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『奇襲戦線 ナチス弾道ミサイルを破壊せよ!』を声目当てで見たロコPの感想

1・前書き

 映画を見るきっかけというのは実に様々。「評判がいいから」、「話題にするために」、「キャストに好きな人がいるから」…….
 そして海外映画だとこの「キャスト」という枠組みの中に吹き替え声優も入ってくるわけで、オタクとしてはこういうのも立派な供給だ。

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 ところでこれは担当のロコちゃん(CV中村温姫さん)。

(この【担当】は、アイマスにおける最上級の親愛を込めた呼称のこと)

 

 「中村温姫」……「出演作」……検索……

Screenshot 2021-07-14 at 13-16-33 中村温姫 - Wikipedia

 なんだこれ……?
 しかも調べたらロシアの映画……ロシア映画に良いイメージはないんだが……
……

………………

 行くしかねえなあ!!!


要するに推しの声の人が出てるからというだけで見た。
ヨコシマと笑わば笑え。


2・『奇襲戦線』とは

 『奇襲戦線 ナチス弾道ミサイルを破壊せよ!(原題:Ballada o Bombere)』とは、2011年のロシア・ウクライナ映画。

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 ナチスとの戦いを空前のスケールで描いた戦争スペクタクル!
第二次大戦下、世界初の弾道ミサイルを巡る大攻防戦!
 守るべきものは、愛国心?忠誠心?陰謀と疑心が渦巻く最前線で、過酷な運命に立ち向かう兵士達。真実の是非を問う衝撃のヒューマンサスペンス!
 (Amazonの『奇襲戦線』ページより抜粋)
https://www.amazon.co.jp/dp/B007POJKYQ/ref=cm_sw_r_tw_dp_6W9QRV0FDEWX2QCEWDJT

 結論から書くが、想像の100倍面白かった。
 中村温姫さんの存在を一旦置いておいても、大いに見ごたえのあるエンタメ大傑作であることは疑いようがない。

 パッケージとあらすじからしてハードは戦争ものだと思われるし、実際その通りなのだが、映画のところどころがウィットに富んでいたり、登場する個性的なキャラ達のユーモア、かなりテンポの速いストーリー、しっかり緊張感のあってハラハラさせてくれるサスペンスシーンが見事に噛み合っていて、もうバッチリ!最高!

 ただ見る時の前提の難点として、『ディスクが前後編に分けられて2枚になっていること』と、『180分という長尺』は挙げられる。
 ディスクが2枚に分けられているのは、映画『アマデウス』のディスクの様にA面・B面の表裏になっているとかではなく、本当にディスクが2枚用意されている。つまりツタヤでレンタルなどをする場合、単純に料金が他作品の2倍になる。ここで小さなハードルを感じてしまう人もいるだろう。

 もう一つ、180分と言う尺だがこれがまた奇妙な話で、恐らくオリジナルのバージョンから削りに削ってこの尺。
 というのもこの映画、シーンチェンジの際に雑で不自然フェードアウトが多様されている。正直その杜撰さな編集仕事ぶりは『酷い』の一言に尽きる。
 最初は日本に輸入された際に尺の都合などで切ったものかと思ったが、IMDbで確認したところ、どうも元からこの尺らしい。
 ということはこのフェードアウトを強いたのは恐らくオリジナルの配給の側だろう、180分ほぼジャストという尺がその想像をより強くする。
 ロシアの映画事情に詳しい人の情報が欲しいところだ。180分区切りってあるのかな……?
 ただ先にも書いたとおり、あるいはこのカットの怪我の功名なのか、恐ろしくストーリーのテンポが良い。180分間、退屈することはまずないだろう。

 ちなみに、邦題に『ナチス弾道ミサイルを破壊せよ!』とあるが、弾道ミサイルの出番は少ない。弾道ミサイルは話の本筋に大いに絡んでいるから、いわゆる「やりたい邦題」案件ではないのだが、少し意外だった。


3・『奇襲戦線』の良かったところ

 ・テーマの重さに真摯に向き合いつつも、映画としての面白さを損なっていない。
 繰り返しになるが、間に挟まれるウィットに富んだシーンや、ユーモアと愛嬌のあるキャラクターたち、スリルのあるサスペンスが、しっかり楽しませてくれる。
 だがだからこそ、その愛すべき登場人物たちが置かれている状況の悲惨さが際立つ。ユーモアはサスペンスを中和するものではなく、引き立たせるものだ。

・主な視点は主人公の男グリフツォフと女カティアの二人なのだが、もう一人、サブエピソードの主人公ゾーラを交えて、主に3つの視点から物語が語られている。
 3人の等身大の視点で描きつつ、スケールの大きいストーリーを展開することに成功している。
 特にこのゾーラのキャラとストーリーが秀逸で、彼は『生き残りたい』というただそれだけの為に、ソ連兵士からドイツの捕虜、そしてソ連ゲリラへのスパイ、更にそこでの裏切りと、立場を転々とさせ、映画世界の中を縦横無尽に駆け巡る。彼の生きざまだけでも、一本の映画が撮れそうなほど面白く、切ない。

・恋愛要素もあるが、そこが戦争サスペンス映画としての面白さのノイズにならない塩梅も絶妙。

・ソ連兵にもナチス兵にも個人単位での中立的な視点を持たせることで、感情移入出来るようになっている。
 反戦映画というわけでもないのに、「戦争さえなければ……」と思わずにはいられない。
 ロシアの映画なのでソ連兵はもちろんのこと、ナチスの人間たちが非常に人間臭く描かれているのは、凄い。特にナチス兵の『鍵を落としてめちゃめちゃ焦る若者』や、『部下が命令通りに動いてくれなくて怒る上官』などは、なんだか身につまされる感じまである。

・しっかりと映像に予算が使われており、特にロケ撮影での映像的スペクタクルには光るところがある。(ただ、CGはあんまり……)

・カティア(吹き替え・中村温姫さん)の声と喋り方が可愛い上に出番がいっぱいある!


4・『奇襲戦線』の良くなかったところ

・テンポが速いのだが、速いすぎに片足突っ込んでる。かなり展開がめまぐるしいので、集中してみる必要がある。

・劇中冒頭で語られるグリフツォフとカティアの関係の『2年間のブランク』のが、カティアの初登場のシーンから10分も経たずに二人が再会するため、感情移入しづらい。「さっき別れたばっかりじゃん!」となってしまう。ただそこ以外は、特にそういう齟齬はないのであまり気にしなくてもいいかもしれない。

・CGがアサイラム感。と言っても「クソCG!」というわけではなく、露骨にCG、合成だと分かるという程度の感じ。アサイラム映画をよく御覧になる方にはわかると思うが、絵としては成立している。ただ、やはりアサイラムと同じかそれよりちょっと上程度なので、特に最終決戦の昼間の場面ではその粗は目立つ。


・序盤の濡れ場がすぐさまカットされてシーンチェンジする(小声)


5・総評【面白かった!】

 ハードな戦争映画としての面白さとエンタメ映画としての面白さが共存した大傑作!

・大きなストーリーの中でも登場人物たちが個人単位で生き生きとしていて、脇役まで含めてとても人間味がある。
・180分あるがストーリーにムダは無く、飽きることもない。
・見よう。

・ロコPもとい中村温姫さんの声を聞きに行った民としても、カティアの出番の多さや様々なシチュエーションでの声に満足だった!ロコPも見よう。

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