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伝統を守りたいから、伝統から離れた。

はじめまして。竹中金彩(takenaka kinsai)と申します。
この度、note始めました。

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父子2人で金彩という伝統工芸に携わっています。
工房は今年で47年目。at京都。私はボンの方で6年目です。
生まれた時から、自宅の一室は父の仕事場。耳をそばだてれば
カタカタカタと小気味好く金箔粉を振るう音が聞こえる、
そんな環境で育ちました。

「楽しそう」「知ってほしい」。だからnote始めます。

noteを始めた理由は、偶然noteで見かけた記事が「とても面白かった」から、がまず第一。不意に時間が出来た「今がチャンスかも」が2番目。目的は頭の整理整頓と発信です。
(伝統工芸に対して「バイアスかけすぎでは?」と思うことも多い。普段、作務衣なんて着てないですよ・・。)

結局、目的は、自分を見つめ直して、より良く楽しく生きるため、ですかね・・。

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金彩って何だ?

さて、金彩という仕事をご存知でしょうか?
着物を金箔で装飾する伝統的な工芸技術です。
400年〜1000年?くらいの歴史があるんじゃないか、と言われています。

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友禅という染めの着物と結び付きが深く、一緒になって発展して来ました。
図柄を強調したり、華やかさを演出したりする目的で行われます。
友禅の製造工程の一つとして紹介される事も度々です。
(京友禅は工程ごとの分業化が浸透しています。)

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金ピカ?を想像されるかもしれませんが、あくまで引き立て役、
全体の調和が大事です。
(本金箔は、くったりとしていて、趣深い印象になります。)

金彩は、結構ピンチだ!

そんな金彩(と友禅)ですが、なかなかの斜陽産業です。令和元年時点、京友禅の総生産量は、ピーク時のの2.2%まで減少しています。

(ピークは、昭和40年代の中頃。父が独立する前、私が生まれる前の話です。ピーク後も、もちろん良い時代があったと思いますが、俯瞰的に見ればずっと下り坂です。和装産業の市場規模は数年前に下げ止まったと言われますが、京友禅はその後も減少傾向のまま、今に至ります。)

京友禅の生産量が少なくなれば、金彩職人もあまり仕事がありません。
父も例外では、いられませんでした。

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takenaka kinsaiで巻き返せ!

そんな状況下(4%をきった頃)、takenaka kinsaiというブランド名で独自商品の開発、販売を始め今に至ります。5、6年前の事です。

きっかけは、京都市の主催する伝統工芸の若手を対象としたコンペ(京ものユースコンペ)に応募した所、賞をいただけてしまった、ので・・。「じゃ、やるか」と。(アイデアは私が考えた。)

私が父の仕事に関わるようになったのは、それからです。
(紙器メーカー退職後、フリーランスの身の上でした。)
おかげさまで、その後、ポツポツと商品数を増やす事も出来ており、今に至ります。

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「これからの金彩」を模索する。

ラッキーパンチ(コンペ受賞)からスタートした「父の仕事を作る」という当初のミッションはある程度、達成できたと考えています。(決して儲かってはいませんが、少なくとも、飢え死にはしておりません、今のところ・・。)感謝しかありません。たくさんの方のサポートがあったればこそです、間違いなく。

が、悩みは尽きません。
(コロナはひとまず置いておいたとしても、です。)

伝統を守っているだけでは、金彩工芸を取り巻く窮状は変わらず、そのままタイムアップを迎える事になるのでは・・と危惧するばかりです。

業界に携わる方それぞれの努力は見聞きするし、尊敬と感謝しかないですが、ただ残された時間が少ないのも事実だと思うのです。

takenaka kinsaiでは、「これまで通りの金彩」を続けていくためにも、これまでとは少し違うやり方、分野、アイテムにトライしたいと考えています。世の中に必要とされる「これからの金彩」のあり方を模索し、その利、潤いをもって伝統を枯らさないようにチャレンジしたい。身の丈にあった水準で模索を続ける事は当事者、一工房としての責任でもあると思えます。

ただ、着物、京友禅のフィールドを離れたとしても、金彩という技術は、人の役に立ったり、ハッピーにできる。

・・・そんな魅力を備えているんじゃないか。楽観的に考えている自分もいます。

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頭の整理整頓も兼ねてやっていることにも関わらず、
(=自分のためにやっている、ヒントを探している)
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。






瑞々しくきらびやか。「これからの金彩」を模索しています。 ▼instagram https://www.instagram.com/takenaka_kinsai/