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不倫映画のほとんどは「男性目線」。映画『シンプルな情熱』で女性監督が挑戦したこと/ダニエル・アービッド監督インタビュー

性に対して主体的な女性像を描き、現代女性の性に対する意識を大きく変えたと言われるドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』。しかし、同作が放送を開始する1998年の6年も前に、フランスで女性の“主体的な性”を描いた作品が一世を風靡していたことをご存じだろうか。フランスの国民的作家、アニー・エルノーによる私小説『シンプルな情熱』。シングルマザーが10歳ほど年下の既婚男性との不倫を独白した本書は、フランスのみならず日本でも大きな話題となった。

そんな90年代のベストセラーを同名タイトルで映画化した作品が、7月2日に公開される。主人公のエレーヌを、アニー・エルノーの若き日を彷彿とさせるレティシア・ドッシュが、年下の恋人アレクサンドルをロシアの天才ダンサー、セルゲイ・ポルーニンが演じている。

バレエで鍛え上げられた彫刻のような身体、刺すような冷酷な瞳、ミステリアスな存在感……ポルーニンの肉体的魅力が、理性では抑えられない情熱に絶大な説得力を与える。そして、エルノーによく似たドッシュの上品で知的な美しさが、感情が知性を上回ってしまう恋の情熱をよく物語っており、小説の世界観を見事に体現している。

実は原作となった私小説は当時ベストセラーとなりながらも、フランス文学界では“問題作”として扱われ、男女のあいだで小説に対する評価が真っ二つに分かれたという。なぜ男女で意見が分かれたのか、そしてなぜ、90年代の問題作をいま映画化したのか、監督のダニエル・アービッド氏に聞いた。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/84735

(c)Julien Roche.


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