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就活生の親になってわかったこと

昨日、娘の入社式がありました。親としては感慨無量の日。尾頭付きの鯛でも用意して盛大に祝いたいところ。ですが、わが娘はお祝い事を嫌がるので、できるだけ波風をたてないよう、平常通りに過ごしました。

この日がくるのを夢見て、なんとか良い会社に就職できるよう、なんとか良い大学に入れるよう、なんとか良い高校(中高一貫)に入れるよう、幼いころからいろんな習い事させて才能を開花させてやろう、わたしもそんな親のひとりだったと思います。良い会社がどんなものか、捉え方は人それぞれですが、娘の場合、本人がやりたいことをとことんつきつめて選んだ会社に受け入れてもらったので、充分よくやったと褒めてやりたい。

そう、とことんつきつめた。就活はつきつめるほど長引き、深みにはまり、
闇路に迷うもの。就職先が決まったのは年が明けたころでした。かなりの遅咲きです。

今年就活に入る学生の親御さんのなかには、4月1日、6月1日など月初になるとソワソワする人もいると思います。就活なんて子どもに任せるわ、なんて言っておきながら、やっぱり気になるものです。このご時世、就活情報を見たくなくても目に入るので、「就活生の4月1日時点の内定率」なんてタイトルのニュースを見ると心臓がドキドキして、子どもについ、あなたはどうなの? と問い詰めてしまうこともあるかもしれません。

すでにもう内定をもらって、1年後先の進路が決まっている学生の親なら、きっとドキドキじゃなくてウキウキですよね。ちなみに去年4月7日時点で内定率は約50%でした。


寝てても騒いでも子どもはかわいい

親としての忍耐力が試される

去年の今頃から、わたしの忍耐力は試されっぱなしでした。「就職は本人に任せる」とずっと心に決めていたのにです。4月1日は表向きは大手企業のエントリーの締め切り日と言われていますが、名の知れた人気企業の面接はすでに終わっていて、この時点で全敗した学生が大半だと思います。ある企業では7000人がエントリーしたうち、700人だけがオンライン面接に進むことができ、その後、数回の対面での面接で数十人に落とされ、最終面接に進むのはほんの十数人か数人だそうですから。

娘は面接に臨むたびにその企業やその商品を調査するなど、精一杯、賢明に対策を練っていました。何社受けたかは知りませんが、おそらく彼女にとってこれほど屈辱的な思いをしたのは生まれて初めだと思います。

6月1日は新卒採用の選考解禁日です。去年、内定率は約80%というニュースが流れました。そのころ大学で親向けの就職セミナーがあったので、表向きは社会見学がてら、内心は藁をもすがりたい気持ちで参加しました。就職セミナーでは専門プロが、昨今の就職事情を語ってくれます。開口一番は「今の就活は親の時代とはまったく違う」でした。経験による親のアドバイスは役に立たない、ということです。大学の就職センターによるとその時点で内定をもらったと連絡が入った人の割合は30-40%だったと記憶しています。
焦りますよね。

わたしの忍耐力はここで低下し、娘に就活セミナーの資料を見せ、内定率を伝え、有名企業や職種にこだわらず、もっと範囲を広げてみるよう勧めました。案の定、聞く耳持たず、です。

夏休みに入ると、就活は終盤を迎えます。でも大手企業では秋の採用があります。内定辞退者が出た採用枠の空きが出た場合に実施されるということで、去年実施した企業が今年も必ず実施するというわけではありません。

親の忍耐力はこの時点で発揮されます。ママ友から内定をもらって海外旅行してる、なんて話をちらほら耳にします。ここで焦りは禁物。子どもを信じることが大切だと実感しました。

わたしの失敗は別の選択肢を与えてしまったこと。就職が決まらない場合にそなえて、大学院進学を口にしてしまいました。就職できずに院に行った話もいくつか聞いてたので。とくにコロナの時期は就活できず、院に行った人もいました。でもよく考えると、就活と受験とどっちつかずになってしまう。以前から、大学院は就職してみて必要なら自分のお金で行くように話していたのに、です。

しかし彼女のほうが上手でした。教授や院に進学する友だちに話を聞いて、院にはまだ行かないと決めていたようです。

卒論で忙しくなり、就活もままならず、秋が過ぎ、冬が来て、親はママ友にぐちるぐらいしか気休めもなく。ハローワークの新卒相談に行ってみたら、とか、近くの会社にして好きなことは趣味にすれば、とか彼女にとってはトンチンカンなことばかり言って、険悪な雰囲気になるばかり。

年が明けて半ば諦めていたところ転機がきました。娘から突然、2社に内定をもらい、どっちの会社がいいか相談されたのです。まさに青天の霹靂。会社の名前も言わず、どんなことをしているところか、職業は何か、面接の感じはどうだったか、を話し、わたしの意見を聞きたいようでした。二人で子どものころからの将来の夢や好きなだったことを話しながら、最後は彼女自身で決めました。

これ以上もこれ以下もない就活でした。成功とか失敗とかないな、と思った次第です。娘が良ければすべて良し。わたしはつくづく忍耐力に欠ける親でだとわかりました。でも彼女は屈せず、自分のやりたいことを貫いてくれましたよ。あっぱれ!









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