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博物館休館継続で文化庁長官が声明「休止は最終的な手段であるべき」「文化芸術活動は不要不急でない」

 文化庁が東京都の強い要請で国立科学博物館などの再開を断念したことを受け、都倉俊一長官は5月11日、「文化芸術活動に関わるすべての皆様へ」という声明を出し、「感染拡大のリスクをできる限り抑えながら、文化芸術活動を続けていくことは不可能なことでは決してなく、休止を求めることはあらゆる手段を尽くした上での最終的な手段であるべきと考えます」としたうえで、可能なかぎり活動を継続してほしい、文化庁長官として全力で支援する、との呼びかけを行った。

 声明には、国立科学博物館などが休館を継続することについて直接の言及はなかったが、本来、博物館において感染予防策を講じれば「リスクを最小限にしながら開館することが可能」で「実際にこのような感染症対策が適切に講じられている公演や展示において、来場者間で感染が広がった事例は報告されていません」とも指摘。博物館を対象とした休業要請の合理性に疑問を投げかける内容となっていた。

 そして、声明は「文化芸術活動は、断じて不要でもなければ不急でもありません。このような状況であるからこそ、社会全体の健康や幸福を維持し、私たちが生きていく上で、 必要不可欠なものであると確信しています」という言葉で締めくくっている。

 東京都は、12日から緊急事態措置を一部変更し、それまで「無観客開催」の要請対象だった劇場、テーマパークなどについて、入場制限を条件とした開催に緩和。文化庁は当初、緊急事態宣言の延長にあわせて、12日から国立科学博物館など都内にある国立の5つの施設を再開させる方針だったが、東京都からの強い要請を受け、11日に一転して休館の継続を決定した。文化庁によると、都倉長官の声明はこの決定後の午後6時45分ごろに公式サイトで発表した

 12日午前時点で、この声明に関する主要メディアの報道として確認できたものは、NHKニュースサイト朝日新聞デジタルのみ(紙面化されず)。
【追記:読売新聞5月14日付朝刊、朝日新聞5月14日付朝刊で、都倉長官のインタビュー記事が掲載された。また、読売新聞の5月15日付社説でも言及があった。】

 声明全文は以下のとおり。

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