならない(民法第834条)。

したがいまして、共同親権中に監護者の指定審判手続を受理する裁判所は、その審判によって、あたかも、どちらかの監護権を喪失させうる審判とするものの親権喪失の審判手続(民法第834条)が行われない限り、監護権の不存在確認訴訟で、是非が問われて然るべきです。

仮に審判で決定した監護親に、あたかも単独親権者として振る舞う権利を裁判所が与えるならば、法の趣旨に反する真逆の結論を得るために濫用されている。

そこで、親権喪失、停止、管理権喪失は、下記参照の上、監護権喪失の手続きは、日本の法にない。

https://saitama-mirai.com/shinkensoushitsu/

監護権のみを制限する手続は定められていない(民法第第4編第4章第3節参照)ことから、それを失わせるためには、親権全部を喪失させる必要。

つまり監護権は不可分ということですから、民法819条2項は、子に関して様々な手続きにかかる主たる親権者を定めるにすぎず、離婚後に親権者が決定しても、監護権を喪失することはない。

まずもって婚姻中の監護者を指定する審判手続においては、

『どちらかの親による監護権行使が困難又は不適当であることによって、子の利益が著しく害されるか』

という観点からの判断が行われているものではないならば、実質的に親権喪失の審判手続(民法第834条)を類推適用するものではない、ということであり、それは否定出来ないはずです。

したがいまして婚姻中の監護者を指定する審判手続そのものが、裁判実務として受理する裁判所に間違いがあるというより他ない。

このことからも、離婚を前提としない別居でなく、離婚を前提とする別居において、一方のみを子の監護者とすることを目的とするのであれば、民法第819条2項により、離婚後単独親権者を定めるだけで良いはずです。

総括

ここから先は

841字
この記事のみ ¥ 1,000

サポートして頂ける皆様に感謝しております。この費用はプロジェクトとは別に、子どもたちの支援活動に充てて頂いております。今後とも、どうぞよろしくお願いします。