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夢と現実を天秤にかける

NHK連続テレビ小説「虎に翼」を観ている。主人公の寅子は、日本で初めて女性の弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子がモデルだ。

寅子が母親に、「お見合い結婚はしたくない、法律を学びたい」と訴えたとき、母親が言ったセリフは強烈だった。

「優秀な法律家にだってなれるかもしれない
なれなかったときは 
なれたとしてもうまくいかなくてやめなくてはいけなくなったときは
夢破れて、親の世話になって、行き遅れ嫁の貰い手がなくなって、
それがどんなに惨めか想像したことある?」

NHK「虎と翼」、一部著者による改変

やる気満々の18歳の娘がそんなこと想像するわけがありませんよ、お母さん!

わたしの両親も同じ考えだった。21歳のときに31歳の会社員と見合いをさせられそうになった。相手の親から家柄が違いすぎるといって断られ、怒った父親はそれ以降すべての見合い話を断った。平成一桁の時代。

その少し前に均等法第一世代男女雇用機会均等法が制定されて、わたしの職場でも一般職から総合職になってバリバリ働いていた先輩女性がいた。結婚はしなかった。今は退職して一人暮らしをしている。

ドラマは昭和一桁の時代。女は結婚するしかまともに生きていけなかった。

平成一桁の時代、女は結婚か仕事かを選ばなくてはならなかった。
男と肩を並べて仕事をする土台はできた。けれど、わたしの周りでは、結婚して寿退社をしない人もいたけど、子どもが生まれたら仕事を辞めていった。

令和一桁の時代、女は何を求めるのだろう。仕事一本の人生送る? 結婚も仕事も子育てもすべてこなす? 結婚して子育てに専念する? ディンクスで子どもをもたない共働き夫婦でいる?

選択肢が多くて迷うような気もする。好きに生きればいいよ、なんて言われるとすべて自己責任というプレッシャーを感じるような気もする。けれど何か自分に誇れるものがあって、大事にそれを育てれば、振り返って人生これで良かったなっと思えるかもしれない。

「夢」なんて言葉を使うと青臭いけれど、人が何かを追い求めるパワーは底知れないものがある。でも100%成功する可能性なんてない。だから安全策は必要だ。

21歳の娘の就活がうまくいってなかったとき、わたしは迷わずこう言った。「好きなことを仕事にすればいい、おもいきりやればいい。でも絶対に
生活できる策を立てておくこと。挫折しそうになったときに困らないように。親はいつまでも生きていないからね!」

厳しすぎたかな、と思ったけど、ミシェル・オバマさんの『マイ・ストーリー』でこの言葉を見つけて、ほっとした。

「幸せについてくよくよ考えるのはお金を稼いでからよ」

『マイ・ストーリー』by ミシェル・オバマ

ミシェルさんはオバマ元大統領と結婚する前、大手法律事務所で弁護士をしていた。収入も世間からの評判から見ても華々しい法の世界だ。けれど、自分に向いていない、自分で選んだ仕事が楽しいと思えなくなり、収入はぐっと下がるけどやりたい仕事につこうかと悩んだ。その想いを吐き出したとき、母親がミシェルさんにかけた言葉だ。

昭和、平成、令和、時代が変わっても変わらないもの。女(男もだけど)は夢を追いかけ、現実と天秤にかけて、均衡を保ちつつ、歳をとっていく。

追記:
バラク・オバマさんがミシェルさんにかけた言葉は「大丈夫、……君ならできるよ。一緒に乗り越えよう」だった。
世の中には、自分の力を信じて何でもうまくいくと考える、とてつもなく前向きな人がいる。それがオバマ元大統領だ。彼は前向きだけじゃなく、本当に夢を実現させる、ものすごいパワーを秘めた人。バラクさんの天秤はハイスペックに違いない。








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