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<UMA遺産 第18回>伝説の「殺生石」が真っ二つに割れて話題に!「九尾の狐」~栃木県那須町エリア

UMA(未確認生物)出現が噂されるミステリアスなエリアを、UMAゆかりの聖地として、「UMA CREW PROJECT」が独断と偏見で選定、紹介する「シリーズUMA遺産」。第18回目は・・・・。

「九尾の狐」

元々、九尾の狐(きゅうびのきつね)とは、九尾狐(きゅうびこ)、九尾狐狸(きゅうびこり)とも呼ばれる、中国に伝わる伝説の生物である。その名の通り、9本の尾をもつ狐の姿をしている。

九尾の狐

中国に伝わる「九尾の狐」

中国で最も古い九尾の狐についての記述は、『山海経』で、下記のような記述がある。

「(青丘山には)獣がいる。外形は狐のようで、尾は九本。鳴き声は嬰児のようで、よく人を食う。(この獣を)食べた者は蠱毒(あるいは邪気)を退ける」

人を食べるという箇所があるが、霊験として辟邪の要素を付与されており、瑞獣として扱われていることが分かる。

『白虎通』では、時の皇帝の徳が良いと世の中に現われる瑞獣の一つとして記されていたり、「九」という数字は子孫繁栄を示しているともあり、陽数を持った瑞兆を示す霊獣であるとしている。
また、『武王伐紂平話』や『春秋列国志伝』などでは、殷王朝を傾けたとされる美女・妲己の正体が九尾の狐であるとされている。これらの物語、あるいはそれを下地とした書物での記述が、後の時代には漢文圏で広く知られるようになった。『狐狸縁全伝』にも、これを踏まえた九尾の狐が登場し、千年修行すると尾が一本増え、一万年修行をすると黒かった毛が白くなるとされている。

山海経の九尾の狐

日本に伝わる「九尾の狐」


日本でも古くから九尾の狐の話は存在し、やはり瑞獣とされていた。『延喜式』には下記のように、九尾狐の記載がある。

「神獣なり、その形赤色、或いはいわく白色、音嬰児の如し」

一方、日本では邪悪な九尾の狐の妖怪として、玉藻前の登場する物語が有名である。平安時代に鳥羽上皇に仕えた玉藻前という美女の正体が「狐」であったという物語は、14世紀に成立した『神明鏡』で、見ることができる。
しかし、室町時代の『玉藻物語』などでは、尾が2本ある7尺の狐であると描写されており、九尾の狐とは語られていなかった。
玉藻前が「九尾の狐」であるとされるようになったのは、妲己が九尾狐であるという物語が玉藻前の物語に取り入れられるようになった、江戸時代以降のことであると考えられる。玉藻前の正体が九尾の狐であるという設定の物語を日本に定着させたのは、読本作家の高井蘭山が著した読本『絵本三国妖婦伝』や、岡田玉山『絵本玉藻譚』などの作品である。

「玉藻前」 楊洲周延画「東錦昼夜競」より
葛飾北斎『三国妖狐伝 第一斑足王ごてんのだん』
玉藻前の前身である天竺の華陽夫人が九尾の狐の正体を現し逃走する図


九尾の狐伝説と殺生石

栃木県那須町の那須湯本温泉付近に存在する溶岩である。付近一帯に火山性ガスが噴出し、昔の人々が「生き物を殺す石」だと信じたことからその名が付いたのだが、九尾の狐伝説も存在する。
鳥羽上皇が寵愛したという伝説の女性・玉藻前が九尾の狐の化身で、陰陽師の安倍泰成に見破られて東国に逃れ、上総介広常と三浦介義純が狐を追いつめ退治すると、狐は石に姿を変えたという伝説がある。しかし石は毒を発して人々や生き物の命を奪い続けたため「殺生石」と呼ばれるようになったという。

殺生石


今では、一つの観光スポットとなっているが、最近話題になったことがある。なんと、封印していた石が割れてしまったらしい。九尾の狐が逃げ出すんじゃないかと、SNSを中心に騒がれた。

悪い妖怪だった訳だが、那須町では割と愛されていて、ゆるキャラにもなっている。
名前は、「きゅーびー」といって、那須町の観光大使でもあるそうだ。


ところで、九尾の狐を誰しもが知っている伝説の妖怪となりえたのは、漫画やアニメの影響が大きいように思う。


■NARUTO -ナルト-


1999年から2014年まで、少年ジャンプで連載されていた、岸本斉史による忍者漫画で、全700話の超大作。アニメ化もされ、海外での展開も好評だった。作中に出てくる、九尾の狐は「九喇嘛クラマ」という名で、主人公うずまきナルトの体内に封印された尾獣として登場する。

現在は、続編の「BORUTO -ボルト-」がテレビ東京で放映中。


■うしおととら

1990年から1996年まで、少年サンデーで連載されていた、藤田和日郎よる妖怪退治漫画。作中には最後のボスとして、白面の者という名で登場する。


上記、2つの作品の影響が大きいのではないだろうか。
もちろん、妖怪漫画の金字塔「ゲゲゲの鬼太郎」でも、「九尾の狐」とそのままの名で登場する。


ちなみに、
リアルタイムでは、こんな異色の韓国ドラマもあるようだ。


さて、お届けしてきた「九尾の狐」いかがだっただろう…
日本だけでなく、アジア各地で語り継がれ、様々な伝説が残り、その魅力からエンタメにも活用される伝説の生物。
GWも間近の今、話題の「殺生石」を訪れて、「九尾の狐」が逃げ出していないか、確認に足を運んでみてはどうだろうか?

■殺生石
・住所:〒329-3200 栃木県那須郡那須町大字湯本182
・問い合わせ先:那須町観光協会 TEL 0287-76-2619
・料金:無料
・アクセス(電車/バス):JR那須塩原駅から関東バスで約50分
・アクセス(車):東北自動車道那須ICから約30分
※駐車場無料 30台




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